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タマンゴ 5月25日〜365日の香水

奴隷の物語
カルメンで知られる作家プロスペル・メリメ。
彼の初期の小説のタイトルが「タマンゴ(tamango)」という。奴隷と奴隷商人が登場する自由をテーマにした短編作品らしい。
タマンゴは主人公の奴隷の名前という事だ。
メリメといえばカルメンしか知らなかったけれど、邦訳もあるので、読んでみたい。

今日の香水
ここに行きついたのは、今日の香水からだった。
どの国の言語にも見当たらず、出てきたのがメリメだった。
レオナール(leonarld)というブランドイメージからは南洋のエキゾティックな花を連想させる。
その名の花があるかは探しきれなかったけれど、現地の言語でそう呼ばれている植物はどこかの島々にありそうだ。

タマンゴという語感
聞き慣れない音感の言葉はレオナールの花々の世界観とあいまって異国情緒を醸す。
未読だけれどシビアなメリメの小説とは趣が違う。
このネーミングの由来がとても気になるところだ。
筆で書いたようなロゴの書体、南洋の島々を連想させるようなエキゾチックな語感のネーミングからは、ひと世代前のギラロッシュ(guy  laroche)のフィジー(fidji)を思わせるものがある。
どの地点から思うかによってエキゾチック〜異国情緒の様相は随分異なるけれど、20世紀半ばの都市からすれば、それがパリでも東京でも、南洋の島々の光景は共通してエキゾチックなものであったと思う。
小説タマンゴの主人公の出身地であるアフリカもエキゾチックではあるけれど、アフリカのそれがダイナミックなのに対し島々の方はなめらかさを感じさせる。
打楽器の激しい音に対する弦楽器の流線的な音のような違いと言っていいかもしれない。

タマンゴの香り
驚いたことに、アルデハイディックなフローラルシプレーで良質な香水だった。
1977年のリリースということで、香水がオリジナリティ持って制作年月を費やして世に出ていた時代であったことの恩恵が、こんな小さなボトルにも見出すことができた。
現在も流通があるようだが、現在では使えない香料の処方もあり、大幅なリニューアルが想像される。

tamango/leonarld/1977
スパイシーなアクセントのあるトップノート、ミュゲやローズ、ヴァイオレットなどのフローラルが品よく香る。グリーン感、アルデハイドの拡散、フローラル、シプレーととにかくバランスがいい。
思いがけず、逸品を発見した気分。

きっと、カルメンの陰に隠れてあまりスポットの当たっていなかった小説タマンゴも、香水タマンゴと同じくらい秀逸なのだろう。
小説と香水、両者に深い関係性はなさそうなのに、異国情緒という一本の意図が、奇跡的に二つを繋いだ。
この言葉は、メリメの小説とレオナールの香水以外に、使われていなさそうなのも面白い。

香り、思い、呼吸。
5月25日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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