見出し画像

小さな梅の実の、小さい奇跡。

 最初は、いつも親切な身内の方が、ガラス瓶を送ってくれる、という話からだった。

 それで、梅ジュースを作れる。

 妻の気持ちは、私が想像もできないくらい盛り上がったらしく、そのガラス瓶が届く前に、八百屋に行って、梅の実を購入してきた。

 すごくうれしそうだったけれど、その重さは2キロだった。

 それは、思ったよりも重いと感じたのだけど、何しろ、ガラス瓶が届かないと分からなかった。

 だけど、そういえば、梅酒は昔実家で作っていたのだけど、と思いながらも、検索をしてみたら、梅ジュース(シロップ)にするとすれば、梅の実1キロに、氷砂糖1キロが基準だから、梅が2キロとしたら、氷砂糖も2キロだから、合計4キロ。

 かなり大きさが必要だと思った。

ガラス瓶

 その宅配便が届いたのは、梅の実を買った後だった。

 そのガラス瓶は、購入した梅から考えたら、小さかった。

 とは言っても、最初から、大きさについては、伝えてもらっていないし、届いてから、購入しなかったのだから、送った人に何も落ち度はなかった。

 だけど、こちら側の都合で、いろいろと混乱し、いただいたガラス瓶だけでは、梅の実が収まらず、だから、妻が家にある、もう少し小さい保存瓶のようなものを2つも使って、保存瓶と一緒に送ってくれた梅ジュースの作り方も参考にして、梅と氷砂糖などを合わせてくれていた。

 ただ、まだ梅の実は残っている。

 もうすぐ妻の誕生日なので、まだ入れ物が足りないから、そのプレゼントとして、贈らせてくれないだろうか?と提案をして、妻も承知してくれた。

 それからも、微妙にスムーズにいかないことも、小さいことなら、いろいろあったのだけど、梅酒の保存瓶といえば、あの赤いフタが思い浮かんでいた。

 でも、プレゼントだったら、もう少し可愛かったり、かっこよかったりする方がいいのではないか、と思い、少し調べてみた。

 こういう瓶の方が、ちょっといいかも、などと勝手に思っていた。

ホームセンター

 だけど、何日か過ぎて、まだ残っていた梅の実があるので、悪くなってしまったら嫌だな、というのもあって、やっぱり早めに買おうと思った。

 近くのホームセンターに行き、1階には見当たらなかった。

 そこで、店員の人に尋ねたら、保存瓶という名前では、ちょっとピンとこなかったらしいのだけど、梅酒、という単語を出した途端に、ああ、ということで、問い合わせをしてもらったら、2階にあるのが、分かった。

 長い緩やかな坂のようなエスカレーターを登って、こぢんまりとしたフードコートが真正面にあって、左に曲がったら、すぐに、赤い瓶のコーナーが目に入る。

 小さいのは2リットルくらいから、大きいのは8リットルくらいはあったと思ったし、目指す4リットルのものも、最初に予定していたものと比べると安く、1000円以内だった。

 だから、さっそく買って、そして、家に持ち帰った。

 それから、あとは、残りの梅の実と、氷砂糖を一緒に、交互に入れて、待つだけだった。

小さい奇跡

 妻が、保存瓶を、マメに上下逆さまにしてくれていた。

 ごくたまで申し訳ないのだけど、私も逆さまにもした。

 台所の床にある赤いフタのものは、何度か揺らした。

 そのうちに、何週間かたって、妻がうれしそうに急に笑顔で、「梅ジュースができた」と言った。

 それは、正確には「梅シロップ」と言われるもので、妻にとっては、思った通りの味で、こういうのが飲みたかった。というような仕上がりのようで、それで、ご近所の方にも、友人にも、配っていた。

 すごくうれしそうで、私もよかったと思った。

 途中では、梅の実の量と、氷砂糖のバランスで、いろいろとうまくいかなくて、大丈夫だろうかと思っていたのに、ちゃんと梅シロップができて、妻は、それを何倍かに薄めて、毎日のように飲み続けている。

 その味に、ずっと満足しているようだ。

 私にも、炭酸水を買ってきてくれて、そこに梅シロップを入れてくれたものを飲んだ。

 おいしかった。というよりも、これまで飲んできた梅のジュースと同様のものなのに、さらに、もう少しフレッシュな印象まであった。

 瓶に入れていた頃は想像もしていなかったけれど、ちゃんと味が仕上がっていて、それは、梅の実が起こした小さい奇跡のようにさえ感じた。

 私は、それほど好きではないので、妻がとても気に入っているだけに、そんなに頻繁に飲まないかもしれないけれど、保存瓶は、いただいたのが一つ。さらに、小さめのものが2つ。購入した赤いフタの大きいのが1つあって、それは、最初の瓶より、少し遅くにセッティングしたから、まだ、どこまで仕上がっているのか分からなかった。

 それでも、最初の瓶は、うまく行ったから、それだけでも成功だと思うし、などという話をしていたら、最初の瓶は空になっていた。飲み切っていた。

 残りの3つの保存瓶も、できたら、美味しく仕上がっているといいなと思っている。



(3年目を迎える方↓は、続けていらっしゃるので、やっぱり、すごいと思いました)。





(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。




#レシピでつくってみた    #最近の学び   #梅シロップ
#保存瓶   #梅の実   #梅   #製作 #梅ジュース
#氷砂糖   #毎日投稿   #暮らし   #生活
#日常   #梅酒 #赤いフタ

この記事が参加している募集

最近の学び

レシピでつくってみた

記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。