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立ち上がれ、寺越

こんにちは、ゴン田中っす。寺越さんの企画に今回同行している、ゆくゆくはドキュメンタリー作家かなぁ〜なんて(笑)
昨日の夜、寺越さんはラフスケッチに必死にとりかかっていた。シャッターに描く絵をみせるため‥しかし絵心ないなぁ。大丈夫か?
一息着いた寺越さんとオリオンビールで乾杯した(悲しいかな、今のところオリオンビールが一番沖縄っぽい)寺越さんにその土地の食べ物とかあんまり食べないんですか?と聞いてみたら

「別に食べなくはないけど結局時間なくなってコンビニとかスーパーになっちゃう事が多いかな」

こんなに各地いってるのにその土地の名産食べないなんて〜信じらんない。勿体ねぇ〜。え、観光とかするんすか?って聞いたら

「フィールドワークはするけど、観光とは違うような。何を作るか常に考えてて、そういうところばっか見ちゃうし、やる場所決まったら基本毎日そこばっか」

勿体ねぇなぁ〜勿体ねぇよ〜。
まぁでもそっか、この人は目的が違うもんなぁ、あ、今回の僕の目的は密着じゃん!と気を引き締めて密着しようと心に誓った‥けど‥けど‥沖縄そば、テビチ、泡盛、あ〜誘惑が多すぎる!と葛藤しながら昨日は眠りに着いた。

この日の朝も勿論早い。
もうお決まりのようにしかめっ面した寺越さんがタバコを吸っていた(笑)本当はこういう顔を映像とかで残せたら面白いんだけどなぁ。
寺越さんは朝からシャッター描く化粧品店にいき、ラフスケッチを渡していた。色の調整をしてGOサインが出たっぽいぞ。早速材料を買いにホームセンターへ。まぁ車がないし遠いからバスだよねぇ。寺越さん車使おうよ〜。ホームセンターへついて寺越さんは店員と話している。

「身体に塗料を塗ってシャッターに描きたいんですけどどれ買えばいいですかね?」

戸惑う店員。めちゃくちゃ困らせてんじゃん(笑)なんとなく少しずつ理解し始めた店員がいろいろ寺越さんに説明してる。うん?寺越さんの顔色がみるみる変わっていく。どうしたんですか?と聞いたら

「高い‥こんなにかかるとは‥10万‥下手したら20万‥」

まぁでもそうかぁ2m×5mのシャッターだもんなぁ。今も営業してる店だし、ちゃんとした塗料でやんなきゃだもんなぁ。寺越さんの顔がどんどん青ざめていき気づいたら外の喫煙所で黄昏れていた。うわ〜しかめっ面が更に濃く見える(笑)どうするんですか?という僕の声が聞こえていないのか寺越さんは漂うようにもと来た道を戻り始めた。歩いている寺越さんに生気はない。落ち込んだ人間ってこんな感じの歩き方になるんだ〜。足に力がはいってない感じ。おいおいどうした、頑張れよ〜という気持ちで暫く歩いて勇気をもって聞いてみた、どうするんですか?

「‥諦めきれないから違うアイデア考えてるけど‥」

と消えそうな声で呟く寺越さん。おい〜アイデア出なそうじゃん。めちゃくちゃ生気ないって〜。うわ、もう銀天街が近づいてきちゃった。どうするんだろう。生気ない足取りでシャッター貸してくれる化粧品店に入っていく寺越さん

「本当にすいません。ホームセンターで調べたところ塗料の値段がおれの予算オーバーで、すいません。折角OK出してくれたのに申し訳ないです、ただ‥」

お〜諦めたんじゃなかったのか!いいぞ、いいぞ!なんだ新しいアイデア見つかったか?

「1日だけ水性でシャッターでボディペインティングをやらせてもらって終わり次第全部消すというのはダメですか?」

ちゃんとしたの買えないから安い水性の塗料で1日だけパフォーマンスやるってことだよな?う〜ん、どうなんだ〜頼む〜

「それだったらやんなくていいわよ〜」

アッサリ断られ、わかりやすい落ち込み方をする寺越さん。おいおいまだまだ粘れよ〜アイデアないのか?あ〜お礼をいって店を後にしちゃったよ。あ〜あ、ベンチに座って空を見つめてる。いや〜これ相当きてるな。どうしよう〜どう声かければいいんだ、う〜ん‥よし!僕は密着にきてるんだ!声をかけよう。どうするんですか、寺越さん?

「‥目的がなくなっちゃった。銀天街にとどまる必要もなくなったなぁ。かといってどこへ行けばいいのやら、何を作るか分からなくなってきちゃったよ」

途方に暮れているというのか、この状態は。きてるなぁ〜頑張れ!ひねり出せよ〜立ち上がれ!
僕の気持ちが届いたのか、突然寺越さんが立ち上がり歩き出した〜!うん?なんだ?なんか思いついたか?ただ寺越さんが向かった先はスナック。
え、ここで何かやるの?あ〜あ、もうやけになって酒飲んでんじゃん。いや〜もう声かけらんねぇよ。
こりゃもう今日は無理だな、この人。僕もビールを飲もうっと。何も喋ることなく二人飲んでいると突然寺越さんが立ち上がり店を出る。え、どこ行くの?勘定まだだよ。とりあえずついていくと化粧品店のシャッター前に佇んでいる。え、まさか‥怒りをぶつけるの?それはやめた方がいい寺越さんと言おうとした時

「これからインスタライブやります」

は?

「もうなんかいてもたってもいられないので、やろうとしてたイメージをやっちゃいます!色はつけられないので想像で」

意味わかんな過ぎて怖いよ(笑)でもなんもしないよりいいよ〜。それで寺越さんの気がすむなら好きなだけやったらいいさ。ちょうど暗くなり人もあまりいないしね。お、いい感じで電灯が照明変わりになってるじゃん!
赴くままに動き始めた寺越さんの身体は波打ち、シャッターに少し触れる事によってシャッターの音が心地よい。お、目には生気が戻っている。あ〜こういうイメージで寺越さんはこのシャッターに色をつけたかったのかぁ。一心不乱にシャッターの前で躍動する寺越さんをみていた。途中で人が通りかかったりしたけど関係なしに身体を動かし続けている寺越さんをみていて、更にここまでの歩みをみていたからなのか、赤い色がほのかに見えた気がした‥まぁ酔ってたからなぁ。
身体がどんどん緩やかになっていき止まり呼吸を整える寺越さん。僕が感想をいうと

「そうなんですねぇ。もうなんも考えてなかったわ。ただシャッターの振動が心地いいなぁって。しかしこんな夜更けに怪しいっすね(笑」

あ、インスタライブで誰かみてくれてたんすかね?
寺越さんはスマホを見て笑った。

「0人ですわ(笑」

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