見出し画像

【運動シリーズ2】エビデンスを知れば“脱”3日坊主!健康寿命を伸ばす3つの運動。

30〜40代の方に心からオススメしたいのが、運動の習慣化。何の目新しさもないじゃないか(笑)!と思われそうですが、忙しいと実は意外と続かないものですよね!?でも、エビデンスを知れば、今度こそ継続できるかもしれませんよ!

まずは下のグラフをご覧ください。これは男女の「平均寿命」と「健康寿命」の差を示しています(文献1)。寿命は100年時代と言われるようになりましたが、実際の寿命と健康寿命には、ご覧のように男性で約9年、女性で約12年の開きがあります。これはつまり、「要介護期間」の長さ

ゾッとしませんか?こんなにも長い間、誰かの助けをもらわないと生活ができないという現実に。

画像1


この「要介護期間」を極力短くしたいのは我々の望みですよね。それを実現するのは、やはり運動習慣が鍵となります。

運動シリーズ1では、毎日15分、「ちょっと辛いな」という運動が病気のリスクを下げるというトピックスをお伝えしましたが、ここでは具体的な運動例を紹介します。

1.良いことづくめの「中等度」有酸素運動

1つ目は、有酸素運動。シリーズ1でお伝えした「中等度」の運動というのがこれにあたります。(★復習しよう★「中等度」の運動の判断基準は、「自分がきついと感じられる強度。心拍数は、最大心拍数の70~80%くらいまで上げるのが理想的。)

みなさんは、「ミトコンドリア」という言葉を聞いたことがありますか?

これは、私たちのすべての細胞の中にあるもので、酸素を使ってエネルギーを生み出し、代謝をあげてくれるエリート部隊のことです。残念ながら、加齢とともに、量も質も悪くなってしまいます。

ところが、「中等度」の有酸素運動をすれば、ミトコンドリアの数を増やせることがわかっています。(文献2)

また、歩くにも、スピードを意識することが大切。ただ歩くのではなく、早く歩く人は長い寿命の傾向があることも研究で明らかになっていることから、日本抗加齢医学会の川田浩志教授は、“「ややツラ」ウォーキング”を推奨しています。(30分間中、5~10分間は、階段・坂道・もも上げ・早足など、少しツラく感じるように筋肉を使いながら歩く。)  

さらに、運動していない人より、運動している人のグループの方が、脳細胞が増えていて、運動は高齢者の脳細胞を増やすという研究結果が出ています。脳細胞が歳を取ってからでも増やせるなんて!と思われる方もいるかもしれません。
脳細胞を増やす、血管を新生する、脳の再生や新生をも叶えられるということで、心拍を上げて中等度の運動をすることは、アルツハイマーや認知症など脳や神経の病気予防に役立つのです。

2.歩いても使わない「速筋」を鍛えるのは、筋トレ。

2つ目は、筋トレ。
筋肉には、遅筋と速筋というふたつの筋肉
があります。遅筋は持久力に作用し、速筋は瞬発力・パワーに作用する筋肉です。

この速筋は、最大レベルの40%以上の力を出さないと衰えていきます。もちろん加齢でもどんどん萎縮する。でも、いくら頑張って歩いても、残念ながらこの速筋は使われないのです。

そのため、筋肉は落ちてゆき、動きに機敏さがなくなり…いかにも老化した体の動きになっていくのです。だからこそ、わざわざ筋トレする必要があるというわけです。

スクワットで太腿の前側の大腿四頭筋や腹筋など、大きな筋肉を鍛えるのが効果的ですが、それに加え、意外に見落とされがちなのが、実は「握力」。握力を上げることで、病気や外傷による死亡率を下げ、長生きできることが研究で分かっています。(文献2)
市販されているハンドグリップを使えば、どんな場所でも握力の筋トレはできるので、おすすめですよ!

3.マッサージより、ストレッチの継続。
      可動域は広く保つ。

3つ目は、ストレッチ。

加齢は、筋肉や靭帯を硬くし、関節の可動域を狭めていきます。可動域が狭まっていくとケガの原因になり、ひいてはそれが活動量を減らし、健康寿命を短くするので、やはりストレッチも積極的に行ってほしい運動のひとつです。ご自身でするストレッチに加え、トレーナーなど他人に他動的に動かしてもらうのはさらに良いことでしょう。

実は私はドクターストレッチに通っているのですが、そのメリットを体感しています。自分でストレッチするのとは全く別物、マッサージとは違います。

マッサージは、その時は気持ちが良いですが、すぐに戻り、下手をすると筋肉がより硬くなるため、都度一層強い力が必要になります。

でもストレッチというのは、問題となっている箇所の根本改善ができるので、継続すれば身体が変わっていくのを感じることができるんです。ぜひ始めてみませんか。

4.世界一効率が良い運動「HIIT」


昨今、世界の多くのドクターが注目しているのが「HIIT」。健康長寿を叶えるための、「世界一効率が良い運動」とも言われています
。HIIT(ヒット)とはHigh Intensity Interval Training/高強度インターバルトレーニング。

激しい動きをごく短時間の休憩を入れながら繰り返す運動です。2008年世界的に有名な科学ジャーナル『Nature』で発表され、近年、その効果が実証されつつあります。

例えば、HIITを簡単に説明すると、こんな流れです。(運動内容は一例)

1. 筋トレを4種目決める。
(例:①スクワット ②腹筋 ③ヒップリフト ④プランクプッシュアップ)
2.  1つ目を20秒。
ポイントは全力ですること。最大心拍数の70~80%以上で行うのが理想的。オールアウト(ヘトヘトで力を出し切った状態)の手前くらいまでの負荷
3.10秒の休息。(または軽く足踏み。)
4.②の筋トレに入る。

画像3

このHIITは、筋肉や血管における「酸素不足」と、血が行き届きにくい「虚血状態」を作ることができるのが特徴。
すると、血管の内側にある細胞を刺激する物質(PGC-1α)の分泌が高まり、血管はしなやかに、そして新しい血管が増え、筋肉内のミトコンドリアが活性化するため、健康を増進する遺伝子を最も多く活性化できるのが利点です。

また、心拍数や呼吸数が著しく上がり、実は高齢になるほどその効果も大きく出ることもアメリカで研究結果として出ています。(文献3)

「アフターバーン効果」がとにかく高いことも有意義なポイントです。
私たちの身体は、ハードワークで酸素不足になると、酸素を補うためにより多くの酸素を消費しますよね。
そのため、代謝が高い状態が続きます。減量にも効果的。これを「アフターバーン効果」と言います。
このアフターバーン効果もとても高いので、HIITは短時間で効果が最大化されるということが、科学的に実証されています。

ただし注意すべきは、毎日この高強度のHIITを続けるのがベストではないということ。トレーニング過剰となり、かえって健康状態が悪くなるという研究データがスウェーデンの論文で発表されています。
体力や年齢を考慮し、週2~3回にするなど、調整をすることも大切です。

また、HIITは実際にやってみると大変キツイので、これまで運動習慣がなかった人は、ハードすぎて断念してしまうことも。
でも心配いりません!私も実際にやってみましたが、HIITの良いところは、短時間でタイムが区切れるところ。終わりがすぐそこに見えている分、「あとちょっと!!」と、少々辛くても楽しめてしまうのがいいですよ。

こちらは一例ですが、HIITのタイマーのアプリです(「HIITタイマー」販売元Float tech,LLC/©2020 SmoothMobile,LLC)。自分でカウントしながら筋トレするのはハードかつ正確さに欠けてしまうのですが、私はこれを使ってみたところ、格段にやりやすくなり、気分も上がりました!ご自身に合うものを探してくださいね。

タイマー


尚、メニューに関しては、YouTubeにも様々なHIITの動画があります。「初級 HIIT」などと検索すれば、きっとあなたに合うメニューが見つかります。
無理は禁物。まずは楽しんで! !


5.まとめ

健康寿命を延ばしたいなら
有酸素運動(中等度運動)を習慣にしよう。
筋トレで普段使わない速筋を鍛えよう。
腹筋や太もものほか、握力増強も外傷・死亡率を下げる
ストレッチ体の可動域を広げておこう。(ケガ防止➡活動的になれる)
◎週2~3回のHIITでミトコンドリアの量と質を上げにいこう。
(アフターバーン効果が高いので効果的)
◎すべては習慣にすることが大切。もう3日坊主は終わりにしよう、地道に続けていくことが、健康長寿期間を伸ばすことに繋がります。
★★★本日もお読みいただき、
ありがとうございました!★★★

もしこの記事が少しでもお役に立てたなら、♡を押して応援していただけると嬉しいです。(ログインなしでも大丈夫です)
さらに、フォローいただけたら、一層励みになります!

次回のテーマは『【運動シリーズ3】やってみよう。プロも注目、パフォーマンスをあげる方法』。運動の「効果最大化」のコツをお伝えします!

●●●お知らせ●●●
『Dr.岡野の予防医学実践マニュアル』と称し、公式ラインで新着記事のお知らせをしています。下記リンクより是非ご登録をお待ちしております!


【参考学会】 
日本抗加齢医学会:東海大学医学部内科教授(血液内科学)川田浩志教授講演
【参考文献】
1.厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」p25
2.Eur J Sport Sci. 2020 Feb;20(1):135-145
3.THE LANCET. 2015 JUL;386 266-273
4.Br J Sports Med. 2014 Aug;48(16):1227-34

※本noteは私的なメディアであり、勤務先の病院とは一切関係はございません。またご紹介した商品も販売目的で掲載するものではないことを予めお含みおきください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?