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「その先」7

「お話中申し訳ございません、レナさん少しだけお借りいたします」 
 
ぐっさんの手の指毛を抜いて遊んでる時だった。
ヘルプで着いてくれる女の子を引き連れて、ボーイが私を呼びに来た。 
 
「お、なんだよ人気者~今日は俺と同伴の予定だろ~客来てんの?」 
 
おどけつつ、瞳の奥が不安げ。どんなに心が曇ってもおちゃらけキャラを脱ぎ捨てることはできない。ぐっさんのこういう所、憎めなくて可愛いと思う。けれど、言葉にできない想いは届かない。ぐっさんには悪いけど、最後までノリを遂行させる。
 
「えーなんでだろう? ぐっさん以外に私のファンなんていたっけな…? はい、ここで私マニアのぐっさんに問題です! 私がすっぴんの時だけつけるカラコンの色は何色でしょう! チッチッチッチッチッチ…」 
 
「ピンポーン!!」
 
「はい! ぐっさん!」
 
「はい! 答えはヘーゼルだ! 『素っぴんだと普段のカラコンじゃ浮くんだよねぇ~色素薄い系ヘーゼルが丁度いいのよ、薄い顔には』と言っていたのをマニアの俺は覚えている!!」 
 
「………ファイナルアンサー?」 
 
「ファイナルアンサー!」 
 
バカバカしいほどに全力でノッてくれるぐっさんが大好きだ。私が振れば、ぐっさんはどんな時も必ずノッてくれる。でも私は、二人きりの真面目な顔だって知っている。本音でぶつかればたちまち崩れる関係もある。私はぐっさんが好きだけど、おそらくぐっさんが私のことを好きな気持ちとは違う。

「……大正解! けど記憶力良すぎてキモいので三十分ほど放置プレイとなりま~す!じゃね~」 
 
「くっそー! 記憶力良すぎる俺のバカ!」

ヘルプで着いてくれる女の子がウケてくれたおかげで、私は難なく席から抜け出すことができた。
心地いいぐっさんの席を離れ、店長の案内で死角となるVIP席へ向かう。 
一歩ずつ、歩みを進める度に気持ちを切り替えていく。
到着したカーテンをくぐり抜けると、そこには店長の言う通り、一人でタバコをふかすアサクラさんが座っていた。 

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