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鈴を持つ者たちの音色  第三十四話 ”鈴集め”

WO(女):「”ジュン”は一体何歳なの?」

大叔母:「190歳になるよ。」

WO(女):「190歳!そんなに?」

大叔母:「ああ。現世と来世を行ったり来たりしていたら、あっという間にもうこんな歳になった。」

WO(女):「どのぐらいの頻度で行ったり来たりしていたの?」

大叔母:「来世で何か動きがある度に”水龍”へ報告に参りにきてました。来世もここと同じように目まぐるしく色んなことがある。
それに来世は来世で、君たちみたいな勇敢な戦士もいる。その子らを育てなきゃいかん。」

WO(女):「なるほど。あなたはここ”グランドライン”では有名な予言者と崇められている。その意味が分かったわ。来世で起こる災いを現世に持ち込み事前に回避させる訳ね。」

大叔母:「‥うーむ。微妙に違う。来世で起こることは変えられないのが、殆どだ。しかし、状況をうまく回避でき得る可能性を、大きくする為に現世でコツコツ積み上げる事はできる。例えば今でいう”力”の同調を覚えるのも、その一貫だ。君たち救世主達に期待しているんだ。」

WO(女):「来世にも”アイツラ”はいるの?」

大叔母:「ああ。いる。”アイツラ”がいる限り地上やここ”グランドライン”は安泰しない。闘いは今の所まだ、終わっていない。善がいて悪がいる。まるで両者が存在を50:50で共存しバランスをとっているかのようだよ。でも、それは良くない。」

WO(女):「そんなにも長く来世にいるのなら”ジュン”は来世にもひとりの人間として存在しているのでは?もしかして私のような家族もいたりして。」

大叔母:「笑。そうならいいんだけど、家族はお前WO(女)ひとりだけだよ。190年も生きてひとりだけは少ないかも知れないけど、家族を持つとね、色々苦しい事悲しい事がそれだけ増える気がして。こんなご時世だから。」

WO(女):「全然気にしないのにぃ。沢山生きてるなら沢山家族持つべきよ。」

大叔母:「じゃぁ。今からでもこしらえるかなぁ。」

WO(女):「笑。それいいねー」

大叔母:「WO(女)の言う通り、来世にも私の存在はある。
来世での私の名前は”マスターP”。剣士の集まる砦があって、その砦の中にあるBARのマスターをやっている。
BARというのはあくまで建前。その奥の部屋で戦士達を覚醒する手伝いをしている。
ここ”グランドライン”でやっているような事を来世でもやってるって事さ。」

WO(女):「へぇ。面白いー。来世かぁ。地上での生活ねぇ。どんな感じなんだろう。」

大叔母:「そのうち経験できる。地上での生活はそう遠くない。”グランドライン”にいる”スズモノ”達は優秀だ。頑張ってくれるはず。」

WO(女):「そうなんだね。それじゃ、これからその”スズモノ”を探しにいくのね?」

大叔母:「そうじゃ。あとお前に渡すものがある。」

大叔母は部屋の床間に飾ってある。刀掛けから布で包んだ一刀を持ち寄った。

大叔母:「これは私が長年使っていた武器じゃ。お前はコレといって武器が無い。これを使いなさい。」

WO(女):「これは。何ですか?刀ではない?」

大叔母はするりと布からそれを出した。

大叔母:「龍の髭でできた”髭槍”じゃ」

WO(女):「”髭槍”」

大叔母:「そうじゃ。密約をかわした時に”水龍”が私によこしたのじゃ。私の目の前でボキリと自らの髭をへし折って私によこしてきた。
これは突いてもよし。きってもよし。長くもなるし、短くもなる。色々使い方はあるのじゃが、それを持つ者によって使い方は変わる。だから、使い方は自分で見つけなさい。」

WO(女):「わかりました。ありがとうございます。でも、”ジュン”これが無いとあなたはこれからどうやって身を守るの?」

大叔母:「笑。私にはもういらん。こんな年寄りには勿体ない。宝の持ち腐れじゃ。」

WO(女)が”髭槍”を持つと早速小さく折り畳まれWO(女)はそれを大事そうに胸ポケットへ仕舞い込んだ。大叔母はあんなに小さく折り畳まれた”髭槍”ははじめて見た。と言っていた。

大叔母:「それではこれから先の事を説明するよ。RI(凛)よ。ME(男)よ。こちらへ来なさい。

パンッと大叔母が手を叩くとふたりが入ってきた。

これから数週間”水”と”同調”するトレーニングを行います。
大叔母は一杯の湯呑み茶碗を持ってきた。

大叔母:「この中に水が入っています。こんな少量の水でも”水”から”水”へテレポートができます。この間、RI(凛)が君たちを”神龍の宮”から、ここ”天路の頂”までテレポートしました。その時は”神龍の宮”の湖から巨門前に置いてあった水瓶へテレポートしたのです。基本は”水”から”水”。まずその練習をやりましょう。」

RI(凛):「イメージはどんな少量の水でもその水の中に、行きたい場所のイメージを映すことよ。最初は固いイメージがあれば”とびやすい”ですが、慣れてくると水に映さなくとも頭の中にイメージするだけで”とべます”。」

ME(男):「質問。じゃあ行った事が無い場所には”とべない”ということですか?」

RI(凛):「景色に関してはそうだな。しかし、景色以外のものでもいいぞ。例えば人の顔とか。その人の所へ行きたいと水面に顔を映し出せば、その人がいる場所の水帯へ”とぶ”ことができる。あくまでも、その対象となる人物の近くにある”水”物にね。」

WO(女):「なるほどね。じゃあ”スズモノ”を探しに行く時は、その彼らの顔を思い出して”とべ”ば彼らの場所へ行ける。って事だ。」

RI(凛):「そうです。」

ME(男):「よし。やるぞ。」

WO(女):「やってやろうじゃん。」

ふたりは1週間で”神龍の宮”と”天路の頂”をテレポートできるようになった。

そして大叔母から仲間集め”スズモノ”召集辞令が発令された。
一同巨門の前に集まる。

大叔母:「それでは。
・RI(凛)は”鈴ブルー ”3名(GO(豪)、ゲイン、巡回員ブルー)を召集。

・ME(男)は”鈴ゴールド”2名(GA (我)、WA(輪))を召集。

・WO(女)は”鈴イエロー”3名(GQ (時給)、BOO(武)、海モグラを召集。

各自を見つけ出し、ここへ連れてきてくれ。

ん?ME(男)よ。どうした?」

ME(男):「父もここへ来るのですか?」

大叔母:「鈴を持つ者はここへ呼びます。”彼”は無くてはならない”キーマン”です。”グランドライン”にも詳しい。」

ME(男):「そうですか。ねぇ。大叔母。彼を人間に戻す方法は無いのですか?」

大叔母:「彼は彼で、あのままでなくてはならない存在よ。今回の”α”地帯の任務でも皆んなを救っている。」

ME(男):「そうですか。わかりました。」

大叔母:「それでは。皆さんご検討を祈る。」

巨門の前にある水瓶に溜まった水の中にそれぞれの顔が並ぶ。
RI(凛)が1番先にテレポートし、その後にふたりが続いた。

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