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鈴を持つ者たちの音色 第三十五話 ”鈴集め②”
GQ(自給)は固い大地を相変わらず掘り起こしていた。目標は”グランドライン”のあらゆる場所全部を掘り起こす事らしい。
お気に入りの鍬は段々と使いすぎて薄くなってきた。交換刃はまだある。先代の者もGQ(自給)がこんなにも在庫刃を使う事は全く想定していなかっただろう。在庫刃がなくなるか、先に”グランドライン”全体が全て耕されるか、どちらが先になるか楽しみだ。とGQ(自給)は言っている。
GQ(自給)
鈴を持つ者たちの音色 第三十四話 ”鈴集め”
WO(女):「”ジュン”は一体何歳なの?」
大叔母:「190歳になるよ。」
WO(女):「190歳!そんなに?」
大叔母:「ああ。現世と来世を行ったり来たりしていたら、あっという間にもうこんな歳になった。」
WO(女):「どのぐらいの頻度で行ったり来たりしていたの?」
大叔母:「来世で何か動きがある度に”水龍”へ報告に参りにきてました。来世もここと同じように目まぐるしく色んなことがある。
鈴を持つ者たちの音色 第三十三話 ”同調⑤”
WO(女)の闇:真っ暗闇の中はあまりの暗さで落ちる速度は感じなかった。
落ちる、というよりは浮遊している感覚だ。
これがもし、本当に”落ちている”としたら相当に深度がある穴か?どこか?という事になる。
暗すぎて目を開けていても視界には”黒”しか入ってこない。目を開けている意味がない。閉じる。
目を閉じてしばらくすると女性の”声”に呼ばれる。「WO(女)‥WO(女)…」
薄く目を見開くと身体の近
鈴を持つ者たちの音色 第三十二話 ”同調④”
血が”記憶”を思い起こす。
それも残酷な”記憶”を。
闇の中で我の意識に戻った。
さっきの記憶はリアルだった。
オキナの”記憶”と僕の今の”記憶”が混在する。
どう頭を整理してもオキナの”記憶”で見たあの”デカい者”は”海モグラ”だった。。
これはどう解釈すればいいのか。しばらく考えた。
おそらく”海モグラ”は”友達”を吸収してしまったのでは無いか。と考える。何故か?それは”音”の能力だ。
鈴を持つ者たちの音色 第三十一話 ”同調③”
ME(男)の闇:真っ暗闇の何も見えない中なのに、蜃気楼のように過去に起きた出来事が不思議と遠くに見えた。
あれ、おかしい。自分は落下しているのに、なぜにあんなものが今目の前に見えているのだろうか?
ここは夢じゃ無く現実であり、自分の歳は20歳で、まだ童貞だ。
それなのに、誰かのその”記憶”には覚えがある。
”その光景”は確か、誰かの11歳の小学5年の夏休みだ。
その出来事を探るように近くへ近くへ
鈴を持つ者たちの音色 第三十話 ”同調②”
WO(女):「こんな場所に屋敷があるなんて誰が想像するのよ。」
ME(男):「誰にも見つからない場所‥って感じだな。」
WO(女):「この奥にはどんな人が住んでいるんだろう?」
屋敷の扉は引き戸で通常の大きさだった。
引き戸を引こうと手を伸ばすと勝手に開いた。
僕らが入ろうとしているのを察して裏側から2人の女助が開けてくれた。随分とここは親切だ。
なぜ入り口の巨門だけが高く大きく分厚くなって
鈴を持つ者たちの音色 第二十九話 ”同調”
夢の中とは違う。
意識はしっかりあって身体の感覚がない。
一瞬でその場所に着くというより、ステージ裏で出待ち5分前の感覚に近い。
幕が「パァーッ」と開いて観客の顔が見えたかな、というぐらいのタイミングで目的地に着いた。
それが、最初のテレポート(瞬間移動)の印象だ。
RI(凛):「着きました。ここは”グランドライン”最高標高地”天路の頂”です。」
WO(女):「最底部から最高地への移動なんて。
鈴を持つ者たちの音色 第二十八話”α”-グリーン⑥
”海モグラ”はあっさりと苦もなく”神龍の宮”へ僕らを誘導してくれた。
ポカーン。
WO(女)とME(男)は口を開けてその呆気なさに言葉を失った。
ME(男)は首を振る。これは夢じゃない。
とうとう目的の場所に来た。胸が昂る。
ME(男):「目的地には着いた。あとは【聖水の壺】だ。」
WO(女)はここへ来てはじめてストレッチを開始した。”やる気”だ。
WO(女):「準備運動にコレやってみて。(
鈴を持つ者たちの音色 第二十七話”α”-グリーン⑤
ランタンの光量には限界があった。
ここ”グランドライン”でも今この場所は限りなく底部に近い。底部は酸素が薄い。
ランタンの光量もどんなにシャッフしても、それとなく元気がなかった。
”ひかり苔”をランタンの光量で足止めしても結局はあれだけの数だ。学校の校庭一周分ぐらいの大きさのランタンじゃないと誤魔化せない。
ME(男)とWO(女)は次の手を考えていた‥
ME(男):「”海モグゥー”もっと速く掘
鈴を持つ者たちの音色 第二十六話”α”-グリーン④
ME(男)とWO(女)は海モグラの後ろを追って階段を降りる。
既に30分は降りっぱなしだ。どんどん”グランドライン”の底部へ向かい降りてゆく。
酸素が段々と薄くなる。圧力も強くなっているせいだろう。
”グランドライン”は高部へ行く度に酸素は濃くなるという特徴があった。今はその逆になる。
”薄くなる方”へ向かっているのだ。
手に持ったランタンもそのせいか灯りに元気がない。
もし、「灯りが消えたらどう
鈴を持つ者たちの音色 第二十五話”α”-グリーン③
スティック型”BANZAI”が出来てから”アイツラ”はまだ現れていなかった。
しかし、スパイがいるという噂は相変わらずたっている。
そのスパイに記憶を消されないように一部の民はこっそりと常にそのスティック型”BANZAI”を耳孔に装着していた。
対抗する武器や作戦を立てる前にまず、相手を知らないといけない。
その為の第一布陣だ。
その一部の民の中に”オキナ”も選ばれていた。
常にスティック型”BA
鈴を持つ者たちの音色 第二十四話”α”-グリーン②
WO(女):「どうして滅ぼそうとしているの?スパイの人だって私たちと同じ人間でしょ?」
巡回員グリーン:「人間じゃありません!”アイツラ”は私たちの地上の生活を奪いました。今までの戦争を起こしたのも、環境破壊を促進させたのも、”アイツラ”の仕業なんです。”アイツラ”は人間になりすます。分かりやすく言うと”化ける”のです。裏で人間に”化け”悪い方向に人類を誘導していった。」
ME(男):「僕たち
鈴を持つ者たちの音色 第二十三話”α”-グリーン①
”グランドライン”は水龍に護られている。という言い伝えがある。
ファーストペンギンのミッションを達成したジュンは水龍の力が無ければのこ”グランドライン”の場所は見つからなかった。とジュンは言い残している。
”ウタバ”の民はこの”グランドライン”を外側から水龍がグルグルと定期的に旋回し、護ってくれていると信じている。
”グランドライン”の外側に関しては人間の力は及ばない。外敵要因に関しては無防備に
鈴を持つ者たちの音色 第二十二話 ”α”-レッド⑤
これは、いつの記憶だろう?
”グランドライン”へ移り住み、間もない頃のようだ。地上から海底へと生活の場を変えた人々の事を”ウタバ”と呼ぶようにした。
海底での生活は地上での生活とは違い、はじめはストレスが多かった。
地上での華やかな生活を引きずらない為にも”ウタバ”と言う言葉の言い換えは必要だった。
そして、少しでも地上の記憶を辿らないように”ウタバ”の皆んなで考えた独特の習慣があった。
・利き
鈴を持つ者たちの音色 第二十一話 ”α”-レッド④
あまりこの部屋にはいられない。
水分や塩分を補給しないと30分ぐらいで熱中症になってしまうだろう。
この部屋には自分ひとり。倒れたら誰の助けも来ないだろう。あの世の世界となる。
脱出口を探さないといけない。
少しでも動くと汗が噴き出る。
あまりの暑さに上半身裸になる。
汗を舐める。腕から出た汗は既にゴリゴリと乾いていた。
キックス②は汗をそのままにしない。
靴下を脱ぎ下着一枚になる。滴る汗をできる
鈴を持つ者たちの音色 第二十話 ”α”-レッド③
ふたりが二路に分かれて走り、どのぐらい時間は経ったのだろう。ふたりはアグセルを落とし通常のライディング以下のスピードで会話しながら走っていた。変わらず”ヤツ”は追ってくる。
キックス②「兄貴ぃ。”ヤツ”は本当に俺らを襲おうとしているのか?」
キックス①「なんだか、方々を旅する巡業みたいだな。でかいペットを連れて。”ヤツ”はあれだけ速かったんだ。いつでも俺らを襲える。それなのに、こちらと同じスピ