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じゃあ、そういうことで。(コーヒー&シガレッツ/ジム・ジャームッシュ)

タバコとコーヒーの組み合わせは最高だ。

らしい。(くそくらえだという意見もあったけど。)


コーヒーを飲むぼくは、タバコをのんだことはないので、わからない。し、そのために肺を犠牲にする気もない。あと、コーヒーはさておきタバコを嗜む人がいないので、感想を聞くこともできない。


けれど、この劇中においては、その組み合わせは最高だと思う。見ている分は。


『コーヒー&シガレッツ』。そのままのタイトルだ。コーヒーを飲んで、タバコものんで、会話をする。そんなカップル(2人1組の意)の掌編が11コ。つまり、11組の会話を楽しむオムニバス。


副題は『変な出会い』。これは、最初に収録されている話のタイトルでもある。変な出会いだったし、どちらかと言えば変な会話だった。


日本版予告編には、「リラックス・ムービー」と評されているこの作品。(ちなみに、YouTubeにはオリジナル版しかなかった。そのリンクは最後に貼っておく。)


まあ、間違ってはいない。リラックス「できる」ムービーというか、リラックス「しながら見る」ムービーというか。(インタビューで、監督のジム・ジャームッシュは、「堅苦しく見るもんじゃない」と言っていた。全く以て同感だ。)


だって、ほとんどの2人組はギスギスしているんだもの。そんな会話ほど、おもしろいんだけど。


ここで言う会話は、その内容はもちろん、役者の表情も含む。だんだん気まずくなる空気に耐えきれなくなる、そんな顔は身に覚えがあったりなかったりで、なんだか笑ってしまう。


どれも好きだけど、驚いた掌編で言えば『いとこ同士(COUSINS)』。映画スターとして輝く女性と、そのいとこである女性。いとこの方は、一見友好的だけど、スターである彼女を妬んでいることが、表情やことばの端々から滲んでいる。


ぼくは、他の掌編と同様、2人をまったくの別人として見ていた。けれど、これは視聴後に知ったことだけど、どちらも同じ女優、つまり同一人物らしい。見た目は、メイクや服装でいくらでも変えられるにせよ。


雰囲気も口調もまったく違うので、同一人物であることを前提として見返しても、やはりまったくの別人にしか見えなかった。ちなみに、ケイト・ブランシェットという女優。


『コーヒー&シガレッツ』は、すべて演じている役者の当て書きだ。(上記のような、同一人物の場合を除く。)それが、存分に発揮された作品だと思う。


特になにが起こるわけじゃないけど、日々の生活の中に、ぽんとあってほしい。そんな映画だった。

コーヒー&シガレッツ - ジム・ジャームッシュ監督(2003年)

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