見出し画像

FRIENDLY DOORってどんなサービス? 住宅弱者と不動産会社をつなぐさまざまな活動

コンビニの数より多いと言われる不動産会社。入居者を待つ多くの物件。
しかし、自身のバックグラウンドゆえにお部屋探しが思うようにいかない人がたくさんいます。

FRIENDLY DOORは、住まいの選択肢に制限がある人を“住宅弱者”と称し、社会課題解決を住宅の視点から取り組むプロジェクトです。
ただ、「実際にはどんなことを行っているの?」というお声をいただくことも…。
今回はFRIENDLY DOORの取組みをもっとたくさんの方々に知ってもらうため、プロジェクトで提供中の全サービスをそれぞれ紹介していきます。


そもそもFRIENDLY DOORとは?

FRIENDLY_DOORサイトトップページ

LIFULL HOME’S FRIENDLY DOORは、LIFULL HOME’S が取り組む住宅や住環境関連を通じた社会貢献活動”ACTION FOR ALL”のプロジェクトの一つです。

FRIENDLY DOORでは、さまざまなバックグラウンドにより住宅を借りづらいユーザーと不動産会社、それぞれに向けたサービスを展開しています。

対ユーザーを、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、高齢者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者の7つのカテゴリーに分類。そうしたバックグラウンドに対して理解があり、住まい探しについて相談できる不動産会社を探せるサイトを提供することで、住まい探しに抵抗を感じやすいユーザーの心的負荷を下げることが目的です。

一方、対不動産会社やオーナーには、接客チェックリストセミナー(不動産会社向け有料セミナー、不動産オーナー・仲介会社向け無料セミナー)を提供しています。
住宅弱者の多くは、「お部屋を借りたいけれど、借りるのに苦労する」「以前に不動産会社で嫌な思いをした」といった経験があるそうです。
こうした状況が生じているのは、不動産会社の住宅弱者のバックグラウンドに対する無理解や知識不足が原因だと、LIFULL HOME’S では考えます。
そのため、住宅弱者それぞれのバックグラウンドについての情報や、業務上で活用できる情報を発信し、不動産会社の認識のアップデートを図ることを目指しています。

こうした、対ユーザー、そして対不動産会社やオーナー、双方向の働きかけによって、住宅弱者と不動産会社の隔たりを近づけ、“したい暮らし”の実現へと取組みを進めているのが、FRIENDLY DOORなのです。

※ACTION FOR ALLのもう一つの柱である”えらんでエール”については、既存記事「一時避難施設シェルターを、住まいの軸から考える。えらんでエールの取組み」でご紹介しています。

ここからは、FRIENDLY DOORの各サービスを具体的にご紹介していきます。


サービスその1・住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索

住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索

対ユーザーに向けたサービス『住宅弱者カテゴリー別フレンドリー不動産会社検索』は、住宅を探すことに困難がある人を、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、高齢者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者の7つのカテゴリーに分類しています。
ユーザーは自分に該当するカテゴリーを選び、住みたい都道府県を選択、そのカテゴリーに対してフレンドリーな不動産会社を探すことができます。

ここに掲載される不動産会社は、FRIENDLY DOORの趣旨に賛同し、上記カテゴリーの方々へ親身に対応できると表明している会社のみとなっています。

FRIENDLY DOOR参加店の表示例

FRIENDLY DOOR参加店は、LIFULL HOME’Sの店舗情報ページにも“FRIENDLY DOOR参加店”の旨が明示され、対応可能なカテゴリーが表示されています。

現在FRIENDLY DOORでは、会社検索以外にも難民・避難民に対する住まいの支援窓口を開設しています。
今後はさらに、住宅の分野での支援活動に注力する予定です。

LIFULL HOME'S 難民・避難民に対する住まいの支援窓口


サービスその2・不動産会社向け接客チェックリスト

不動産会社向け接客チェックリストは、住宅弱者への理解を促進し、不動産会社の意識をアップデートすることを目的に作成されています。

設問に回答し、正答率を確認できるだけでなく解説を通して理解を深められるのが特徴です。
基礎的な用語紹介のほか、接客時のシチュエーション毎に気を付けるべき点をはじめとした店舗運営時に役立つポイントを確認することができます。

現在は、LGBTQ接客チェックリスト障害者接客チェックリストの2つが公開中です。

LGBTQ接客チェックリスト

LGBTQ接客チェックリスト初級編・上級編

LGBTQ接客チェックリストは、初級編・上級編の2編で構成されています。

▼「LGBTQ接客チェックリスト」初級編

▼「LGBTQ接客チェックリスト」上級編

LGBTQと冠してはいますが、セクシャル・マイノリティの方に限らず、オールフレンドリーな接客方法をもとに制作されています。
監修には、LGBTQ当事者のライフプランニングサポートや不動産仲介を行う株式会社IRISの代表取締役CEO須藤啓光さんにご協力をいただきました。

初級編では、「LGBTQに関する基本的な知識を有しているか」「適切な接客ができているか」の2つの点に注目した設問を用意。
上級編では、さらに一歩踏み込んだ意識の確認になり、より具体性が強く、顧客満足度の高い接客ができているかにポイントがおかれた問いになっています。

このリストができた背景や、設問の詳細などは、既存記事「あなたの店舗は何点? 不動産会社向け『LGBTQ接客チェックリスト』に挑戦しよう」で紹介しています。

障害者接客チェックリスト

障害者接客チェックリスト_身体障害編・精神発達障害編・知的障害編

障害者接客チェックリストは、障害の種類に合わせた3つのパターンが用意されています。

▼「障害者接客チェックリスト」精神・発達障害編

▼「障害者接客チェックリスト」身体障害編

▼「障害者接客チェックリスト」知的障害編

不動産仲介・管理業務において、障害のあるお客様は一般のお客様と比べて事前準備が多く必要になります。このチェックリストでは、その認識の確認と、具体的にどんな準備や対応が必要かを知ることができます。
このチェックリストの監修は、東京都指定の居住支援法人メイクホームグループにご協力いただきました。

障害者接客リストができた背景や、設問の詳細などは、既存記事「不動産会社向け『障害者接客チェックリスト』に挑戦しよう」で紹介しています。


サービスその3・不動産会社向け有料セミナー

LIFULLHOME'Sアカデミーが提供するLGBTQ研修のご案内資料

不動産会社向け有料セミナーは、FRIENDLY DOORと不動産特化型学習プラットフォーム“LIFULL HOME'Sアカデミー”が共同で行う、不動産会社に特化した講座です。

現在提供しているセミナーとして、LGBTQ接客研修があります。
LGBTQ接客研修では、LGBTQ接客チェックリストでも協力を仰いでいる株式会社IRISと連携。受講者の意識改革と、接客の質を上げるための講習を展開しています。
研修は、LGBTQ当事者のお客様に向けた接客時の注意点を共有して、今後の業務に活かせる内容です。

2021年には、積水ハウス不動産ホールディングス株式会社に採用いただき、加盟店に向けた1000店舗規模でのウェビナーを実施しました。
講座の詳しい内容や担当いただいた方の声を、既存記事「【LGBTQ研修×不動産会社】積水ハウスグループが取り組むダイバーシティ&インクルージョンとは?」で紹介しています。


サービスその4・不動産会社・オーナー向け無料セミナー“FRIENDLY DOORセミナー”

LIFULL HOME’S Businessで行われるFRIENDLY DOORセミナー

FRIENDLY DOORセミナーは、不動産業界で働く方向けのLIFULL HOME’Sのサービス“LIFULL HOME’S Business 仲介・管理”で行われているセミナーのうち、FRIENDLY DOORで扱う分野に特化した講座です。
参加費は無料。先着順でどなたでも参加することができます。

住宅弱者支援に詳しい専門家を講師に迎えて、対応方法や支援の仕方、住宅弱者に向けた不動産活用の実例などをレクチャー。
それぞれの分野の現場の声を聞き、今後の学びにつなげる内容です。

これまで10回開催し、毎回好評をいただいています。

【これまでに開催したセミナー】
生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【基礎編】
生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【実践編】
LGBTQの方々の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
高齢者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
シングルマザーの住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
外国籍の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ
LGBTQの方々の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【実務応対編】
生活困窮者の居住支援 〜 制度の活用法と空室対策 〜
住宅弱者(暮らしの基盤)を支えるデジタルツール活用
居住支援法人から学ぶ 身体障害者の住まい探し対応ノウハウセミナー

▼FRIENDLY DOORセミナー

既存記事「FRIENDLY DOORセミナーレポート/「生活困窮者の居住支援」認定NPO法人抱樸 奥田知志さん」では、セミナーでの様子や一部内容をご紹介しています。


おわりに

2021年2月のあんしん居住研究会の調査によると、日本における住宅弱者の割合は、2017年時点で全人口の推定30%、2035年には約45%に増加すると予測されています。シングルマザー・ファザー、被災者の方々も含めると、さらにその比率は大きくなります。
人の営みの要ともいえる住宅は、社会問題とも大いに関係しています。暮らしが多様化する今、不動産業界においても情報のアップデートが必要といえるのではないでしょうか。
このLIFULL HOME'S ACTION FOR ALL noteでは、FRIENDLY DOORの活動の様子はもちろんのこと、社会問題に取り組むNPOや企業の方へのインタビューなど、住宅弱者にまつわるさまざまな情報を発信しています。ぜひご活用ください。


✳︎LIFULLHOME'S
✳︎LIFULLマガジン
✳︎株式会社LIFULL


この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?