alexandwrites

All of us create the brilliant beacon of ho…

alexandwrites

All of us create the brilliant beacon of hope...Following my unique way of seeing things, I write. Like the two sides of alexandrite.

マガジン

  • 千一夜物語

    私の"千一夜物語"。 人の持つ、"性"と"愛"と"孤独"。 身体ではなく脳が感じる、ノンフィクションであり、フィクションな"男"たちとの"夜"を描きます。

記事一覧

■the alternate world■

夢を見た。 たくさんの 色彩と、質感と、 取りどりの人のこころの中にいた。 そこに在るすべては、 どこからともなく発信され、 どこかへと向かうためのメッセージだっ…

alexandwrites
4年前
3

◆衝動◆

衝動に駆られた、巡り逢いだった。 まだ肌寒さが残る春。 私は、見ず知らずの男と二人で旅をした。 岐阜の隠れ宿である。 宿の最寄り駅に続く、ローカル線の乗り口で待…

alexandwrites
4年前
5

◆愛が深すぎるんだよ◆

「愛が深すぎるんだよ。」 そう言って、彼は 泣きじゃくる私を強く抱きしめた。 たった一人の男と真剣に向き合うことが、 如何に貴く価値のあるものか。 それを教えてく…

alexandwrites
4年前
3

◆色のない部屋◆

休みの前夜は、いつも、 終電で向かうのがお決まりだった。 駒沢大学駅。 いつも、少し遅れて来る。 いつも、改札の出口で待ちぼうける。 携帯が鳴って、いつもの、彼の…

alexandwrites
4年前
5

◆上海ナイト◆

薄暗い、雑居ビルの階段を数階上がったところに、 彼の部屋はあった。 窓からは、上海の夜景が赤黒い錆のような膜を帯びて連なり、 行き交う車のライトが、やけに眩しかっ…

alexandwrites
4年前
6
■the alternate world■

■the alternate world■

夢を見た。

たくさんの
色彩と、質感と、
取りどりの人のこころの中にいた。

そこに在るすべては、
どこからともなく発信され、
どこかへと向かうためのメッセージだった。

頭の奥で何度もリフレインする言葉と映像。

目を凝らせば浮かびあがる人の偶像。

時間と空間の概念は消え去り、
ただ、ひたすらそれらの告白を身に受け続けた。

隣には誰かがいたような気がする。

誰なのかは、わからない。

もっとみる
◆衝動◆

◆衝動◆

衝動に駆られた、巡り逢いだった。

まだ肌寒さが残る春。
私は、見ず知らずの男と二人で旅をした。

岐阜の隠れ宿である。

宿の最寄り駅に続く、ローカル線の乗り口で待ち合わせた。
それが、二人の初対面だった。

彼は、静かな"間(ま)"の持ち主で、
話していてもいなくてもすっと身を委ねたくなる、心地良いリズムのある人だった。

電車の座席に腰掛け、揺られながら話していると、
ふと何かを思い出したか

もっとみる
◆愛が深すぎるんだよ◆

◆愛が深すぎるんだよ◆

「愛が深すぎるんだよ。」

そう言って、彼は
泣きじゃくる私を強く抱きしめた。

たった一人の男と真剣に向き合うことが、
如何に貴く価値のあるものか。

それを教えてくれた、初めての人だった。

■■■■■■■■■■■■■■■

出逢いは、六本木ヒルズ。

一目惚れ、と言えば体のいい、ナンパだった。

最初の数ヶ月は、
相手の素性など殆ど何も知らない、曖昧な関係。

会いたくなれば
少し日数に余裕

もっとみる
◆色のない部屋◆

◆色のない部屋◆

休みの前夜は、いつも、
終電で向かうのがお決まりだった。

駒沢大学駅。

いつも、少し遅れて来る。
いつも、改札の出口で待ちぼうける。

携帯が鳴って、いつもの、彼の声。
顔を上げると、いつもの、自転車と、彼。

駒沢公園のサイクリングロードが、近道だった。
深夜の二人乗り。
くだらない話をひたすらに、笑い合った。
私は細身な彼の、意外にたくましい肩に手を添わせて、
いつも通りのその時間が、ただ

もっとみる
◆上海ナイト◆

◆上海ナイト◆

薄暗い、雑居ビルの階段を数階上がったところに、
彼の部屋はあった。
窓からは、上海の夜景が赤黒い錆のような膜を帯びて連なり、
行き交う車のライトが、やけに眩しかった。

私たちは並んでソファに座り、
彼が入れてくれたコーヒーを飲みながら、
互いのことをいろいろと話した。

私も彼も、どうやら恋を失ったばかりのようだった。

飾られた写真立てに、笑顔の彼女。
伏し目がちに語る彼の、低い声。

暫く話

もっとみる