夕日と橋と(旅先ショート②)
今回の舞台:浜名大橋と弁天島(静岡県浜松市)
放課後に夕日を眺めた弁天島。いつもの定位置には、制服を着た女の子がいた。僕と同じ高校生で、何かに苛まれているのは横顔を見て分かった。朝、鏡で見る僕の表情と同じ表情をしていたから。
きっと夕日に託すものは違うから、同じ場所にいても話すことはなかった。夕日が降りてくると、彼女は鳥居を境にして左側に座る。僕は右側に座る。互いの存在だけを受け入れる。背中を任せて別の何かと戦っていた。この頃から互いにシンパシーを感じていたのは確かだった