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アインソフ創業

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2009年、体外離脱。 その年の内に突き動かされるようにドラマが起きてアインソフを創業する。
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記事一覧

尊い愛を振り返る2

尊い愛を振り返る2

お母様が出ると、慌てて、彼に代わってくれた。彼が出ると、私は電話越しにわんわん泣いてしまった。
会いに行こうとしたのに行けなかったこと、明日でもう会えなくなることが辛いこと、ワンピースがゲロだらけになってしまったこと。

まだ、彼は高校生だったのに、運転免許もとったばかりなのに、迎えにいくから待ってて、と言ってくれて、私を彼の実家まで連れて来てくれた。ご両親もおばあ様も妹さんも、こんな夜中にヨレヨ

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尊い愛を振り返る

尊い愛を振り返る

私が22歳くらいの時だったと思う。大学在学中に運転免許を取得しなくてはと思った私は、当時、アルバイトはしていたが、お金はなく、何かの本に書いてあった方法で居住地の運転免許センターで実技試験を受けて運転免許の取得をすると言う格安な方法を見つけて実践することにした。
仮免を取ってから、「仮免許運転中」の貼紙を自家用車に貼って、運転経験のある人に助手席に乗ってもらえれば一般道を走ることができる。今も出来

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家系 (7)

家系 (7)

15歳の時に父親の勧めで海外にホームステイに行く機会を得てアメリカに行きました。母はカトリックで信心深い人でしたので、その影響か私も小さい時に洗礼を受けて学校に上がる前からキリスト教教会に通っていました。母は信仰の影響で奉仕的な人でしたので、海外から来る子供をホームステイさせる事も自然にするような心持ちの人でした。カナダから来た同い年の女の子と意気投合した私は、彼女の家にホームステイさせてもらう事

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ハクモクレンの家 (6)

ハクモクレンの家 (6)

走川さんに紹介されたのは、沖縄でユタと呼ばれるような職業の方だったようであったかもしれないが、当時の私はそのような職業のことは知らなかった。私の話を丁寧に聞いてくれたが、その時、私は祝田さんとの面談にお代を請求されるようなことがなかった。彼女が話してくれたことで覚えているのは、彼女が真言宗のお寺でお勤めしていたことと、癌を患っていることだった。走川さんの家でマッサージ中に見えたこれまでみたことの無

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マッサージから初トリップ (5)

マッサージから初トリップ (5)

ホテルでの走川さんのマッサージを経験してから、私は人に触れてもらう事で、精神的に癒され、健康が改善され、波動が整っていくことを感じていた。

人に紹介されて、ある場所に行って、また、そこにいる人に紹介を受けたり、メッセージを受け取って、次の場所に行くという旅を続けていると、再度、紹介を受けて、走川さんのマッサージを紹介される偶然があった。

今度は彼女の自宅に出向いてマッサージを受ける事になり、小

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わらしべ長者 (4)

わらしべ長者 (4)

島に降り立つと、意外に大きな街であることに驚いた。
診療所がある様な小さな島かと思いきや、この規模であればどうやって連絡の取れない相手を見つけたらいいのか。。どうする事も出来ず歩いていると、ひときわ、私を惹きつける美しい店構えの小物屋さんがあった。大振りの天然石や、シーグラス、流木などをあしらったピアス、置いてある物全てと波長があって、惹きつけられるものばかりが置いてある店だった。店主が話しかけて

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宮古島 (3)

宮古島 (3)

1週間ほど前、私は宮古島の空港に降り立っていた。
10年以上も友人であったり、私の空想の恋人であったTが、これから宮古島に行くと行って消息を絶ってしまったからだ。

出会った当時、私はまだ20歳になったばかりの世間知らずな女子大生で、サークルやアルバイト、大学生活になって始めて体験する様な人間関係に追われて、勉強もそこそこに流行を追いかける様なフワフワとした生活をしていた。

Tは年下であったが、

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体外離脱 (2)

体外離脱 (2)

気がつくと、朝の光が目に入って来て、清々しい島の朝の音が聞こえる
体外離脱中にも、部屋の中を歩き回っていた猫の気配を感じて
私はゆっくりと目を開けた。

事務所に泊まり込んでくれていたのか
私が朝を迎えるまで寄り添ってくれていた祝田さんは
「昨夜は主人に電話して、客人が倒れてそのままの状態だから帰れないと言ったのよ。
でも、今朝は早く出なくちゃいけないから。」

祝田さんはこの島に来てから、マッサ

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導入 (1)

導入 (1)

フランス式庭園のような人工的に丸く刈り込まれた樹木が点々と植えられた道を、私は流れるように進んでいた。
鳥になったような視点で、自分自身が飛んでいるようなスピードと動きでその景色を眺めていた。

フルカラーの躍動的な映像が無限に流れる中を、私は漂っている。

しばらくその場面を眺めていると、
今度は、水平線の遠くに見覚えのある島影が見える。
空気感で自分が島風を感じている事がわかる。
切ない思いで

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