見出し画像

はじめて忍殺実況をみっちり参加しました

「「「オツカレサマドスエ!」」」

 ヘッズたちが一斉にオジギし、今回の更新分がここまでと告げた。

「お説教臭いフジキドはおもしろかったな」「全然あいてにされないのは流石にカワイソ!」「前任ニンジャスレイヤーの言うことを一蹴したのにズーサイドの話は聞くのね、やはりソンケイの差かな?」「ピザが食いてえ!」

 皆が雑談したり、考察を始めたりする中、僕は疲れ切ってサイバーライブハウスの壁にもたれた。

「ハァー……ハァー……しんどい」

 黒Tシャツで作った頭巾のマスクの部分をずらし、空気を大きく吸い取った。僕のデバイスの時間は0:05と表示している、つまり日本では1:05になっている。カラテが高まってからおよそ3時間立ったが、こいつらの表情から疲労が一向見当たらない。

「よお、見ない顔だね。貴方、もしかしてニュービー?」

 誰かが馴れ馴れしく僕の肩を触って話しかけた。ebtenでしか手に入らないジッパーを閉めると忍殺メンボを再現できるパーカーを着ている。見るからにティピカルなニンジャヘッズだ。一部のヘッズはニュービーに囲んで研修させる習性があると聞ているが、僕はニュービーではない。

「いいえ、ニンジャスレイヤーは何年まえからフォローしていました。物理書籍も購入しています」

「そっか、でも実況こういは初めてだろ?」

 やはりそう見えたか。

「はい、更新は追っていますが、今回みたいに#njslyr タグを見ながら感想をツイートするのはこれがはじめてとも言えましょう」

「で?はじめての実況はどうだった?」顔全体がが覆われて、唯一露出している目がギラギラと輝いている。これってもしかして新規フォロワーゲットチャンス?下心全開の僕が精神を奮い立たせ、言葉を絞りだした。

「えーと、やはり皆はすごいですね、もう遅いのにまたこんなに元気で。見ての通り僕はもうへとへとですよ」

「ハハッ!おれも最初はすぐに疲れて寝落ちしたりしたけど実況を長くやると自然に時間に対する抵抗力が身につけるぞ!それに今日の昼頃翻訳チームは更新分をnoteにまとめてアップするので無理して実況を追う必要はないぞ。セルフ管理メントは大事だ」

「そうですね。でも皆さんの感想やツッコミをリアルタイムで見るのはやはり面白くて……こんな見方もあるんだよなぁって、視野が広げるってうか。そしてリアルタイムで#ウキヨエを描く人は本当にすごい、尊敬しちゃいますよ」

「それでこそ実況の醍醐味よ。それはそうと、きみも#njslyr つけて発言したのかい?」

「あっ、しましたよ」

「よかったら見せてくれる?」

「アッハイ、こちらです」僕は今日もっともリプが多かったツイートを探したして彼に見せた。

「アッ!これがきみか!最近オフィスハックの感想が数回リツイートされてちょっとイキっているガイジン!」

「イキるつもりはないですけど……」

「冗談だよ。にしてもなかなか粋なここ言ってたじゃないか。もっと早く実況に参加してもよかったのに」

「でもニンジャスレイヤーの更新はだいたい夜九時あたりからでしょう?ゲームと筋トレの時間と被ってることが多くて、翌日noteでも読めるし、ついそっちを優先しちゃいますね」

「そっか……しかしなかなかおもしろいもの書いてるな、はじめての実況でこれほどのリプを得たとはなかなかやるじゃない」

「ありがとうございます!あのう、実は小説もいくつか書いてありまして、よかったら読んでみ……」

「いや、いいよ。興味ないから」

「えっ?」

「きみはちょっと調子に乗ってるね、リプ多くもらってからって文筆が評価されたと勘違いして自作小説を手当たり次第他人にすすめる。よくないことだ、いずれひどい目に遭う。とくにおれを篭絡してフォロワーにしようと思ているのなら大間違いだぞ」

 ティピカルなヘッズの態度がかわり、その目に凄みが宿っている。睨まれた僕は唾をのんだ。

「いや、そんなつもりは毛頭に……」

「ガハハハッ!ジョウダンだって!あんたのアカウントはわかった。気が向いたら読んでやるよ」

「アッハイ、よろしくおねがいします」こんなとこを言ったやつは結局読んでくれる確率は20%しかないと僕の経験が告げている。

「バイドが五時だからもう寝るわ。きみも早くお休み」

「アッハイ、おやすみなさい」

 ティピカルヘッズなヘッズは手を振ってサイバーライブハウスから退出した。まわりを見ると、僕らが話している間に人数がけっこう減った。(リプ多くもらってからって文筆が評価されたと勘違いして……)ティピカルヘッズなヘッズが言ったことを脳内で反芻する。たしかに僕は承認欲求のかたまりだし調子に乗っていたかもしれない。#njslyrを自己満足のためにつけていたかもしれない。次に実況することがあれば態度を改まって行こう。だけど奴の言ったことに確かな不快を覚えた部分があった。

「興味ないだと?わかった、じゃあいずれチョー面白い小説書いてフォローさせてやるよ」

 僕はアプリを閉じた。


ニンジャスレイヤー実況たのしかったです!

当アカウントは軽率送金をお勧めします。