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とても大事な「図書館」というシステム。

 地元の図書館を、よく利用させてもらう。

 毎日、一つでも何か新しいことを知ろうと思っていたら、気がついたら1年間で、150冊ほど読むペースになった。

無知に気づく

 若い時に大学に通った時には、学内に図書館があったのだけど、それを一度も活用しないまま、4年間で卒業した。

 だからなのか、その後も、本を読むこともほとんどなく、仕事の資料として年に何冊か目を通したこともあったのだけど、ただの興味で読書するという習慣がつかないまま、年齢を重ね、気がついたら、中年という年齢になっていた。

 その時は介護に専念するために仕事もやめていたので、無職で、どうしたらいいのか分からなかったけれど、その上で、無知なままだったら、と思ったら、とても怖い気持ちになったので、その時から、ようやく読書の習慣がついた。

 大げさにいえば、人間は知性で生き残ってきたのだから、自分がこれから老いていって、その上で無職で、少なくとも少しは勉強しないと、より真っ暗だと思った。

 少しくらい勉強をしたとしても、一度、レールを外れた人間に対して、それが正当でやむを得ない理由であっても、再び、以前と同じように、社会に復帰できる事は、ほとんどないことも知っていたけれど、それでも、無知なままなのは、より怖いと思った。

 そこから図書館に行く頻度が急に増えた。

図書館に通うこと

 それから10年以上が経って、今も図書館に通うことは日常の一部になっている。

 一回につき、12冊までを借りることができるので、毎回、だいたい12冊を借りるようにしている。ここ何年かで、ご近所の方から自転車をいただいたので、通うのは楽になったけれど、毎回、本を持ち運ぶのはかなりの重量になる。

 さらには、自分が住んでいる地域の図書館は、インターネット上にホームページがあり、登録をすれば、予約もできるし、私のように読みたい本をすぐに忘れてしまう人間には、お気に入り資料、という項目もあるので、そこには1000冊を超えるほどの登録をしてしまったのだけど、そうしたサービスがなければ、1年間で、150冊の本を読むことはできなかったと思う。

 読みたい本があって、地域の図書館にない場合は、その外の区から取り寄せてもらうことまでできる。

 とてもありがたいシステムで、この10年以上、本を読む習慣ができて、そのおかげで、考える時間もできたのは、図書館の存在がとても大きいというよりも、私にとっては不可欠なものになっている。

 だから、2020年、最初の緊急事態宣言の時、感染のリスクで言えば、低いはずの図書館も閉鎖された時は、悔しかったし、悲しかった。

 その後、感染予防の工夫をし、以前のように、飲食も含めて、くつろぐような時間も提供されていた機能は、かなりなくなったとしても、図書館が再開された時は、スタッフの方々の大変さも、想像ができたけれど、とてもうれしかった。

メンテナンス

 昨年は、地域の図書館が二週間ほど、様々なメンテナンスのためか、閉まったことがあった。

 同時に、ホームページも使えなくなり、その期間も、図書館の本は借りていて、読んでいたので、その部分では、不都合もなかったのだけど、何かで読みたい本を見つけて、お気に入り資料に登録しようと思うたびに、ホームページが使えないことに改めて気づき、どれだけ普段の自分の生活に、必要なのかに改めて気がついた。

 そして、そのメンテナンス期間が終了し、図書館も、ホームページも再開した時に、そのサイトが改良されていたのにも気がついた。

 図書などを借りると、予約が入っていなければ、一度だけ借入期間の延長ができる。その手続きをしようとした時、以前は、1冊ごとに、何度かクリックして、延長ができた。だから、複数の図書などを延長手続きをするときは、地味に手間がかかっていた。

 だけど、メンテナンス後は、借りている図書資料などにチェックボックスがついていて、そこにマークをつければ、延長の手続きも一気にできるようになった。

 すごくありがたかった。

 そして、こういう細かいところまで気がついて改良を加えられる能力は、すごいと思った。

「大田区立図書館」ホームページhttps://www.lib.city.ota.tokyo.jp/index.html?0


非正規

 こうして、とても快適に図書館利用をさせてもらっていて、そのために、私自身は、収入としては、かなり貧乏なままなのに、最低限の知性を養える生活が可能なのは、改めて図書館という存在が大きい。

 ただ、少しでも調べると、この記事↑のように、図書館で、プロとして働いている人の中には、非正規が多く、生活にも困る、という人がいることが分かる。

 こういうことに関して、自分が無知だった恥ずかしさと、でも、国民の文化と知性を支えるプロが大事にされていない社会構造に関して、悲しさのようなものさえ感じつつも、そこに対して、恥ずかしいけれど、何もできてない自分の無力さも感じる。

プロの尊重

 図書館を利用しているときに、スタッフの方々にお世話になり、その時に、図書館や本が好きで働いているように見える、柔らかく温かい雰囲気を持つ方はいて、同時に、短いやり取りでも、プロとしてのスキルを感じることも少なくない。

 そのおかげで、短い時間であっても、とても気持ちいい時間になる。

 そうした方々が、待遇面で、きちんと大事にされていないとすれば、それは、いろいろな国側の事情が語られるとしても、社会を少しでもよくする意味でも、プロが大事にされないのは間違っていると思う。

 こうした問題点が放置されているとすれば、図書館という国民の知性を支えるシステムの重要さを、社会的に力を持っている人が理解していないのか。それとも分りながらも、私のように経済的に苦しい人間にも知性を少しでも身につける機会を意図的に与えないようにしているのか。

 中年になって、自分の無知に気づき、やっと図書館を利用し始めた人間が偉そうにいうのは、少し恥ずかしいとしても、もし、そうした未熟な推測が当たっているとすれば、文化的な国家であれば、もっと恥ずかしいことだと思う。

映画

 図書館に関係して、ある映画のシーンを覚えている。

 猟奇的な連続殺人犯を捜査する過程で、刑事が図書館にアプローチする場面がある。それは、図書館を利用する人間が、どのような書籍を借りているか。そのデータを入手しようとするのだけど、それに関しては、二人のうちの一人の刑事が、それは、やってはいけない、と止めようとするシーンだった。

 結局、やってはいけないと知りつつ、そのデータを入手し、そのことをきっかけに犯人に迫っていくのだが、これはフィクションに過ぎないけれど、もし、図書館のデータが、その外へ流出することが合法になってしまい、警察機関のようなところが自由にアプローチできるようになったら、捜査だけではなく、犯罪予防という名目で、知らないところで、あらゆる人が調査されるようになってしまうかもしれない。

 そんな潜在的な怖さも感じさせるシーンだった。

マイナンバーカード

 マイナンバーカードが、図書館カードとしても使えるようになる、というニュースを聞いた時に思い出したのが、その「セブン」のワンシーンであり、そして、これは、思ったより怖いことかもしれないと、こうした↑「図書館問題研究会」のアピールを見て、思った。

 もし、この制度が広く行き渡った時に、自分が図書館を利用するときに、それまでとは違ってきてしまうのだろうか、と想像すると、そのデータが、図書館以外の場所でチェックされているかと考えるようになったら、それが実際に行われているかどうかは別としても、無意識で自己検閲をするなど、何らかの影響があるかもしれない。

 そう考えると、やはり、マイナンバーカードと図書カードが一体化するのは、国民の知性の向上の視点からも、やめた方がいいのは、明らかだと思う。

図書館の自由 

 こうしたこと↑が起きることと、マイナンバーカードの件とも遠く関係がありそうだけど、どうやら、この依頼をした文科省側は、そんなに重要だと思っていないような気がする。

 そして、ここで登場する「拉致問題の関連本」が、どんな書籍を想定しているのかも気になった。

 どんなことでも、何らかの複雑な問題は、その問題自体を取り扱っている書籍だけではなく、歴史も含めて、一見関係なさそうなことも含めて学ばないと、その問題の本質は、おそらくは見えてもこない。そんな複雑で膨大な依頼をしているのだろうか。

 それとも、もっとシンプルな、分かりやすい関連本のみを推奨しようとしているのか。それとも、ただ「拉致問題関連本」と提示し、あとは忖度させる方法をとっているのだろうか。


 どちらにしても、こうした動きがあるとすれば、「図書館の自由」に関しては、文科省は、それを軽く見ているとしか思えないし、だから、もし、マイナンバーカードが図書カードと一体となったら、何かの手続きでマイナンバーカードを使ったとすれば、どんな本を借りているかを確認され、もしかしたら、特定の図書を借りている人間は、密かに調査される、ということは起こりそうだと思う。

 
 今のところ、何もできないし、どうしたらいいのかわからないけれど、日常的に図書館を利用し、恩恵を受けている人間として、図書館の自由は、やっぱり守るべきだと思う。




(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。





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