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日記帳

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#小説

グラディエーターになった話:入籍の章(下)

グラディエーターになった話:入籍の章(下)

録画はないので想像力を働かせてください。

「なぁに見てんだおおん?」

 アイカツマシンの前に集まる四人に対して高貴な視線を送った若い夫婦はエルフの王子に凄まれ、おもちゃ売り場から退散した。

「ステージごとにテーマがある。そのテーマに合わせてスタイルの服を装備しステージに挑むのが基本だが、初期は四つのスタイルのコーデを揃えることがなかなか難しい。持っている手札で勝負だ」

アイカツカード、それ

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グラディエーターになった話:入籍の章(上)

グラディエーターになった話:入籍の章(上)

ジムパート「フッス、フッス、フッス」

 俺は今、ベンチに右足と右膝をつけ、左足を後ろに伸ばし、前に屈んだ姿勢で左手に持っている20kgのダンベルを上下している。これはダンベルを使った背筋鍛錬法、ダンベルローイングである。

「いいね。張り切ってるね」隣で見物しているオーランド・ブルーム似の男、エルフの王子だ。「男が筋トレに励んでいるのはこれから女を抱くか、人を殺すかのどっちだと映画でやったな。き

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デジタル税関おじさん

デジタル税関おじさん

 今日もあまりきつくない仕事が終え、夕食を済ませた私はいつも通りブラウザを起動し、noteの海をダイブした。オモチ時計は動いた形跡がない、今日もnoteが穏やかだ。

 暫くして、目当ての物が目に入った。これと

 これだ。

 夜天を引き裂く。最近はまった小説だ。完璧超人の主人公久我絶無が開幕すぐBully女四人をゲロまみれになるまでボコボコして、いじめられた目隠しのかわいいけどすごく恥ずかしが

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やはり旅は一人に限る【DAY2】【暗黒イール真実】

やはり旅は一人に限る【DAY2】【暗黒イール真実】

【DAY1】

二日目、朝8時30分。我々はパシフィコ横浜にいた。

一部のnoteユーザーの間はミーム汚染によって堕天使の根城だと認識している。詳しくはお望月さんへどうぞ。

さて今日はなにしに来たのかていうと、法王ダライ・ラマが今日から3日間、ここで説法を行うからだ。こん回はこれがあったから日本に来れたと言っても過言ではない。

開演はまだ半時間あるが、既にいっぱい並んでいた。ライブなど大型活

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はじめて忍殺実況をみっちり参加しました

はじめて忍殺実況をみっちり参加しました

「「「オツカレサマドスエ!」」」

 ヘッズたちが一斉にオジギし、今回の更新分がここまでと告げた。

「お説教臭いフジキドはおもしろかったな」「全然あいてにされないのは流石にカワイソ!」「前任ニンジャスレイヤーの言うことを一蹴したのにズーサイドの話は聞くのね、やはりソンケイの差かな?」「ピザが食いてえ!」

 皆が雑談したり、考察を始めたりする中、僕は疲れ切ってサイバーライブハウスの壁にもたれた。

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小説を予約した

「予約すればポストカードつき?どうせい日本国内しか手に入れないでしょう?」ダイハードテイルズの記事を読んでいる俺は思ったが、『なるべく地域格差なし』という一文が目に入った。「えっこれって」改めて予約注文書を見てみると、『日本国内限定』とか書かれていなかった。

 俺は覚悟を決め、会社のプリンターで注文用紙をフルカラーで印刷し、最寄りの日本書籍を扱う書店ヘ向かった。

「すみません、こんな物がありま

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なにもかも構わず暴力振るいたいと思ったことないか?

なにもかも構わず暴力振るいたいと思ったことないか?

「……で警察が来てなあ、そんでさあ、あいつ警察を殴りやがった!」余計に大きい声のうえに引っかかる内容が耳に入り、俺の集中を乱した。手書き書類作業を中断し声がした方向に目を向けた。4時方向のテーブルに4人組がパスタやステーキを載せた皿をフォークでつつきながら談笑している。男3人、女1人。4人も若く、中3〜高2ぐらいか、しかもブレイクダンス部員みたいに柄が悪い。午後二時なのに学校に行かずレストランでで

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カードをめぐれ2

カードをめぐれ2

 
 2月下旬、ある日の朝、僕はオフィスのキッチンでポテトサラダを作っていた。他の会社はどうなのか知らないが、ここではポテトサラダを作るの普通極まりないことだ。営業に役立つためか、自分が仕事していることをアピールするためか、みんなやっている。

 塩水で茹でたポテトをフォークやスプーンで潰し、冷めたらマヨネーズを入れてなめらかになるまで撹拌し、最後にビーンズを混ぜれば完成だ。「おい待て、手抜きにも

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誕生日に関する思い出

誕生日に関する思い出

 中3の末期、勉強に奮発するもいい成績が取れず、親の要望に応じて遠い県の高校に入ることになった。宗教関係の学校であるが、別に洗脳教育とかやばい儀式とかやってるわけでもない、普通の学校だった。ただし自由が少なく、外出は土、日曜日の午後しか許されなかった。外を出ても田舎なので娯楽といえばネットカフェかマンガ喫茶ぐらいだろう。

 全寮制であるため、生徒は寝食ともにする生活を強いられていた。集団生活の中

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カードをめぐれ

 どうも、灰汁詰めです。 僕は日本が好きで、日本語を学び、日本の会社で働き、今に至っては日本語で小説を書いたりしている。
 
 僕は日本に遊びに行くとこを考えていない時ない、だが日本で働くことは無理だと思っている。最近、会社の新しい策略がその思いをいっそう強くした。
 
 一月下旬のことだ。朝の会議で所長から2箱の名刺サイズのカードを渡された。一番上のカードだけが赤色で、"訪問済"とプリントされて

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