北条 なすの

主義主張の言語化とショートショートを投稿中。 教養のある人間が理想。歴史・アニメ・アウ…

北条 なすの

主義主張の言語化とショートショートを投稿中。 教養のある人間が理想。歴史・アニメ・アウトドア・野球・短歌などなど多ジャンルでオタク力を発揮中。試行錯誤しながら、自分の世界を伝えられるように積み重ね。 ブログ:おたたびのススメ△も運営中 https://hayagumo.xyz/

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最近の記事

こいは忘れられない【旅先ショート⑧】

いろは坂みたいな坂道を登る。 修学旅行を思い出した。 馬力の出ない原付で登って行く。 きっと走ったほうが速い。 昨夜の雨で道路が濡れているから、カタツムリみたいだ。 五分ぐらい木のトンネルを進めば「花の奥山高原」に到着する。 古くから続いていたこの場所も今日でおしまい。9歳の頃に行ったのが最後だから30年ぶりくらいかな。8月は無料開放されているし、今日は人で溢れていると思っていた。 だって今日は最後の日曜日だから。 チケット売り場はシャッターを閉じ、ゲートは解

    • 引き寄せの法則はマジかもしれない。

      始めに、私は頭にアルミホイールを巻くような人間ではありません。 「迷信めいたものより努力を積み上げろ」 と思っているので、スピリチュアル否定派です。都市伝説とかスピリチュアルは大好きですけど、現実と混同しないように生きていました。 私が引き寄せの法則について考え始めたのは、とあるYouTubeの動画が発端でした。よくありますよね、にちゃんねるのスレッドを動画にまとめてるやつ。そこで展開される理論に自分の経験を当てはめると、納得のいくことばかり。 今回は私が思う引き寄せの

      • 日本語ラップは聞く純文学

        私にとって日本語ラップは聞く物語。最近は、この世界に純文学のような美しさを感じています。一曲聞き終わると、物語を読み終えたような満足感。 私は、普段ラップを聞かない層にこそ、日本語ラップをおすすめしたい。 特に私のような典型的な陰キャオタク。陰でこそこそアニメソングを聞いたり、友人と遊びもせずに本を読む普段の私ですが、最近はすっかり日本語ラップの虜になっています。 ラップは偏見が溢れている文化です。 確かに、ヤンキーが歌っているラップもあるし、「大麻が~」と歌っている曲

        • 冷やし風呂【旅先ショート⑦】

          今回の舞台は静岡県浜松市引佐町 俺は100m平泳ぎ決勝の舞台に駒を進めていた。 夢にまで見たオリンピックの舞台、俺は金メダル最有力候補として、世界記録更新が期待されていた。 俺の名前がアナウンスされると、ドッと会場が湧き上がる。 「世界新頼んだぞーー!」 「頑張れー」 「絶対金メダル取ってくれー」 何故だか、日本語の応援ばかりが聞こえてくる。こういう応援は、世界記録更新には必要不可欠だ。心強い味方がいっぱいいると思うと、力が湧いてくるし、いつも以上のパフォーマンス

        こいは忘れられない【旅先ショート⑧】

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        • エッセイ風【日々の日常と経験】
          35本
        • ショート
          9本
        • 私という人
          5本
        • アニメに関して
          4本

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          雲の味【旅先ショート⑥】

          今回の舞台は富士山 「恵、雲の味ってどんなだろう?」 隣に座る雄太が口をパクパクしながらそう言った。数時間前まで私たちを見下ろしていた雲が私たちを飲み込み、一目散に山頂へ駆け上がっていく。3000mを越えた8合目付近では、今まで見たことがない神秘的な光景が広がっていた。 「味なんて思うけどなぁー」 「そうかな、よく綿あめの味って言うでしょ?」 雄太は帽子まで脱ぎだした。そんなに雲が好きなのかな。今日に向けて気合を入れていたのか、ビシッと決まった髪が露になる。少し前ま

          雲の味【旅先ショート⑥】

          社会人になって本が読めるようになった

          学生時代、私は読書から遠ざかっていた。不安が頭を行き交って文字に集中できず、本を読んでも上の空になる状態が続いていた。 自分の気持ちを整理する時間の余裕すらなかったのだから、そんなの当たり前だ。別に自分が特別苦労していたという話ではなく、ただ単純に思春期特有の「漠然とした不安」と戦っていただけのこと。そういう経験は誰しもが通る道だと思う。 そんな青々とした並木道を通り過ぎて社会人になった今。 私は、再び本が読めるようになった。 最近は「働いていると本が読めない!!」と

          社会人になって本が読めるようになった

          夏が詰まったお気に入りの場所【夏の一コマ】

          埼玉県小川町にある廃校 「小川町立旧小川小学校下里分校」で撮影した一枚。今回は夏の一コマという企画が開催されていたので、お気に入りの写真を選んでみました。 真夏の日差し、遊具、校庭、里山。 一つ一つに夏の思い出が詰まっています。 私が子どもの頃は、夏の暑さなんて物ともせずに外に出ていました。むしろ歓迎していたような気がします。インターホンが鳴れば、画面越しに友達がいて、何も言わずに外に出るのです。そのまま校庭の遊具で遊び、遅めのチャイムが鳴ったら家に帰る。これが夏休みのル

          夏が詰まったお気に入りの場所【夏の一コマ】

          炭酸禁止の反動

          巷ではこんなことを言う。 例えば、ゲームの話。 幼少期にゲームを禁止されてから、大人になってゲーム依存症になったという話をよく耳にする。これに関しては科学的根拠があるのかは定かではないが、禁止の反動というのは少なからずあるんじゃないかと思っている。 その一例が、私と炭酸飲料のお話。 私は幼少期、確か9歳頃までだったと思う。父親に炭酸飲料を禁止されていた。そのせいで幼少期の私は苦労したものだ。 友達とご飯を食べに行っても、一人だけ炭酸縛りのドリンクバーがスタートする。皆

          炭酸禁止の反動

          赤トンボ【旅先ショート⑤】

          今回の舞台は愛知県東栄町。 「東栄町?」 ある夏の日のこと。史郎は国道151号線を北上していた。終わりの見えない山道を走っていると、何だか見覚えのある地名に目を奪われた。 「どうした史郎、東栄ってとこに何かあるのか?」 友人の大樹が、怪訝そうな顔で運転中の史郎を覗いていた。 「何かな、ここに来たことがある気がするんだ」 「こんな辺鄙な場所にか? 俺たちは腐っても都民だぜ。史郎はこんな山奥に来るような物好きじゃないだろう」 「まあ、そうなんだけど……」 確かに、

          赤トンボ【旅先ショート⑤】

          東京の密度

          東京の地名は、全国に轟いている。 新宿、渋谷、品川、吉祥寺、八王子、下北沢…… きっと、かなりの地名が全国で名刺代わりになるはずだ。 ただ、筆者が住んでいたのは西東京地域だったので、名刺とは呼べない。 代わりに「八王子の方に住んでいました」と言うと大抵は通じる。 「ああ、あっちの方ね」と。 そんな、地名ばかりが独り歩きする東京都には、実際暮らすことで分かる狭さがある。 実際に東京に住んでみないと分からない感覚だと思う。未知の世界なのに、 少し進めば知っている土地、も

          部活動=教育という理論

          最近、正義マンがこの理論を振りかざして若人を批判する事案が多い。特にこの夏の時期は、高校野球を引き合いに出して、批判的な書き込みをする人が目立つ。 実例を出したら申し訳ないので、遠回しに書いた。実際私の母校も、SNSで大っぴらに批判されていた(しかも特定の個人に対してだ) とにかく、部活動が教育から逸脱しているのを批判したいようなのである。 しかし、そういう人たちは、部活動に対しての考えが根本的に間違っている。 今回は、実際にスポーツで国内留学していた筆者自身の「部活

          部活動=教育という理論

          情熱はどこにあるのか?

          いよいよ8月を迎えようとしている日本。この時期の風物詩と言えば「高校野球」だと思っている筆者です。筆者は野球未経験ですが、炎天下の中で必死にプレーする球児を見て毎年元気をもらっています。 「どうしてあんなに泥だらけになって白球を追っているのだろう?」 そんなことを考えながら毎年応援しているのです。 答えは「野球への情熱」ですが、「情熱」の根源は人それぞれ。 これが私の「情熱」に関する一つの仮説です。 色んな考えがあると思いますが、今回は筆者なりの「情熱」に関する話を。

          情熱はどこにあるのか?

          安易な糖質制限には気をつけましょう

          元々、筆者には週6回の運動習慣があったので、栄養度外視で何でも口にしていました。そんな生活を送っていても、瘦せ型筋肉質体型を維持していました。 しかし、最近は運動を辞めたので脂肪がつく一方……。 そんな生活から脱却するために、糖質カットを決意したのです。 しかし、その生活を2日で辞めざる負えなくなりました。 デメリットを考慮することなく糖質カットをしてしまったせいで、結果的に地獄を見てしまいました。 今回はそんな体験談を手短に記します。 糖質をカットすると発生する弊

          安易な糖質制限には気をつけましょう

          家主の亡霊【旅先ショート④】

          今回の舞台は、静岡県掛川市加茂荘花鳥園 咲夜はこの道10年のオカルトライターだ。今日は静岡県掛川市で有名な心霊スポット「高天神城」についての記事を書くために、名古屋の実家から、掛川市にやってきた。 咲夜は誰も知らない心霊スポットを見つけ出し、自分が第一人者になることが仕事のやりがいを感じている。これまでに無数の心霊スポットを開拓した。その中には、最近ホラー映画化された場所だってあるから、オカルトライターという仕事に誇りを持って取り組んでいる。実績があるから、どこか自信過剰

          家主の亡霊【旅先ショート④】

          ニホンカワウソへのラブレター

          動物園は檻に隔たれた別世界。世界中の生態系を凝縮させる動物園は、小さな頃からオアシスみたいな場所でした。 気持ちよさそうに水と戯れるカワウソ。 悠々と檻の中を歩く狼。 すっかり飼い慣らされて、もはや人みたいなアシカ。 どれも普段の生活では見ることができない世界で、物心ついた時には動物に夢中になっていました。 日本は島国なので、大陸とは少し違った生態系が発達しています。ですが、実際に野生で見られるのは精々鹿や猪ぐらい。アフリカのように多種多様な動物が住まう世界に住めた

          ニホンカワウソへのラブレター

          雨上がり、ヒグラシが鳴く【旅先ショート③】

          今回の舞台:静岡県河津町 私は重度のおばあちゃん子で、いくつ歳を重ねても、何か嫌なことがあるたびに、伊豆にある祖母の家に逃げるのが習慣だった。制服のまま訪ねたこともあるし、スーツのまま訪ねたこともある。私がどんな服装で来ても、どんな時間に来ても、祖母は笑顔で受け入れてくれる。 「おばあちゃん……私……私……」 「辛かったねえ、何日でも居ていいからねえ」 そう言って、大好きな祖母特製のうどんを食べさせてくれる。ほんの少しの生わさびを加えて、涙とともに流し込む。 甘えに

          雨上がり、ヒグラシが鳴く【旅先ショート③】