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『子鬼のつぶやき』 第三話
(→第二話)
名探偵
「どうしたの? 調子悪いじゃん?」
寝不足?
休憩中、そう言って圭司の隣に座ったのは「しょうちゃん」こと、上内正平だった。チームメイトであり幼なじみの彼は給水ボトルをくれた。
「ありがとう」
今時珍しいスポーツ刈りに、昔から小太り気味だったしょうちゃんは、それでいて走るのがチームで一番速いのだから、「爆走戦車」の異名も持っていた。明るい性格のおかげか災いか、
『子鬼のつぶやき』 第一話
(→あらすじ)
発見
半田圭司がお化けを見たのは、実は2度目のことであった。
1度目は彼が小学五年生のとき。苦手な社会の時間中、ふと――本当にたまたま窓の外に目を向けると、反対の校舎の屋上に立つ、1人の人影を見つけたのだ。
ドキリとした。その人影は、フェンスを乗り越えて飛び降りたのだから。気がつけば立ち上がり、授業もお構いなしに教室を飛び出していた。「戻りなさい!」という先生の声も