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2022年1月の記事一覧

You have a bad day.(コーヒーをめぐる冒険/ヤン・オーレ・ゲルスター)

You have a bad day.(コーヒーをめぐる冒険/ヤン・オーレ・ゲルスター)

『コーヒーをめぐる冒険』。原題は『Oh Boy』もしくは、『A Coffee in Berlin』。

邦題、カタカナで「オー・ボーイ」でもよかったんじゃないのかな。と思ったのは、あんまりコーヒーをめぐってないからだ。正しく言えば、本筋に関わっているようないないような、そんな存在。

とことんついていない青年の一日の話。途中途中コーヒーが飲みたくなるのだけど、なぜかいつもタイミングが悪い。(コーヒ

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じゃあ、そういうことで。(コーヒー&シガレッツ/ジム・ジャームッシュ)

じゃあ、そういうことで。(コーヒー&シガレッツ/ジム・ジャームッシュ)

タバコとコーヒーの組み合わせは最高だ。

らしい。(くそくらえだという意見もあったけど。)

コーヒーを飲むぼくは、タバコをのんだことはないので、わからない。し、そのために肺を犠牲にする気もない。あと、コーヒーはさておきタバコを嗜む人がいないので、感想を聞くこともできない。

けれど、この劇中においては、その組み合わせは最高だと思う。見ている分は。

『コーヒー&シガレッツ』。そのままのタイトルだ

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「きれいに穢れた美しさ」(毛皮のマリー/寺山修司)

下男 マリーさん。この世で一番の美人は、あなたです。
マリー ほんとに?
下男 鏡は、うそを申しません。
マリー まあ、よかった。白雪姫はまだ生まれてないのね。

――本文より引用

その通り、毛皮のマリーは誰よりも美しい。と、ぼくも思う。それは、美貌であるだけではなく。清廉潔白。には、ほど遠い人。けれど、その振る舞いを美しいと、思わされずにはいられない人。

美貌の男娼には、子どもがいる。美少年

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孤の人(黄色い雨/フリオ・リャマサーレス)

どのようなものも以前と同じではない、思い出といっても、しょせん思い出のそのものの震える反映でしかないのだ、(後略)

――p48より引用

廃村。で、朽ちていく老人。とは、似ても似つかぬ環境で生きるぼく。と、書いてみたけれど。本当に、そうだろうか。

一人、また一人(もしくは、一家族ごと)いなくなっていく村。自分の子どもさえ。そして、夫である老人を残し、押しつぶされる思いに押しつぶされ、首をくくっ

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