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脳科学が証明した「覚える・忘れない記憶術」

【この記事のまとめ】
いつでも引き出すことのできる長期記憶は、勉強後の復習によって深められる。真に考えるべき勉強法とは、復習を見据えた「勉強のシステム作り」


今回のテーマは「勉強法」です。


どんな人の人生においても勉強の経験はありますよね。
1番わかりやすいのは学校生活です。

【学校生活】
毎日いろんな科目の授業を受けて、2ヶ月に1回くらい試験があって、その都度一生懸命知識を詰め込む…。


あるいは、社会人になってからの資格勉強でしょうか。

【社会人生活】
全く未知の知識を入れるために、本や教材を用意したり、講座などにも参加して、時間の合間を縫って勉強する…。


ぼくらはみな等しく、知識を身につけることがいかに大変かを知っています。

そして誰もが、そこに起きる障害を痛感しています。

勉強における障害】
「何度やっても英単語が覚えられない…」
「読んだ本の内容をすぐ忘れる…」
「自分はきっと、他の人より頭が悪いんだ…」



ぼくもそうです。今までずーっと、同じ悩みの繰り返しでした。

「本気でやるぞ」

そう意気込んで勉強する。
時間をかけて理解したはずなのに、1ページめくると

「あれ、今なにが書いてあったんだっけ?」

うやむやになった知識は1日2日で完全消滅。
そこでこう思います。

「自分は人より勉強ができないやつなんだ」


過去の自分と、同じ悩みを抱える人に伝えたいです。


この結論は間違っています。

悪いのは頭ではなく、勉強のやり方。これから話していく文脈でいうと、「勉強のシステム作り」が悪いんです。

今回からの「記憶術」シリーズで、勉強に対する間違った認識を正しながら、科学が証明した「効果的な勉強法」を紹介します。

その数々を組み合わせを、1つの勉強のスタイルとして提案するのが「勉強のシステム作り」です。

「覚える」そして「忘れない」ための「記憶術」。

これを使ったシステム作りの効果を、ぜひ試してみてください。


【記憶術シリーズ】
「記憶術」イントロダクション ←イマココ!
「覚える記憶術」勉強前の用意
「覚える記憶術」勉強中の工夫
マインドマップの強力な効果と使用アプリの紹介
「覚える記憶術」勉強後の整理
「忘れない記憶術」最大効率の復習スケジュール 
「忘れない記憶術」最短10秒の復習テクニック


長期記憶に情報を収める

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とある人がいたとします。
その人は、とにかく「いらないものは捨てる性格」のミニマリストでした。


その人はある日、友達と一緒にディズニーへ遊びにいきました。


その人は、入場券やパンフレットなどを、「必要ないから」といって、使い終わるとその場ですぐに捨ててしまいます


しかも、せっかく買った被り物やお土産などを、持って帰ることすらしません。帰りの駅で捨ててしまいます


ところが、その人が唯一最後まで持っていたものがありました。
タワテラの出口に売ってる、みんなの絶叫顔が写ってるあの写真です。


その人はその写真を大変に気に入っていましたが、その性格ゆえ、またすぐに捨てようとしてしまいます。


友達はいいます。
それは捨てちゃダメだよ!せっかく気に入ったものなんでしょう?」


その人は、写真をしばらく持ち歩くことにしました。
それでもやっぱり、時間が経てば捨てようとしてしまいます。


その人が写真を捨てかけるたびに、友達が止めに入ります。
何度も何度も止められます


そしてその人は、口を開いてこう言います。


「そうか。じゃあ、これは捨てずにしまっておくよ」



短期記憶と長期記憶

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これは脳の話です。

ぜひ以下のように捉え直してもう一度読んでみてください。


【登場人物】
その人=脳
友達=自分自身
手に入れたもの(パンフレットや写真)=情報


は、手に入れた情報をすぐに忘れてしまうようにできています。入場券やお土産まで、何もかも捨ててましたね。

ところがそんな脳でも、最後まで持っていたものがありました。興味を持ち、何度も重要だと教えられた情報(写真)です。


捨てた情報と持ち続けた情報、ここにある違いはなんでしょうか?

これを理解するために、まずは短期記憶と長期記憶の説明をします。


例えば、「私はロボットではありません」に出てくる記号とか、足し算するときにでる繰り上がり数とか、人から聴いた話とか、一時的な情報を覚える記憶を短期記憶といいます。


そしてこの短期記憶に入れられた情報は、たいてい1分くらいで抜け落ちます


「あれ、今なにが書いてあったんだっけ?」


勉強において目指すのはもちろん、時間が経っても情報を引き出すことができる能力


つまり「長期記憶の定着」ですよね。

長期記憶については、以下のような構造になっています。

【長期記憶の構造】
▼説明できる記憶
・エピソード記憶:「〜を覚えてる?」に答えられるもの
・意味記憶:「〜を知ってる?」に答えられるもの

▼説明が難しい記憶
・手続き記憶(例えば、仕事のコツや自転車の乗り方など、複合的な要素が必要な記憶):「〜ができる?」に答えられるもの


座学で学んだ情報は基本的に、ここの「説明できる記憶(陳述的記憶といいます)」の「意味記憶」に入っていきます。


言い換えると、「意味記憶」=「知識」です。
特に重要な話ではないので、「ここに収まってるのね〜」程度に留めてもらって構いません。



最大効率の勉強法

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しかし困ったことに、脳はそうやすやすと情報を「短期記憶」から「長期記憶」には移してくれません。

長期記憶にきちんと収納してもらうには、「これは捨てちゃダメなやつ」ということを脳に教えてあげる必要があります。



脳が捨てかけた情報を必要なものだと教えてあげること、つまり、忘れそうになっている情報を意識して思い出すことで「記憶」への定着は深まります。

【記憶したいときの最重要ポイント】
記憶への定着は、情報を思い出すごとに深まっていく


この行為、一体何でしょうか?


復習」です。
「復習」こそが、科学が認めた最も効果的な勉強法になります。


そして「勉強のシステム作り」とは、「復習のための環境をいかに整えるか」を考え方の基盤にしています。

復習が大事だということは、体感で理解する人は多いと思いますが、ここで今一度、その重要性を認識しておきましょう。


その上で、「でも復習って大変だしめんどくさい…」と思う人がいるかもしれませんが、大丈夫です。「勉強のシステム作り」には、「最短10秒で学んだことが外観できる復習法」も組み込まれています。


ぼくの経験だと、実用書1冊程度の情報なら15分くらいで復習可能です。


人の脳の性質と、それを補う効果的な復習


この2点を意識して、「勉強のシステム作り」に向かいましょう。


【POINT】
・脳に入った情報は、すぐに忘れるようになっている
・長期記憶は復習を重ねることで定着する
・「勉強のシステム作り」=復習を見据えた勉強環境を整える



「記憶術」ガイダンス

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この「記憶術」シリーズは、最終的に「自分の勉強システム」を作ることを目的としています。今回を1回目の導入として、全部で6部の構成で進めていきます。


【記憶術シリーズ】
「記憶術」イントロダクション ←イマココ!
「覚える記憶術」勉強前の用意
「覚える記憶術」勉強中の工夫
マインドマップの強力な効果と使用アプリの紹介
「覚える記憶術」勉強後の整理
「忘れない記憶術」最大効率の復習スケジュール 
「忘れない記憶術」最短10秒の復習テクニック


第1部のこの記事では、「記憶するために最も重要なポイント」を紹介しました。記憶するのに必要なのにも関わらず、意識が薄れがちなアレについてですね。


第2部では、「勉強の前にすると、勉強の効果が高まるもの」を紹介します。とあることをするだけで、見るだけで、記憶の定着に効果があると報告されているものです。


第3部では、「復習のためのノートの取り方と、理解を深める勉強中の視点」を紹介します。勉強だけでなく、プレゼンの構成を考えたり、自分の考えを深めるときにも応用できるおすすめの方法を解説します。


第4部では、「勉強した後に、脳が情報を整理できる過ごし方」を紹介します。脳がもつ、勉強に関する大事なスイッチについての説明と、その切り替え方法についてです。


第5部では、「情報を脳に定着させる、復習の最適なタイミング」を紹介します。勉強したことがパチっと脳にハマる、重要な「ある瞬間」について触れていきます。


第6部では、「できるだけ早く、要点を抑えた復習をするテクニック」を紹介します。用意するのは、紙たくさん枚とペン1本。ペンのインクがすぐに無くなります。

気になるところが少しでもあれば、ぜひ見てみてください。

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