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ボクちゃん 中村繁一

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新任教師の一年間の出来事、様子をおもしろ、おかしく、オーバ             ーに綴っていきます。  (かなり過去の出来事を綴っています) 今の時代にはマッチしないと思いま…
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#小説

ボクちゃん 13   バレーボールの試合

ボクちゃん 13  バレーボールの試合

ボクちゃん13

バレーボールの試合の日が来た。

六チームほどの対戦である。

九人制のバレーボールである。

本来ならば、六人制である。

ところが、何故か九人制が普及していた。

おそらく、身長の低い子ども達も参加させるように、配慮しているのだろう、と思えた。

(二、三年後に六人制に移行することになるが、、、、、)

とにかく、九人制のバレーボールである。

一試合目が始まった。あっという

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ボクちゃん 34   三学期後半

ボクちゃん 34   三学期後半

ボクちゃん 34

また、ある昼休みの掃除の時期である。

廊下を歩いていると、またまた大きな声が聞こえてきた。

「みなさん、お掃除ですよ、お掃除よ、サッサとお掃除しなさい」と、

井上先生の黄色い声である。

何があったのかと思って、窓の隙間から覗いてみた。

すると、井上先生が、頭にナプキンをつけて、自ら率先して、教室の清掃指導をしていた。

児童達は、このあまりにも奇妙な声に、どうしたらよ

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ボクちゃん 35   卒業式

ボクちゃん 35   卒業式

ボクちゃん 35

二月も過ぎ三月には入った。

この頃になると、一年の総まとめとして、教師達は次学年へとか、中学校へとかへの児童に対しての配慮を高める。

特に六年生は中学校へ行ってもやっていけるように、総まとめの段階を考えて児童の心情に気を配る。

そして次の行事は卒業式である。

またまた職員会議を持つ。

役割分担、各係を決めて話し合う。

ピアノの係、バック音楽の係、それぞれ話し合いなが

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ボクちゃん 34   三学期後半

ボクちゃん 34   三学期後半

ボクちゃん 34

また、ある昼休みの掃除の時期である。

廊下を歩いていると、またまた大きな声が聞こえてきた。

「みなさん、お掃除ですよ、お掃除よ、サッサとお掃除しなさい」と、

井上先生の黄色い声である。

何があったのかと思って、窓の隙間から覗いてみた。

すると、井上先生が、頭にナプキンをつけて、自ら率先して、教室の清掃指導をしていた。

児童達は、このあまりにも奇妙な声に、どうしたらよ

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ボクちゃん 33   三学期

ボクちゃん 33  三学期

ボクちゃん 33

続いて三学期の始まりである。

子ども達は、一段と成長している。

あからさまな頼もしい姿が見受けられた。

冬休みの経験が肥やしになったのか、六年生などは、最早大人以上の風格さえ感じられる。

体格も立派になり、大人顔負けの容姿である。

そして、六年生にとっては、小学校生活、最後の学習発表会を向かえる。

寒い寒いこの時期に、子ども達は、最後の思い出となる行事に、熱心になっ

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ボクちゃん 31 陸上競技 談話

ボクちゃん 31 陸上競技 談話

ボクちゃん 31

次は、水泳同様、陸上競技記録会である。

水泳と同じように、この町の一番広い小学校の運動場で行われる。

短距離の60メートル走、百メートル走、長距離の1500m走、走り幅跳び、走り高跳び、ボール投げ、対抗リレー、の種目が行われる。

それまでは、10日ほど前から、自校で練習する。

その間の、指導の熱、力の入れようには、言い様のないほどの熱弁が聞こえてくる。

そして、大会に

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ボクちゃん 30   思案

ボクちゃん 30   思案

ボクちゃん 30

ある日の午後、山岡先生がポツリとつぶやいた。

「先生というのは因果な職業だ」

僕は山岡先生の、この言葉の真意がよくわからなかった。

昔のことを考えれば、教職とは聖職と言われて、まわりの人からは尊敬の念で見られていた。

地域の人々、父兄、全員が先生に対して従っていた。協力体制も整っていたと思える。

ところが現在ではそうはいかない。

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ボクちゃん 29   運動会

ボクちゃん 29   運動会

ボクちゃん 29

二学期が始まった。

子ども達の一層日に焼けた顔と素肌が目に焼き付いた。

さっそく運動会の練習である。

職員会議で、各担当を決めて、、、この競技はこうして、このダンスはこうして、と決めの細かい綿密な計画が為された。

この時はこの曲で、この時は一歩出して、とか、足踏みとか、、、

面倒くさがりやの僕としては、いちいちそんなところまで指導する必要があるのか、、、

そこまです

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ボクちゃん 28   夏休み

ボクちゃん 28   夏休み

ボクちゃん 28

そうして何とか夏休みを迎えた。

お盆が来て、久しぶりに郷里へ帰った。

そして、親父とともに酒を飲んだ。

親父はこう言った。

「人間関係ができればやっていける」

「その時直ちに処理すべし」

どうも親父の言うことは、いなつも抽象的で、理解できないところがある。

いつも、酒を飲んだ上での対話だったからだろうか、、、

母親も元気に暮らしていた。

我が家のことを話しても

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ボクちゃん 27   松山

ボクちゃん 27   松山

ボクちゃん 27

そんなこんなで、一学期が終わろうとしている。

一学期の終わりには、研修旅行として、何処かの観光地へ行くのが通例だった。

今年は、四国の松山だそうである。

まさしく「坊っちゃん」である。

僕を皮肉っているのだろうか、、、

松山まで旅路は、爽快な気分を醸し出してくれた。

マイクロバスでの旅行だった。

旅の気分が味わえて、快適な道のりを走った。

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ボクちゃん 26   相撲

ボクちゃん 26   相撲

ボクちゃん 26

今度は相撲の練習である。

僕としては、この町は、異常すぎるほどのスポーツの熱心な土地柄だ、と想えた。

一年間を通して、様々なスポーツが計画されている。

一学期には水泳、相撲、二学期は陸上競技、三学期には持久走大会、、、また年に三、四回程度のバレーボール大会、少年野球大会などのスポーツ活動が計画されている。

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ボクちゃん 25   雑談

ボクちゃん 25   雑談

ボクちゃん 25

さてさてここで小休止したい。物を書くということは、これだけ気力、体力のいるものなのか、と痛切に感じた。
書いていて、肩に力が入り、ペンだこも痛くなり、正に相当な気力、体力がなければ書けないように感じた。

これほど疲れるとは思ってもみなかった。

書き始めて、どれだけの時間を費やしただろうか、、、

誠に疲れる。語り文体のせいなのか、それとも文言のせいなのか、本当に疲れる。

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ボクちゃん 24   記録会

ボクちゃん 24   記録会

ボクちゃん 24

そして町内水泳記録会が行われる。

この町の教師集団三十人ほどで、計画と準備と進行を図る。

そして各小学校の児童の代表、二百人ほどが一斉に競い会うのである。

舞台はこの町の中央にある小学校のプールである。

背泳はなかった。
主にクロール、平泳ぎである。

放送係の教師が「一コース、何々君、二コース、誰々さん」と、オリンピックが顔負けするような放送を、ウグイス嬢の如く呼び上

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ボクちゃん 22   懇談

ボクちゃん 22   懇談

ボクちゃん 22

和室の真ん中には、ひとつの柱時計が顔を見せて、その針が刻々と過ぎていく時間を表示している。

山岡先生は、「さもありなん」との風格で、堂々と互角に対応している。

その山岡先生はこう言った。

「昔は、地域の父兄、周りの人々が子ども達を温かく見守ってくれていた。子ども達は、何の危機感も持たず無防備で遊びに没頭していた。そんな日々生活の中で、遊びを通して心も身体も成長していったの

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