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「コーヒーをもっと自由に」- 新拠点チームメンバー INTERVEW③ 小田政志[前編]

301新拠点プロジェクトのチームメンバーと、301代表の大谷によるインタビューシリーズです。第三弾は、コーヒーを中心としたカフェ部分を担当し、バリスタとしてだけでなくロースターとしても活躍する小田政志さんです。

サードウェーブの流れでコーヒーが世界的にブームとなり、高クオリティのコーヒーを楽しむことが比較的日常になってきた現在。そんな中、流行に左右されることなく自身のスタンスを持ち、コーヒーを自由に捉えている小田さんに、コーヒーカルチャーの今とこれからを伺いました。

コーヒーをもっと自由に

大谷 ロースターとして豆を作る、ということだけではなく、コンサルティングやディレクションの道に行こうと思った理由はなに?

小田 一番大きな理由としては、バリスタとしてもロースターとしても、コーヒーを生業とする人が新しい働き方ができるんじゃないかと思っていて。能力や知識、技術を現場だけじゃなくもっと違う場所で発揮できて、もっと認められるような可能性の広げ方ができたらいいんじゃないかなと思っています。

大谷 そういう考え方に至ったきっかけは?

小田 自分だったら何ができるかを考え始めた時に、世の中にはもっと美味しいお店もあるし良いバリスタもいるけど、自分だけの味や形を作りたいなとずっと考えていました。まだ誰もやっていない部分をを開拓していきたいなと思ったし、純粋にそれが楽しいなと。

大谷 そういう仕事の仕方をしてる人は、海外も含めてロールモデルはいるの?

小田 そこを目指してるわけではないんですが、イギリスの「Routes Coffee」のビジネスの過程を見れたのが良かったと思います。最初は友人のウィルとジムの2人で始まって、車にエスプレッソマシン積んで道端でコーヒーを手売りしていました。そこに僕が入りだんだん大きいイベントにも出るようになって形になっていきました。一日に25kgコーヒー豆を使った日もありましたが、みんなで設営をしてコーヒーもたくさん作って、人から人へ、ビジネスと共に大きな輪が出来上がっていくのを体験出来たのは本当によかったです。その後ロンドンでPOP UPを1ヶ月間一緒にやったのですが最初の売り上げは100ポンド以下。それが最後の週には500ポンドに。
そんな彼らも今はオックスフォードでロースターを構えるようになりました。

大谷 彼らはコンサルティングとかディレクションもやってるの?

小田 コンサルティングとは違うかもしれませんが、数多くのイベントやPOPUPなどでコーヒーを出しています。ちょっと前まではロンドン中心地のオフィスでPOPUPやったりしていましたし、最近はイタリアやパリでフォーミュラーEのサポートもしていました。

大谷 彼らの例は、コンサルティングができることよりも、コーヒーを使って自分たちのやりたいようなスタイルで動いているのがいいよね、っていうことかな。

小田 そうですね。既存のやり方に捉われないで、自由に動き回ってるのが本当に良いですよね。

大谷 日本でそういうやり方してる人たちっている?

小田 あんまりいないかもしれないですね。

大谷 パドラーズコーヒーは、仲もいいし考え方も近いと言っていた思うんだけど、それはどういう点に共感があるの?

小田 加藤さん(「Paddlers Coffee」共同代表/バリスタ)や松島くん(「Paddlers Coffee」代表)と話してて共感したのは、コーヒーってもっと自由にやっていいんじゃないかということ。今のコーヒーって味はもちろん美味しいし、世界的なトレンドにもなっているけれども、逆にだんだん選択肢は狭まってきているような感覚があって。自分は、もっといろんな選択肢があって、いろんな形で発信できるんじゃないのかなと思っています。それでもお店でコーヒーを本当に沢山のお客さんが飲んでいるってすごいですよね。

大谷 パドラーズは、豆をいっぱい卸して儲けようっていうビジネスではなくて、店でコーヒーをちゃんと提供して、そこに来てくれるお客さんを増やしていこうっていうことを大事にしているからこそ、コーヒーが他のものとどう関わることができるかを考え続けているのかもしれないね。

小田 そうですね。あくまでも軸は美味しいコーヒーですが。コーヒーはコミュニティの中の一つとして存在していて、もっとそういう場所を自分でも作っていきたい。

コーヒーをディレクションする、とは

大谷 今コンサルとして関わる時は、どこからどこまでを担うことが多いの?

小田 機材選定から始まって、レイアウト提案、バリスタのトレーニング、コーヒー豆の卸し。カフェ関係だったら、売上、発注など、店を運営する上でのオペレーションに関わるシステムなど、全体のフォーマットづくりですね。

大谷 自分の理想的な関わり方はどういうもの?

小田 店づくり全体に関わりつつ、コーヒーの魅力が最大限に発揮できる場所を作ること。美味しいコーヒーや良いバリスタがいることで、その場所の価値が上がるっていうことがもっともっとあると思っています。売り上げだったり、雰囲気だったり、自分の関わった施設がバリスタやコーヒーがあることで評価されるのが理想です。

大谷 日本でコーヒーのコンサルティングやディレクションという仕事は、業界的にどこまで認識されてるイメージなのかな。

小田 あるんですが「みんなが目指す場所」としては認識されてないかなと思います。

大谷 たまたまできる人がやってるな、くらいの認識でしかないと。

小田 そうですね。もちろんみんなが出来ることでも無いと思うし。

大谷 実際にそういう仕事の仕方してる人で、パッと思いつくような人って例えばどんな人?

小田 どの国でもトップバリスタと呼ばれる人や有名なコーヒーロースターの人が多いと思います。

大谷 コーヒーをやっている人たちは、そういう人たちを「すごいな」という目線で見てるの?それとも「別物だな」と思って見てる?

小田 もちろんリスペクトしています。でも自分自身は、スタイルは違うかなと思っています。もちろん目指すべき点でもありますが、自分の場合はブランドとしてやるんじゃなく、人とかコミュニティの繋がりからできることを広げていきたい。

大谷 小田くんに相談が来る理由やそのきっかけは何かある?今後そういう仕事の仕方をしたい人が出てきた時に、どういう強みを持っていればいいか。

小田 経験を積む中での人の繋がりではないでしょうか。信頼関係が大事かなと思っています。

大谷 それは多分、自分をブランドにしたい訳じゃないっていう思想に基づいてるから、そういう相談のされ方になってるのかもね。

小田 自分のやっていることをちゃんと理解してもらって、安心して相談してくれるのが良いかとは思います。

大谷 そういう働き方を通して、出来ること広げていく時に、理想と現実にはどういうギャップがあり得ると思う?

小田 コーヒーそのものに対する認識の違いというものがまだまだあると思います。依頼された企業や一般のお客さんに対するアプローチも、受けいれてもらう商品やサービスを高めていく必要があると感じています。

クリエイティブな働き方を実現させるには

大谷 チャレンジする先にある理想のバリスタ像、ロースター像はある?

小田 クリエイターに近いのかもしれないです。クリエイティブディレクターみたいな存在。

大谷 職人としてこうありたいというより、技術はちゃんと持ちながらも、その状況に合わせて表現することが楽しいっていう感覚なんだね。

小田 技術も知識も根底にあった上で、もっと自由にクリエイティブに作りたい。

大谷 同じようなことを空人くんとも話していて、彼自身もコンサルの仕事をやっていく上では、そもそもカクテルやお酒に対して面白いと思ってもらえるシーンを作っていかないと自分たちの仕事も広がっていかないよね、と。自分たちがやってることを知ってもらう前段階として、301と一緒に企画やイベントのような活動を継続的にやっていく、みたいなことも大事なんじゃないかと。
どれだけ小田くんや空人くんが力をつけたとしても、それが社会の中でどう機能するのかを一緒にプレゼンテーションしていかないとその力を使い切れない、ってことになってしまう。

小田 違ったマーケットをもっと見つけれるんじゃないかと思っています。

大谷 マーケットをあたらしく作っていくくらいの気持ちでいかないと、なかなか状況は変わらないかもしれないね。

良いチームを作る「距離感」

大谷 現場とコンサルって使う脳が違うと思うけど、どうやって切り替えてるの?

小田 距離感ですかね。現場になるほど近くなるし、自分を出せる。逆にコンサルだと客観的に見ないといけないので。

大谷 その表現は面白いね。すごく的確かもしれない。

小田 オーストラリアからイギリスを通してのエドというボスがいます。彼は大きいロースターを持っていて、とりあえず人と会うことを大切にしていました。本当に大きい会社の人と取引することもあるし、その時はボスとしての話し方と距離感で仕事する。でもカフェにいるときは自分でカップ下げて、みんなと挨拶して笑って、そこで働いてる一人のスタッフとして振る舞っていましたね。

大谷 TRENCH(恵比寿「Bar TRENCH」)のオーナー伊藤さんも、お店にいる時は黙々と率先してグラスを下げたりすごく動いていて、その姿は素敵だなと思った。現場にいる時は、マネージメント視点ではなく現場と同じ視点で物事を見ている。信頼ってプロフェッショナルな技術だけじゃなく、そういうところから生まれてきそう。トップが行動で示すと下の人も付いてくるよなぁと。

小田 そうですね。やっぱり現場だと距離感を縮めることが重要だと思います。

大谷 逆に、現場とコンサルで頭を切り替えるからこそ良い点っていうのはある?

小田 現場から出るといろんなもの見られるしチャンスが広がります。ベースには現場があるんですが、外に出ると刺激があるし、視野が広がる。面白い話を現場に持ってきて、作り、それをまた外に発信する。自分にとっては停滞しない良いバランスになっています。

大谷 インタビューをしている中で、このチームの面白さは現場を知っているだけじゃないところなのかなと思って。みんな自分の興味から外とどう繋がっていくかっていうことに意識がある。

小田 現場で働くスタッフは、外に連れていってあげたいなと思います。イベントとか、違う仕事も見せたい。吸収するものが全然違うと思うし、結果的に現場にも活かされるから。お客さんに対しての話し方とか、やる気もだいぶ変わると思います。

大谷 飲食の世界で「視野を広げろ」って言われるのは一般的にはグローバルを見ろ、という話になりそうだけど、そうじゃなくて、目の前の横軸にも世界が広がっていることに気付くっていうのがこの新拠点の面白さだと思う。すぐ隣にいるデザインの領域の人と話すだけで表現の幅が広がったり。

小田 理想のチームとしては、デザイナーでもバリスタでもマネージャーでも、それぞれが仕事を引っ張ってこれること。そしてそれをみんなでやる。外にどんどん出せる環境にしたい。その中で自分の部門をしっかりとこなす。そうしたらもっと自発的になるし成長するのではないかと思います。

後編に続く。

小田 政志 Masashi Oda
オーストラリア、イギリスのコーヒーロースターで、焙煎やクオリティーコントロール等を行う生産部門で勤務。イングランド南部やロンドンの卸先のコーヒートレーニング、レシピ作成、様々な店舗の立ち上げを行う。ヨーロッパ最大規模であるロンドンコーヒーフェスティバル等、様々なイベントにバリスタとして参加。現在、東京を中心とした様々なコーヒーショップとコラボレーションしながら、ゲストバリスタとして活動。また、新規店舗立ち上げ時のコーヒー器具選定やバリスタトレーニング等、コンサルティングの活躍の場も広げている。
301は、新拠点立ち上げに向けて飲食チームとして参画してもらえる仲間を募集しています。インタビューを読んでこのプロジェクトに興味を持っていただけた方は、HPのフォームから応募いただくか、301メンバーや飲食チームメンバーへ直接ご連絡ください。



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