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エッセイ

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#小学校

先生が感じる、この10年での運動会の変化と大切なこと。

先生が感じる、この10年での運動会の変化と大切なこと。

「列、見て!」
「隊形移動は、すばやく!」
子どもたち全体に指示を飛ばす先生の声が運動場に響いている。

このシーズン、近所の小学校では運動会の練習真っ盛りだ。団体演技のダンスの練習の様子をちらりと見ると、前よりも子どもたちの動きの完成度が上がっている気がする。

…もう10月も半ばだもんな。この三連休中に運動会を開催した学校や来週あたりに開催する予定のところも多いんだろう。

8月中頃から産休に

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産休に入って、1番したいこと。

産休に入って、1番したいこと。

ついに、産休に入った。

毎年この時期は、さあそろそろ2学期が始まるぞ、と気を引き締める時期なのに、それがないなんてまだ夏休みが延長されているような不思議な気分だ。

約1か月前にあった終業式は、明日から夏休み!と1年で最も開放感に溢れた喜ばしい日のはずなのに、目の前の子どもたちと会えるのも、もしかしたらこれが最後かもしれない、と考えると無性にさみしいような悲しいような気持ちになった。

まるで、

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子どもを泣かせた、ベテラン先生の一言。

子どもを泣かせた、ベテラン先生の一言。

「すみません、まだ子どもが帰っていなくて・・・。」

ーまた?

電話で保護者からのその知らせを耳にしたとき、正直そう思って心がざらついてしまった自分がいた。

ちらりと職員室前方の時計に目をやる。
時計の針は、16時を過ぎたところ。
1年生の下校時間からは、もうすでに30分以上過ぎている。

クラスのれおくん(仮名)は、少し前にも同じように下校時間を過ぎても帰宅していないということがあった。

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繋がれた小さな手。

繋がれた小さな手。

きゅ、と小さな温もりがわたしの手の平に触れる。

少し驚いて、そうっと手の持ち主を盗み見る。特段、照れ臭そうでもなくうれしそうでもなく、いつもと変わらぬ低学年のそうたくん(仮名)の横顔。

意外に思ったのは、彼は普段わたしの近くによってきたり、スキンシップを求めたりするようなタイプではないから。

…なんでこのタイミングで?

彼は、玄関で上靴から外靴に靴を履き替えるときに手を握ってきた。

あ、

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卒業式、斜め前の先生の涙が美しいと思った。

卒業式、斜め前の先生の涙が美しいと思った。

つい先日、わたしの勤める小学校で卒業式があった。
卒業生の新たな門出を祝うかのごとく、春の日差しが温かな日だった。

何度も練習したように、1人1人、ゆっくりと体育館の壇上にあがる卒業生たち。

担任により名前を呼ばれると返事をし、卒業証書を受け取って礼をし、またゆっくりと階段を降りてゆく。

卒業生である6年生へどんな思いを抱くかは、これまでの彼らとの関係性によると言える。

わたしはというと、

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先生短歌、詠んでみた。

先生短歌、詠んでみた。

わたしがエッセイを投稿しているからか、noteで親しくさせてもらってる方々は、圧倒的にエッセイを書かれる方が多い。

そしてその中には、俳句や短歌を嗜む方もちらほら。
文学フリマでも、素敵な俳句集があったので思わず手に取ってしまった。

そんな方々にちょっぴり感化され、わたしもノートのすみっこに半年くらい前から短歌を書き連ねている。

5.7.5.7.7と制限があるからこそ、広がる世界。そこに情景

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ほっぺの切り傷のナゾ。

ほっぺの切り傷のナゾ。

最初に、あれ、と違和感を感じたのは、午後からの体育の授業をする前に、日焼け止めを塗ったときだった。

右頬の一部が、小さくピリピリ痛い。

え、いつも使っていて違和感なぞ感じたことのない日焼け止めなのにな、、、。

朝、化粧したときにも特に今日肌が荒れている、ということもなかったはず。

小さく首を傾げたものの、さほど気にも止めず一日を過ごす。再び思い出したのは、クレンジング(化粧落とし)で顔を洗

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継がれゆく、言葉と本。

継がれゆく、言葉と本。

「そういえばさ、もう読まん本あるんやけど、いる?」

あれは確か、わたしが小学校の先生として働き始めた2年目くらいの秋だったか。

久しぶりに会って、授業のことや子どもたちのことなど、仕事の話題に花を咲かせていた折にふと、Dさんがそう尋ねてくれた。

Dさんとは、大学生のころから親交のある人生の先輩。
ショートカットがよく似合う、やんちゃざかりの息子くん二人を育てる、ママ先生である。

敬愛の意を

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小さなわたしの夢と今。

小さなわたしの夢と今。

子どもの頃に願っていた将来の夢は何でしたか。なりたかった自分と大人になった自分。ギャップがあるとすればどんな風に折り合いをつけておられますか。 

「お手紙」のように送り合うnote往復書簡をしている鮎太さんから、そう問われ、書くテーマが決まったとき、どんなことを書こうか楽しみに思う半分、ほんの少しばかりたじろいでいる自分がいました。

「子どもの頃の夢と今は」

わたしにとって今の自分を形づくる

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