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糸を手にしてから織物ができるまで。

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日々の仕事風景をすこしづつ切り取って、つづっています。 下絵→図案→紋意匠図→紋図→糸を選ぶ配色→機場で製織→完成! これらの工程で込められている思いや祈りなどに触れてもらえる機…
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#洒落帯

北極星を加えた北斗七星の帯

北極星を加えた北斗七星の帯

以前より制作していたもののなかに北斗七星の帯があります。

ドットの中に北斗七星が隠れていて、見る角度をかえることで、その星たちが姿を現す仕掛けをしています。

上の写真の中にある北斗七星を探してくださいね。この写真は、帯のお太鼓部分です。

私が締めているこちらの帯は、お太鼓と同様腹部分にも北斗七星の一部が見え隠れするようになっているのですが、以前よりずっと改良を加えたくて、今回ようやくそれがか

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〇△■の帯。

〇△■の帯。

前回の投稿で、テスト織りができたというところまで、ご紹介させていただいておりました、〇△■の柄の帯です。

ようやく、織りあがってまいりました。

長い間温めていた図案で、なかなか形になるまで時間がかかってしまいましたが、これまで手掛けたものとは、また少し違った角度から見て、奥行きのある表現方法を見つけた形で織りあがったように思います。

前回の記事はこちらから ↓

前回の記事を参考にしていただ

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〇△■の柄

〇△■の柄

note への記事の投稿がずいぶんご無沙汰となっておりました。

ありがたいことに投稿していなかったこの間、創作に向き合える時間が幾分か多く取れていたので、いくつか新柄を進めています。

色々と作りためてはいるのですが、なかなか思うように形にならなくて記事にできる段階ではなかったということがあります。

この間の時間の感覚をあえて言葉にするならば、テーマとイメージを無意識鍋の中に入れて、ちょっとし

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星と神話

星と神話

今年はとても変化の大きい年で、春の訪れとともに、これまでに経験したことのない「自粛生活」がやってきました。

新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるための対策だったものの、あらゆるところの流通や生産活動が止まってしまったために、私自身も発信の方法を変える意味合いで、このnoteをはじめました。

この『星と神話』と名づけた帯を制作したのは、2019年の年末。

和工房明月の屋号で仕事をするときに

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月ごよみ

月ごよみ

私が今暮らしているところは京都市内といえど随分北の方で、京都の観光マップにはみだして、のらないくらいのほどよい田舎です。

20時ころになると周辺は真っ暗。車も人通りもほとんどなく、夜中に気配がするのはけもののものばかりです。

家の裏山には竹藪もあるので、シカやイノシシが草をはみに来たり、春のタケノコの生える季節には、シャリシャリという音がすぐ近くから聞こえてきます。

夏はなんといっても虫の声

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ねことドーナツ

ねことドーナツ



以前からずっとあたためていた図案をおこして、今年のはじめに帯にしたものがいくつかあって、その時は黒の経糸がかかった機ばかりで織ったので、今回は白の経糸で織る配色をいくつかしてみました。

まずは、一つ目のご紹介。

『ねことドーナツ』、上の写真は今年の初めに配色された名古屋帯のお太鼓部分。

ドーナッツの円のなかから白猫がのぞいています。

チョコレートのかかったドーナツのように、ピカピカ光る

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紙と裂が織り合わさって一枚の布に。

紙と裂が織り合わさって一枚の布に。

独自にコラージュした和紙と大島紬の緯糸(よこいと)をあしらった帯が織り上がってきました。

白色の経糸と、黒色の経糸をそれぞれ掛けた機の2台をメインに動かしており、それぞれの帯がようやく手元に届いたのでご報告です。

下のような、和紙に和紙を貼り重ねて、3ミリ幅に裁断した引箔をよこいとに、アクセントとして織り込んでいるものです。

こちらの制作過程については、前回と前々回の記事をご覧ください。

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一枚の紙が緯糸(よこいと)になるとき

一枚の紙が緯糸(よこいと)になるとき

こちこちと数種類の和紙をちぎっては貼り、ちぎっては貼りを繰り返していた45センチ×60センチ幅の和紙が、裁断から返ってまいりました。

このように、45cmの幅に平行にして、1本1本ごとに細くスライスされています。

今回裁断屋さんへお願いした切幅は、約3mm。このような細くスライスした状態にした和紙などのことを西陣織業界では、『引箔-ひきばく』と呼んでいます。

今回創作したこちらの、緯糸(よこ

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キモノと祈りの形

キモノと祈りの形

上の写真は、先日制作しておりました「古事記ちらし」の完成したもの。

正確に言えば、こちらを細ぉーく裁断して、型(紋)にはめ込み、織りあがった時が完成といえるかもしれませんが…

いや、もしかすると帯などの実用品は、締めていただいた方に寄り添うように使われて初めて完成するといえるのかもしれません。

西陣織だけでなく、キモノの文化には、染めつけたり縫い込まれたりする柄の中に、様々な祈りが込められて

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古事記ちらし

古事記ちらし

世間が動き始めたのと連動して、私たちの仕事もにわかに動き始めました。

☆☆☆☆☆★☆

本日の仕事は久々に創作的なもので、ちょっとおもしろい作業でした。

様々な種類の紙を引っ張り出してきて、ちぎったり重ねたりしながら、45センチ×60センチサイズの土台の和紙の上にコラージュしていくというもので、

わくわくしながら作業を進めているところです。

さてこの、45センチ×60センチサイズのこの紙は

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