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07『パッケージデザインを考える。化粧品容器を探し求めて。全国の製造工場を探す。』

#07ではD2Cブランド877COSMETICS(バナナコスメティクス)の容器開発のために、模索した日々についてお話します。

ガラスビンで作りたい。


877COSMETICSの容器として、最初に浮かんだのはガラスビンでした。
ビンは最終的にピボットすることになるのですが、その時の感情を素直にお話します。
「男らしさ」を考えた時に、海外の男らしいバーバー(床屋)が浮かび、綺麗なビンが並んでいるイメージが浮かんできたのです。
ガラスビンは容器の中でも非常にクラシックで今でも使われるトラディショナルな容器です。

ガラスビンは砂でできています。
つまり、天然原料からできたものです。
ガラスビンは再生可能であり、SDGS時代においても、もっとも環境に優しい容器であると考えました。
こうしてガラス瓶を製造している工場を探す旅に出ました。

まずはGoogle検索


ガラス瓶製造会社を知っているわけでは当然ありません。
まずは「Google先生に教えてもらおう!」ということで検索を繰り返しました。
数十社の中から、10社ほどピックし、片っ端から電話。
どこの工場も親切に対応いただき、無知な私に丁寧に色々教えてくれました。
こうして、ガラスビンに対する知識はかなり深まりました。

課題はロッド(製造数)大きなの壁


ほぼ、すべての製造工場で共通の課題となったのが、ロッド数(製造数)。
私たちは初回製造を1000~3000本程度で考えていました。
オリジナル・デザインのガラス瓶で行こうとすると金型が必要になります。
ミニマムでも1万本程度からの製造であり、特殊な形状等は5~10万本という製造単位となります。
この金型だけで数百万円のコストが必要になることが分かりました。
当然、スタートアップのD2Cブランドとしては現実的ではない。
ガラス瓶だけで1000万円を越える金額に加え、過剰在庫による物流コストの問題も考えなければならない状況。
これはリスクがありすぎると判断しました。

半人工ビンを求めて


調べていくうちに、職人が手作業で仕上げる、「半人工ビン」の存在に気づきました。
機械的なものではなく、人が手作りで仕上げる方法です。
これであれば数千本単位の小ロッドでガラス瓶が製造できることが分かりました。

昔は多くの人工ガラス瓶工場があったようです。
しかしながら、私が調べる限り、現在は東京と大阪に3社程度でした。
もっとあるかもしれませんが、おそらく両手で数えられるレベルなのではないかと思います。
これならば「イケる!」という感覚があったのですが、クリアできない問題がありました。

強度や均一性の問題


半人工ビンは手作り作業のため、クオリティの均一性が担保しづらい側面があることが分かりました。
個体差は味なので、むしろ良いと判断していました。
しかしながら、均一性が取れないことによって、ガラスの強度面に不安があるということです。
化粧品は洗面台等に置くことが基本。
落としてワレてしまい、ケガをさせてしまう可能性があることも視野に入れました。
子供がいる家庭を想像すると心配です。

そして、ビンとキャップとの整合性に個体差が少しでも出た場合も考えました。
ビンの製造会社とキャップの製造会社は異なります。
ほんの〇.数ミリの違いによって、液体は簡単にもれ出します。
実際、海外製品のトップブランドも私が数多く試す中で、鞄の中で液漏れがありました。
877はアウトドアシーンにも持ち歩くイメージであり、液漏れは避けなければいけない。

こうして、最初にイメージしたビンでの製造は断念するジャッジをしたのです。

容器のピボット(方向転換)


ビンへのこだわりを一度捨て、ユーザーの利便性をもう一度考え直しました。

・ゴルフやサーフィンといったアクティビティに持っていきたいもの。
・スピーディに取り出し、塗布できるもの。
・クルマなどに積んだ時も置き場所によって、ゴロゴロ転がらない容器デザイン。

男らしくも、利便性がある容器をもう一度追求しました。
こうして、私たちが考えるベストな容器を探す旅にもう一度でかけたのです。
そして、最高のパートナーとの出会いと共創が待っていました。
<続>

※毎週月曜日に記事更新中。
次回は「容器メーカーとの出会いと共創の日々」です。


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