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ウツになったヤギくんと僕の人生ゲーム

コレはきっとラブレターみたいになると思う。

書き終えた時の事を想像すると
正直今から恥ずかしい。
たぶん明日の朝には書いたこと後悔してると思う。

3ヶ月ぶりにnoteに投稿するわけだから、ただでさえ筆が重いっていうのに。こんなの酒でも呑んでなきゃ絶対書けない。

でも、しょうがない。
なんだかよくわからないけど、君のために僕はこれを書かなきゃいけない、そんな気がするから。

仕事終わりの深夜1時。
プシュッ。
ビールを片手に書き始める、

ウツになったヤギくんと僕の話。


chapter 1. 人間味あふれるヤギくん


ヤギくんと僕が出会ったのはもうかれこれ8年くらい前になる。大学の同じ建築学専攻で、はじめて話した時のことはもう全然覚えてないけど、こいつとは馬が合うなとすぐに仲良くなったのは覚えてる。

元気が良くて、友達想いで、シンプルにいい奴
別に率先してリーダーやろうって感じじゃないけど、気づくと周りに人が集まってるタイプ。加えてちょっと変わった人を見つけると面白がってすぐに仲良くなってたりするから、やっぱりいい奴なんだと思う。あとは、たぶんイケメン。ちょっと顔見すぎててもはやよくわからないけど、一般的にはそっちの部類。たぶんね。


ヤギくんのことを心底すごいやつだなぁと感心したのは大学4年の冬。僕らは建築学生だったから卒業制作をやってた。

卒業制作で自分を追い込みすぎちゃって、大学に来れなくなった同期から「俺もう卒制やめます」というライン。心配になって、彼の家に同期メンバー10人くらいで行った。僕とヤギくんももちろん行った。

「無理しなくていいよ」
「少し休んでまた来年がんばればいいんじゃないかな」

みんな口々に彼の選択を尊重するような、励ますような言葉をかける中、

「諦めるとか、ふざけんなよ!俺はおまえと一緒に卒業したいんだよ!」

ヤギくんは怒鳴って泣いた。


少年ジャンプかよ。


そして、周りのみんなもつられて泣いた。
僕も私も本当は一緒に卒業したいと言って泣いた。
彼も、やっぱり皆と卒業したいと言って泣いた。


みんなが素直になりきれないところで120%フルスイングをぶちかます、ヤギくんはそーゆー男だ。


あとは、大学院時代に2人で海外を旅してた時、天候が悪くて見たかった景色が見れなかったことがあった。その時のこともすごくよく覚えてる。

僕は、「まぁ天候ばっかりは仕方ないよね」とか言ってあっさり諦めがついたのだけど、ヤギくんは異常に怒ってた。

「俺とお前でこんな遠くまで来て、ここでこの景色が見れたら最高だから、見れないはずないのに、こんなのおかしい!」

そう言って怒った。


「俺とお前だから、見れないはずない」って何?
まったく、主人公補正が強すぎる。笑

天候に怒ってるんだから正直もう意味わかんないし、見方によってはとっても傲慢なんだけど、

あの時僕は、ヤギくんの人間らしさに感動した。


ヤギくんの人柄を書き連ねるだけでこの分量。
グラスのビールもう空なんだけど。

気を取り直してもう1缶。



chapter 2. ヤギくん、ウツになる。


ヤギくんと僕は大学院を卒業すると、同じ行き先に向けて走りはじめた。
建築を通して世界をもっと幸せにしたい。
同じ志を持って、僕らの車は横並びで進み出した。

互いに別々に働きながらも、個人的な活動として色々企画し、色んな人に出会い、実践を繰り返して前に進んでいった。

どこにあるかもわからないゴールに向かって
2台の車は進んでいった。

進んでいた、はずだった。


並走してたはずだったのに、気がついたら僕の横にいると思っていたヤギくんは、少し後ろで止まっていた。ヤギくんはウツになっていた。


僕がヤギくんの様子がなんかおかしいと気づいたころにはもう少し遅くて、ヤギくんの目はあの頃みたく生き生きとしていなかった。あんなに隣で見ていたのに気がつけなかった。

ウツになったヤギくんが、唇を震わせて、目には堪えきれずに溢れた涙を浮かべて、僕に言った。

「正直、お前と一緒にいるのが辛い。こんなに近くにいてくれる人と一緒にいたくないと思ってしまう自分がいるのはもっと辛い。自分が嫌になる。」

そう言われた時はもう何も返す言葉がなかった。


横にいたやつがどんどん前に進むのに、それについていけない劣等感みたいなものを日々感じていた、そんなようなことも言っていた。


僕はヤギくんを追い込んでいた。



chapter 3. 人の痛みに寄り添えること


ヤギくんがウツになって最初の頃、僕らは以前のようには顔を合わせなくなった。

近況報告としてたまに話すことはあっても、「2人のこれから」について話すことはほとんどなくなった。

僕らはそれぞれ別の車に乗っていて、目指す先が同じとは限らない。速度だって同じじゃないこともある。


そんなヤギくんが最近ライターとして活動をはじめたことを知った。あれだけ建築家になるとうそぶいていたヤギくんが、少し遠回りすることを決めたらしい。

ウツとなってからもう半年以上がすぎていた。
どうやら少しずつ色々なことに前向きになってきたみたいだ。文章苦手なくせに物書きになるらしい。


そんな彼の文章を読んだ。


僕は、泣いた。


はっきり言って、泣かされたからこんな深夜にこんな長文を書き連ねているわけ。ほんと勘弁してほしい。


僕が偉そうに言えることでは全くないんだけど、彼の文章は、まだまだ駆け出しライターのソレで、まだまだ学ぶことは多いんだろう。だけど、実感のこもった言葉の数々は、僕にはとても美しくみえた。

ヤギくんの言葉は、痛みを知っている人の言葉だ。
人の痛みに寄り添える言葉だ。

きっとそれはいつの日か誰かを救うのだと思う。
少なくとも僕はそう信じている。


でもひとつ不思議なことがあって、
ウツになる前と比べたらずいぶんと色々経験したり考えたりして、あんな文章を書けるようになったはずなのに、僕の目から見ると実はウツになる前と後とで、そんなに人として変わったことはない。

あいかわらず世界を幸せにするとか言ってる。
#少年ジャンプかよ

そんな変わらないヤギくんを見て、とある物語のセリフを思い出す。


乗り越える事は、変わる事じゃなくていい。


僕にできるのは、彼が今自分のいる位置を認めて、愛しいと思えるように背中を押すこと、なのかもしれない。



chapter 4. ヤギくんと僕の人生ゲーム


2人で車を並べて走っていた頃、僕らはずっと同じように走っていけると思っていた。でも、ルーレットで出る目はヤギくんと僕では、少し違ってた。

でも、それでもいいと、今は思う。
ヤギくんもそう思っているんじゃないかと思う。

だって、目指すべき「億万長者の家」なんてどこにもないから。目的地はひとつじゃない。


きっとこれからも僕は7とか8とか、そういう目ばっかり出して進んでいく。進んではこっちの道は違ったと引き返したり、気づいたら同じところぐるぐる回ってるだけだったりするんだと思う。

ヤギくんはヤギくんで、2とか5とか、たまに10とか出しながら1回休みのマスに止まったりして進むんじゃないかな。

そしてまた、どこか別のマスでバッタリ出会う。
#それは追突事故
#自動車保険には入っていたい

そしたらまた少しの間、一緒に旅をすればいい。

そうやって持ちつ持たれつ、
生きていけたらいいな。なんて思ってる。


...ほらみろ相棒、だから言ったじゃん、
ラブレターみたいになっちゃうって。
どうしてくれんだバカヤロウ。

時計はもう3時を過ぎた。
机には空き缶が、もう3缶並んでる。


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とんでもない深夜のラブレター(?)を不覚にも読んでしまった皆さま、ぜひヤギくんのnoteも覗いてみてやってください。たぶんこれからゆるーく更新されていくと思います。

僕ももうちょっと書こうかなぁ。
書くネタはあるんですけどね、筆が重い。笑

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