もし、ビールのコマーシャルがなくなったら。
まだテレビを毎日、見ている。
録画して見ることが多くなっていると、コマーシャルを飛ばしてしまうが、うまく飛ばなくて、番組自体も進みすぎてしまうこともあり、それは、CMを見せるための、何かしらの、視聴者が知らない工夫がされているのかと疑うこともある。
そうすると、改めて思うのが、ビールのコマーシャルの多さだった。
ビールのCM
最も警戒するタイプは、いわゆる名優と言っていい俳優が出てきて、ビールを飲んで、「うまい」と言うだけではなく、ものすごくおいしそうに飲むCMだ。
とても屈折した見方なのかもしれないが、そのビールが仮にうまくないとしても、とても美味しそうに飲める能力を持っているのが名優であるのだから、もしかしたら、味に自信がないメーカーほど、「いい役者」を使うのではないか、と疑ってしまう。
だから、1人だけではなく、2人も3人も、演技が上手いとされる役者が次々と出てきて、おいしそうに飲み干す姿を見ていると、心の中で「ほんとか?」と言っている。
それに、大量のコマーシャルと、これだけの俳優を起用しているということは、その金額も、ビールに上乗せされているのではないか、と思うと、なんだか、その映像が楽しそうにすればするほど、疑惑がふくらんでいく。
ただ、そんなことを思っている私は、今はアルコールを全く飲まなくなっている。
制限
あまり考えもなく、録画されたテレビ番組を見ていたり、夜になってテレビを見ていたりすると、やたらとビールのコマーシャルをやっている、というイメージを抱いていたのだけど、それでも、以前と比べると、そこにさまざまな制限がかけられているのを知った。
だから、以前に比べると、表現はソフトになっているはずだし、時間も制限ができているから、広告の量も減っているはずだけど、今も、視聴者としては、大量のビールのCMを放送している、という印象のままだった。
タバコのCM
いま、不思議に思えるのが、「日本たばこ」のCMだった。
ひと休み、するというか、一服する、という表現をしていて、どう考えても、ここでタバコを吸う瞬間なのに、吸わない、という時間が続く。
気がついたら、タバコそのもののCM自体がテレビでは見られなくなっている。
そのため、現在では、タバコのCMが放送されていない。
依存性が高いと言われるタバコは、その習慣がある人にとっては、自然にやめるのは難しく、だから、CMの目的があるとしたら、おそらくは、新規参入者向けのはずだった。
だから、「三浦友和さんや高倉健さん、鹿賀丈史さん、豊川悦司さん――。テレビでは90年代まで、時々のスターが紫煙をくゆらせ」(withnews)る映像が流され、その人たちの共通点は、当時の若い男性にとって、あこがれの存在でもあって、その人たちが「かっこよく」吸う姿を見せることで、タバコを吸い始める人も少なくなかったと思われる。
そうした映像が流れなくなったことで、時間をかけて、タバコ喫煙者を減少させることに貢献しているように思う。
(「最新たばこ情報」成人喫煙率)
https://www.health-net.or.jp/tobacco/statistics/kokumin_kenkou_eiyou_report.html
飲酒パターン
自分がアルコールを飲まなくなってくると、勝手なものだけど、「飲酒業界」の変化などにかなり関心が薄くなってくる。
ただ、この20年間、平均賃金が上がらないという厳しい状況を象徴するように、「第三のビール」が登場したり、安く酔えると言われている9%の缶チューハイが話題になっている。
どれも、少しでも安く飲みたい。飲まないではやっていられない。そんな空気の反映のように思えるし、銀色の缶チューハイの空き缶は、なぜか、電車の中に置いてあることが多い印象がある。
それは、収入の格差が広がっていることと関係あるのかもしれない。
これは、女性の貧困層の増加、という社会的な問題と、本当に無関係なのだろうか。
こうした調査報告を読むと、アルコールの習慣は、すでに健康を害する恐れが確実に存在するのだから、タバコほどの急速な変化ではないかもしれないけれど、そのうち、アルコールのCMなどに関しては、さらに制限が強くなっていく可能性がある。
もし、ビールのコマーシャルがなくなったら
だから、近未来には、アルコール飲料のテレビCMなどは一切禁止されるかもしれない。そして、もしも、これだけ放送されているビールのコマーシャルがなくなってしまったら、どうなるのだろうか。
タバコの喫煙率が時間をかけて、減少傾向が定着してきたように、ビールの消費量も、少しずつ下り坂になっていくような気がする。
もうアルコールを飲まなくなった人間にとっても、ビールのコマーシャルを見るたびに、俳優が「うまい」と言うごとに、疑いの目を向けているとはいっても、もしも、自分が、今もビールを飲み続けていたとしたら、そうした映像を見て、「ああ、ビール飲みたいな」と思ってしまいそうに見えるし、逆に言えば、そうした欲望を刺激するような映像に触れる機会が減ったら、飲みたい気持ちも、かなり減るのではないだろうか。
そういえば、今のCM映像に出演している俳優の人たちは、演技に定評がある、という部分だけに、もう若くなくなった自分は注目しがちだけど、考えたら、人気俳優という側面もあるのだから、そのうまそうにビールを飲む姿を見て、「あの人が飲んでいるから、飲みたい」という気持ちをかき立てる目的もあって、それは、これからビールを飲んでくれる新規参入者を増やすためだろうから、こうしたCMが一切なくなったとすれば、若い層の飲酒習慣を持つ人が、さらに減っていくのだと思う。
それは、アルコールを製造販売しているメーカーからすれば、人口減少の未来のため、それだけで確実に消費量の減少が予測されるのだから、より避けたい事態のはずで、そうであれば、様々な意味での企業努力(サッカーに関連するサポートなど)もあって、ビールのCMがなくなることは、意外と先になるかもしれない。
ただ、もしかしたら、私のように飲酒習慣がなくなり、我慢しているような感覚でもなくなった人間にとっては、あまり関係なくなったから、ビールのCMに対して、またやっている、と選挙カーのような気持ちになって、だから、その数が気になるだけで、ビールを日常的に飲む習慣がある人にとっては、もっと好ましい映像として映っている可能性はある。
それに、ビールのテレビCMが一切なくなったら、民放テレビの収入源が減って、テレビ業界が、さらに衰退することにつながる可能性もある。
そう考えると、ビールのコマーシャルがなくなる未来は、やっぱり、意外と遠いのかもしれない。
(こうした書籍↓も、飲みたくなる刺激になるのだろうか)
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。
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