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「代わりのない性玩具」

私を誘ったあなた。
あの時の姿は、もうない。

回数を重ねる毎にエスカレーションする私たちの行為は、あなたを人ではないモノへと堕とした。

私を抱き寄せた大きな手は、今じゃ私を悦ばせる道具のひとつでしかなくなった。
追いかけるように絡めた舌は、私の体液を一滴残さず味わうために機能する。
熱く見つめたその目は、今じゃ私の何を見てるかわからない。

こうして時々寂しさが私の心をざわつかせる。
もうあの人はいないんだって、痛いほど理解できるから。

私を満足させるための玩具として使われ、
私の排泄物を処理するために姿勢よく佇む、そんなあなた。

いいの。寂しいと呟くのは女だから。気分屋なのよ。それ以上にね、何にも代えがたい絆だと感じてる。

私の性欲処理として存在する生き物に抱かれたいわけないでしょ。
でも、あなた以外私を気持ちよくできない。

私の糞尿を口にするあなたと唇を重ねるなんてありえないわよ。
でも私のことを一番よく知っているのはあなただけ。その上で私たちはそばに居る。

部屋の隅、人間用の檻の中で眠るあなた。
指先を絡め同じベッドで眠ることは二度とないけど、私は今までで一番安心してる。

舌の味を覚えてる。
愛したかつてのあなた。
手離すことはない。
大切な今のあなた。
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