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「その先」

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キャバクラで働くレナのもとに現れたのは、薬指の無いアサクラという男だった。 年齢も、住む世界も違う二人がたどり着いたゴールとは。 全28話
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記事一覧

「その先」1

「…レナちゃ~ん、今から着く席~…常連になったら困るんだけど不機嫌にもしたくないんだよね…

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「その先」2

そっぽを向いてタバコをふかす横顔を見ながら、一気に親近感が湧き出した。 あれは小学生低…

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「その先」3

「ふふ…わかります。そういえば、お名前はなんてお呼びしていいですか?」 初めてまともに…

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「その先」4

私の含み笑いを横目で確認したアサクラ様の口角も、一瞬だけ上がったように、私にはそう見えた…

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「その先」5

「お疲れさまでーす」 深夜二時。本日の仕事は終了。 秋の夜。冬の匂いが季節を迎え、薄手の…

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「その先」6

――― 「おはようございまーす」 翌日、私は同伴の予定が入っていた。 仲良しの客…

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「その先」7

「お話中申し訳ございません、レナさん少しだけお借りいたします」 ぐっさんの手の指毛を抜いて遊んでる時だった。 ヘルプで着いてくれる女の子を引き連れて、ボーイが私を呼びに来た。 「お、なんだよ人気者~今日は俺と同伴の予定だろ~客来てんの?」 おどけつつ、瞳の奥が不安げ。どんなに心が曇ってもおちゃらけキャラを脱ぎ捨てることはできない。ぐっさんのこういう所、憎めなくて可愛いと思う。けれど、言葉にできない想いは届かない。ぐっさんには悪いけど、最後までノリを遂行させる

「その先」8

「大変お待たせいたしました!レナさんでーす!」 「お呼びいただき、ありがとうございます♡…

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「その先」9

「…私は、そんな風に慕われるアサクラ様に興味がありますね」 今は営業中。 それは間違いな…

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「その先」10

「お話中申し訳ございません…!レナさん少々お借りいたします!」 おそらく、アサクラさんの…

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「その先」11

「お話中に申し訳ございません! レナさん、お願いします…」 「あぁ、今行きまーす…!」 …

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「その先」12

――― 「おせ~よ~」 「ごめんごめん! 飲んでる?」 一人でいたはずのぐっさんの席に戻…

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「その先」13

―― 冬が進み、気づけばコートが欠かせない季節になっていた。 アサクラさんと最後に会って…

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「その先」14

初恋のような期待も、苛立ち混じりの見切りも、やっぱり気になる携帯の確認も。すべてが静かに通り過ぎていった。諦めよりも無意識が大半を占め出したある日。 携帯はその時を迎えた。 「おー…俺だ。 お前今日仕事は?」 「…え? どなたですか?」 「俺だよ、もう忘れたのか?」 「…アサクラさん?」 「そーだよ、冷たいやつだなぁ」 世間はランチタイムが終わる頃。 私は一人部屋の中、もう一眠りしようかと毛布を抱きしめた時だった。 生活を妨げないようサイレン