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炭酸禁止の反動

巷ではこんなことを言う。

幼少期に禁止されたモノは、大人になって反動が来る。

例えば、ゲームの話。
幼少期にゲームを禁止されてから、大人になってゲーム依存症になったという話をよく耳にする。これに関しては科学的根拠があるのかは定かではないが、禁止の反動というのは少なからずあるんじゃないかと思っている。


その一例が、私と炭酸飲料のお話。

私は幼少期、確か9歳頃までだったと思う。父親に炭酸飲料を禁止されていた。そのせいで幼少期の私は苦労したものだ。

友達とご飯を食べに行っても、一人だけ炭酸縛りのドリンクバーがスタートする。皆がドリンクバーで炭酸飲料を混ぜて遊んでいるのを横目に、マスカットジュースを選んでいた。
別に父親がその場に不在でも一緒だ。当時の父親は私にとって恐怖の対象だったため、自分から炭酸を自制していた節もある。

では、何故私の父親は炭酸飲料を禁止していたのか。それは単純な話だ。

少し前まで、炭酸は骨を溶かすとかいう噂が広まっていた。

これが一番の理由。

今では科学的に否定されているらしいが、私が子どもの頃はかなり信じられていた気がする。父親はずっとスポーツをしていた人間で、当時の私もスポーツをしていた。だから「アスリートたるもの炭酸はのんじゃいかん!!」というノリで禁止されていた。当時は私もこの話を信じてたので、言うことを聞いていた。

そんな私も一度だけ禁忌を破ったことがある。

友達と母親どうしでファミレスに行った際、初めてメロンソーダを飲んでしまった。この衝撃は今でも忘れられない。禁止されているのに飲んでしまった背徳感みたいなものもあったのかもしれないが、甘ったるいメロンの味と、喉を刺激する炭酸が一瞬で私を虜にした。

その後、炭酸を飲んだことがばれて怒られるまでがセット。薄暗いリビングでお説教されて泣いていたのを今でも覚えている。


ここからが反動の話。結論から言えば、父親も考え方を変えたようで、10歳を過ぎる頃にはすっかり炭酸を飲むようになった。

そして今でも炭酸が大好きだ。コーラとファンタが特に好き。
好きすぎて炭酸の中で溺れ死にたいぐらいだ。

これが今の私に問題を及ぼしている。
炭酸が好きすぎて炭酸離れが出来ないのだ。言い方を変えると、お酒に移行しないまま社会人生活を送ってる。

炭酸が好きな大人だって多々いると思うが、私の場合は未だにお酒も飲まず炭酸に執着している。何となく炭酸が好きな自分が、お酒を許せない。もちろんお酒を飲んだこともあるが、それは数える程度。会社の飲み会だって、お酒に口を付けない。一人でコーラ飲み放題チャレンジをしている始末。

「お酒飲むぐらいならコーラでいいや~」

これを拗らせすぎてしまっているらしい……。何故か炭酸飲料に異常な執着を持って、今も社会の大海原を泳いでいるのが今の私だ。


そんな私には、年の離れた弟がいる。

弟は炭酸を禁止されずに、小さな頃から炭酸を飲んでいる。炭酸を飲みすぎて、ご飯が食べれずに叱られるぐらいには炭酸が好きらしい。

「おい『弟』、炭酸飲みすぎるからご飯が食べれないんだぞ。飲み過ぎは辞めなさい!」

「は~い」

「でも、三ツ矢サイダーは美味しいよな~」

「だよね~」

と言って、弟と父親は夕食中に炭酸を飲みまくる。昔の夕食では考えられない光景だ。

「おい、もっと弟を叱ったらどうだ?」と、父親に心の中で突っ込むこともあるが、丸くなった父親には感心している節もある。

これで弟がお酒を普通に飲むようになるなら、証明は完了する。


ちなみにゲームも禁止されていたので、
私は立派なポケモンオタクに育ちました。





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