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八日目 5月24日〜365日の香水

The eighth day
旧約聖書の天地創造が起源になって一週間が七日になった。
その”七日間”のスキームゆえ、英語やフランス語の「八日目」(英語:the eighth day/フランス語:le huitième jour)という言葉は、”七日間の枠組みの外”、”新しい創造”という意味を含むということだ。
五感を超えた第六感というフレーズと似ているかもしれない。
規定からはみ出したもの、こと、ときを意味している点が。

映画「八日目」
1996年に公開されたフランス、ベルギー、イギリスの合作映画。同名の原作小説(アラン・ド・ボトン著)があるけれど邦訳はないようだ。
昨日あらためて観て、「大事な映画」だと思った。
詳細は省くけれど、エリートで社会的にも経済的にも成功している主人公アリーが、ダウン症の青年ジョルジュとの出会いを通して、自己を変容させていくストーリー。
他者を思うとは何か、人と人の交流に壁を作る強烈なバイアス、について心臓を鷲掴みにされたような描写やセリフが流れる。

人はいつでも変容できる
映画を観ていれば無垢で友達思いのジョルジュに感動するけれど、実際に、街中で初対面の人に急に求愛されたら戸惑うし、相手を受容れないことで癇癪を起こされたら怖いと思うのも事実。
映画と同じように、真っ直ぐで純粋な心の持ち主に出会ったとき、バイアスから解放されて本当のことを見ることは私にできるのだろうか。
アリーがそうであったように、人はいつでも変容できる。
これを映画の中の出来事と線引きをするのではなく、自分の心をなるべく無防備に、解放していきたい。
無防備になれないとき、何かに傷つくことを私は怖がっているのだろうか。

8e jour/Yves Rocher/1993
映画の公開が1996年なので直接的には関係はない。
映画「八日目」のイメージカラーはグリーンだった。それは自然に帰る、ありのままの自分になることが「八日目」の出来事だからと解釈している。
香水「八日目」は深いオレンジのボトルにラピスラズリのキャップ、深い地層やそこに眠る鉱石を思わせる。
それはどこかで人の深層心理と重なる色合いだと感じた。
香調も、スパイシーで深みがある。ヴァイオレットやイランイランのフローラルと樹脂系の香りはかなり持続するので、トップノートのインパクトが去ると、香りはクラシカルな重厚なフローラル感をだしてくる。
この持続性がかなりあるので、どんどん深層心理を探求していくような気分になる。
いつでも八日目を迎えることができる。
私はいつでも変容できる。
映画と香水がそう言ってくれた。

香り、思い、呼吸
5月24日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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