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センスオブワンダー 田園の水 5月28日~365日の香水
センスオブワンダー
この言葉は最近知ったばかり。「沈黙の春」で知られる環境学者レイチェル・カーソンによる造語。
「自分以外の存在を感じる」「自分が自然の中の一部であることを感じる」そういうことの大切さを言ったらしい。
嗅覚に関わる世界にいて、あらためて振り返ると“感覚”に全く自信がないことに気づく。
もちろんそれは、仕事として、芳香物質を検知する、分析するという“行為”のことではない。
五感、受け
UOMO? 5月27日~365日の香水
モスキーノのポップ
今も現役で活躍しているオリビエ・クレスプ(Olivier Cresp)が手掛けたモスキーノのメンズフレグランスで1998年にリリースされた「UOMO?」。
創業者のフランコ・モスキーノは1994年に急逝したけれど、その後も、このハウスが体現し続けている世界観は、ポップでアーティスティックでカラフルなもの。
それは次々に出される香水も同様で、遊び心にあふれて、まるでポップカルチャ
エメラルドとダイヤモンド 5月26日〜365日の香水
エリザベステイラー、クレオパトラ、エメラルド
5月の誕生石はエメラルド。
5月の始まりにはコティ(coty)のエメロード(emeraude)をあげたので、今日はエリザベステイラーのエメラルドにしたい。
エリザベステイラー、エメラルドで連想されるのは彼女が主演した大作「クレオパトラ」だ。実は未見なのだけれど、写真などで見ると、とにかくその美しさに圧倒される。どんな美しさか、ゴージャスでグラマラスな美
タマンゴ 5月25日〜365日の香水
奴隷の物語
カルメンで知られる作家プロスペル・メリメ。
彼の初期の小説のタイトルが「タマンゴ(tamango)」という。奴隷と奴隷商人が登場する自由をテーマにした短編作品らしい。
タマンゴは主人公の奴隷の名前という事だ。
メリメといえばカルメンしか知らなかったけれど、邦訳もあるので、読んでみたい。
今日の香水
ここに行きついたのは、今日の香水からだった。
どの国の言語にも見当たらず、出てきたのが
八日目 5月24日〜365日の香水
The eighth day
旧約聖書の天地創造が起源になって一週間が七日になった。
その”七日間”のスキームゆえ、英語やフランス語の「八日目」(英語:the eighth day/フランス語:le huitième jour)という言葉は、”七日間の枠組みの外”、”新しい創造”という意味を含むということだ。
五感を超えた第六感というフレーズと似ているかもしれない。
規定からはみ出したもの、こと、
サンタフェ 5月23日~365日の香水
サンタフェ~ガイドブックのない街
昨日のカルフォルニアからアメリカの中西部、ニューメキシコ州のサンタフェに。
アメリカン・インディアンである先住民プエブロ族が築いた古い都市で、農耕民であったプエブロ族の人々の風習や文化はいまもサンタフェに継承されているようだ。
16~17世紀、入植してきたスペインによってカソリックに改宗させられていくので聖堂の歴史遺産もいくつかある町。
ジョージア・オキーフ美術館
酸素 5月22日~365日の香水
酸素って?
酸素のことをあまり考えたことがなかった。
英語のOXYGEN(オキシジェン)は、ギリシア語のoxys(酸)とgenen(生む)を合わせた言葉。日本語訳もその文脈で「酸素」とされたそうだ。
これは、発見された時点では「酸を生むもの」と理解(誤解)されていたため。
酸素を始めて発見した人はそれをすぐに公にしていなくて、その数年後に別に発見した人が出て、彼が科学史上の酸素発見者になっていると
花開花謝 flower by KENZO 5月21日~365日の香水
赤
高田賢三の色遣い。その鮮やかさは、こちらの気持ちを明るくしてくれる。メルヘンで斬新な色遣いの底流には美への賛美と人への優しい感情が流れている。歴代の香水のパッケージにも同じことを感じる。紫を基調に黄色を指す、あるいはオレンジ、などそれらが絶妙なバランスで優美な彩られ方をしていて、陶酔できる。
フラワーバイケンゾー(flower by kenzo)のイメージカラーは赤で、赤の中でもどんなニュアン
パステル 5月20日〜365日の香水
香りを混ぜる
ワークショップをしていて最初のころは、各々の香料がいい香りといい香りだけれど「混ぜたら変なにおいにならないか」という不安、質問をうけることが以前はよくあった。
たくさんのベースを用意しつつ、毎回のテーマにあった香料を選び、
新しいベースを調合し、そして、どのような組み合わせでも、相乗効果が発揮されるように・・・いつもそれを理想にしている。
絵の具を混ぜる
水彩でも油彩でも絵の具を混
アイボリー 5月19日~365日の香水
デザイナーの理想の女性像を体現するスターたち
デザイナーは女優を自身のブランドのアイコンにすることがよくある。
有名なのはジバンシーとオードリーヘップバーンの関係。他にもカトリーヌ・ドヌーブはサンローランとは公私で交友があり、ハウスにとってはミューズというか「お姫様」のような存在であったという。
今日の香水、イヴォアール(ivore)のバルマンにとってのミューズはソフィア・ローレンだったと聞いた。
ウルトラヴァイオレット 5月18日~365日の香水
香水のバイアス~ボトルデザインとパッケージ
パコ・ラバンヌ(paco rabanne)のウルトラバイオレット(ultraviolet)にであったとき「思いがけずいい香り」と第一印象を持ったことを今でも覚えている。
楕円形のボトル、それを収めるパッケージはプラスチック、液体はネーミングを体現したようなカラー。
何もかもが、「逸れて」いて、きっと香りも「奇をてらった感じ」と想定していたのだ。
ボトルデ
プチ・ゲラン 5月17日〜365日の香水
初めての香水の思い出
初めて香水らしきものを買ってもらったのは小学生の頃、もしかすると就学前だったかもしれない。
デパートのポップアップで小さなミニチュアみたいなボトルがたくさん並んでいた。
両親が、小さな香水を可愛いと思ったのか通りすがりに見つけて買ってくれた。
匂いそのものよりボトルの見た目で選んだ。
楕円形に襞が入りキャップがクロスになったペリドットのような色の液体ののものを、たくさんの候補
切望 5月16日〜365日の香水
願う
何かを強く願う時にも、おかれた状況や微妙な心理で表現は変わる。
熱望、渇望、それに切望。
切望しても熱望しても、言葉として使うということは、その強い思いを誰かに伝えるという行為なので、そう考えると、これらの言葉を使うことはあまりなかった気がする。
私は強い望みを他者に伝えない?
他の人はどうなんだろう?
longing
英語にも同じようにパターンがあった。
欲望として比較的、日常会話にも頻
リッチクラブ 5月14日〜365日の香水
香水の佇まい
香水を鑑賞すると、纏った人、その人のいる場所、情景が香りととともに”立ち上って”くることがある。
香りは形がなく可視化できないので、抽象概念的で具体性がない。
その分、個人の嗜好や感情、記憶と結びついたときには、その人にとって極めて具体的なものになるのが面白い。
私が先に書いた”出会った香水から沸き立つ情景”は、私の嗜好や感情、記憶とはあまり関係がない。
言葉にすることが難しいけれど
ブシェロン 5月13日〜365日の香水
クエッション
19世紀半ば、ヨーロッパのブルジョワ女性のファッションといえば、コルセットでウエストを締め上げ、クリノリン(ペチコート)でウエストから下を膨らませ、横から見た時に綺麗なS字カーブを描くようなスタイルだった。実際に当時の女性の中にはコルセットで締め上げることが行きすぎて肋骨にヒビが入るようなこともままあったと何かで読んだ記憶がある。
ドレスにしても袖口や胸元の無数のボタン、ドレスのため