みんなのルールメイキングプロジェクトの教員アンバサダーになりましたが、校則を変えることを目的とせずに、本当の意味での「民主的で対話的な、より良い学校を作りたいよね〜!」という話。
こんにちは!たーぼうです。
さて、タイトルの通りですが、
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認定NPO法人カタリバの みんなのルールメイキングプロジェクトで、
アンバサダーとして、お世話になることになりましたー!
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新しいフィールドでも頑張りたいと思います。
どうぞよろしくお願いします〜◎
最近、かなり校則見直しの活動が盛んになってきましたね。これを牽引しているのが、認定NPO法人カタリバのみんなのルールメイキングプロジェクトです。
2023年の「ローカルマニフェスト大賞 市民・団体の部 優秀賞」にも輝き、このプロジェクトの注目度はどんどん高まってきています。
そんな団体に、ひょんなことからお世話になることになりました。
私は2022年度に勤務校で生徒指導部主任(現在は生徒支援部と改称しました)を担当したのですが、そこでの取り組みをルールメイキングプロジェクトの教員交流会でお話する機会を頂き、縁もさらに深くなってきました。
以前のnote記事も書きましたが、学生時代にカタリバの出前授業のプロジェクトにボランティアスタッフとして参加したことがあったので、改めて別の形でご縁をもてることをとても嬉しく思います。(あざっす!)
【1】:ルールメイキングプロジェクトとは?
「ルールメイキングって一体なんぞや!?」と言う方も多いと思うので、簡単に解説をHPより引用します。
上記のように、みんなのルールメイキングとは校則を題材とした対話による、より良い学校づくりのプロジェクトの1つと言えます。
さてさて、このプロジェクトは注目度もさることながら、いろんな側面を持っているオモロいプロジェクトなんですよね。
こちらのプロジェクトには、アンバサダー就任前から関わらせてもらっていますが、このプロジェクトを行なった生徒たちが、とにかく育つんです。
このプロジェクトの最上位目標とは何か?
どうやったら自分の意見を伝えることができるのか?
先生や生徒など周りの人たちは何を考えているのか?
どのようにしたら合意形成ができるのか?
などのように、校則を通じて様々な人たちとの対話が進みます。意見がどんどん洗練され、きちんと自分や相手を尊重できるようになっていくんです。これは本当に感動モノです。大人でもかなり難しいのですが、それを生徒たちができているんですよね。
とても面白いプロジェクトなので、なぜこれが重要なのか? という問いに対して、私なりの意見を少し長いですが、まとめさせていただきました。
【2】:この時代に校則を見直すことの意義
学校教育の歴史を紐解くと、以前から校則の見直し活動については、これまで何度も何度も行われてきました。
生徒会活動が盛んになっていた時期もありましたし、学校・社会の在り方など時代によって、様々なものが求められてきました。
「生徒と教員がどのような学校を作っていくのか」というのは、もはや永遠のテーマとも言えかもしれません。(マジでずっと議論されていると思います・・。)
そんな中、ここ最近、校則について今までにないような盛り上がりを見せていると感じます。
2022年の生徒指導提要の改定、子ども基本法の制定、子ども家庭庁の発足とこども大綱の作成、学習権や意見表明権などの子どもの権利や、性的マイノリティなどをはじめとする多様性などの人権意識の高まりを背景として、生徒指導に関する様々な改革が進んでいます。(教育界だけでなく、スポーツ界や芸能界など様々なところでも課題がメディアを通じて浮き彫りになり、問題意識も高まってきていると感じがしますよね。コンプライアンスも一般的な用語になってきました。)
特に既存の法律と重なると解釈され、法整備がされてこなかった子どもの権利条約から、2023年に子ども基本法が制定されたことは、画期的な意義を持ちます。(よくぞ動いた!)
さらに!
SNSの普及により、情報が簡単に手に入る時代になった今、校則のデータベースも作成され、他校との比較も簡単にできる時代です。気づいたら生成AIすらも出てきました。生徒も保護者も知識や繋がりがあるため、学校は「ルールだから!」とゴリ押しするだけでは解決しない段階に来ています。そんな状況に加え、学校は多忙化・人不足が進み、様々なものが予定通りに進まなくなってきています。
このように学校には今まで以上に、「地に足のついた対話」が求められているのではないでしょうか?
生徒たちは、大人です。日常の生活を通じて、様々なことを感じています。些細な意見でも実は何かを変えるきっかけになることはあります。誰かの声が世の中を変える可能性がある時代なんです。
【3】:社会科の教員として思うこと
私は高校の社会科教員です。その観点からも、ルールをなぜ見直すのかは大きなテーマと言えます。
歴史を振り返ると、ルールが変わり続けてきたことがわかります。戦前と戦後では、最高法規である憲法すら違いますし、治安維持法や、アメリカの支配下の時代でも、ラジオや出版に強い規制がありました。時代によって正解が変わることは歴史が証明しています。前の時代のルールは、変化の激しい今の時代、そして次の時代に当てはまるわけではありません。
また最近では、2023年秋に埼玉県で児童虐待防止の文脈で、いわゆる「虐待禁止条例」が条例案として出されました。
この条例については、実生活に多大なる影響が出るため、世論の大きな反発があり、撤回されました。(このストップ劇は、めちゃくちゃシビれましたね〜!)
これもルールに対して、疑問をぶつけたことで社会を変えた事例と言えます。
ルールを守ることは社会を円滑に進める上で大事ですが、それを作っているのは人間です。人間は時に間違うことだってあります。多様性の時代に1つのルールが得をする人も、損をする人も生むことがあります。
また社会科教育における大きな目標である市民的資質(平たく言うと、立派な大人としての考え方)の育成においても、大きな意義があります。
少し古くはありますが、市民的資質には「社会化(Socialization)」と「対抗社会化(Countersocialization)」が必要という研究があります(アメリカ社会科教育学者のエングル&オチョアが1988年に提唱しました)。社会化とは社会の一員として同化していくこと、対抗社会化は構成員の多様性を受け入れ、差異や対立を見える化して、既存のシステムや考え方に違和感を持つことと言われています。(最近では、批判的思考力やリテラシー能力の文脈で重要視されていますね。)
「社会の構成員としてのルールを守る意識を持ちつつも、ルールの奴隷にならずに、システムに疑問を持つことができる人間を育てる」と言い換えられるでしょう。ずっと前から、こんなことが言われているんです。
また、18歳投票権となった今、「立派な主権者を育てる」という点にもつながる取り組みだと思います。
校則は生徒たちにとって身近で当事者意識を持ちやすく、議論がしやすいものです。立派な大人、主権者を育てるためにも、かなり有効な取り組みだと言えます。
【4】:私個人として、大事にしたいこと
前置きが長くなりましたが、そんなタイミングでこちらのプロジェクトにアンバサダーとして関わることは、私にとっても大きなチャレンジだと感じます。
ここで私個人として、大事にしたいことがいくつかあるので、まとめてさせて頂きます。こちらは主に先生たち向けの内容になるかと思います。(これは個人のスタンスなので、団体の意見ではありません。団体の方針と重なる部分があるかもしれませんが、個人的に思うことなので、書いておきます。)
■大事にしたいこと①
「校則は絶対に変更すべきもの」というスタンスではありません。
校則は「悪」で、それを変えるべきだという正義感に立っているわけではありません。対話の結果、現状維持になることや、さらに校則が増えることだってあり得ます。その方が良いと皆が合意をしたら、それで良いと思います。大事なのは合意形成がしっかりとできることですから。
よく議論の際に「厳しく校則で取り締まるべきだ!」vs「校則なんていらん!」という二項対立の単純な構図に一般化されることがありますが、そんなに現実は簡単ではありません。
そもそも何を目指しているのか、どうあって欲しいのかに照らし合わせながら、そして現実と理想のバランスをみんなで考えながら、対話で見出していくことが重要だと考えています。(難しいですけどね)
■大事にしたいこと②
いわゆる「生徒指導を頑張っている人たち」を倒して、学校内の覇権を取りたいわけではありません。
みんなが参画する職員室、そして学校を目指したい。
現場の生徒指導の担当の人を批判したり、校則体制を壊すことを目的としているわけではありません。
学校にはその学校特有の背景や課題があります。さらに厳しい指導や、校則を遵守する規範意識を否定する立場でもありません。厳しい指導や、規範意識は多感な子どもたちに接する上で重要なものです。変わらない方が良いものもたくさんあります。
また学校現場のいわゆる「荒れ」については、教員としての経歴はそこまで長くありませんが、ある程度は理解をしているつもりです。現場では本当に様々なトラブルが起こっていることも知っています(いろんなことが起こりますよね〜)。他校と比較することも大事ですが、比べられないこともあると私は考えています。
また、対話は「底知れぬ力」を持っているので、その結果が学校内のそれぞれの立場を大きく変える可能性があるのも事実です。
先生たち、生徒たちは、それぞれの正義があり、それに基づいて行動をしています。それらを否定するつもりはありません。ましてや「先生たちの考え方を良い方向に変えてやろう」とも思っていません(良い悪いの価値観は人それぞれです)。あくまでもそれぞれの考え方を、少しずつ声に出しながら、合意形成を探っていくことが大事です。(ちなみに生徒に迎合してポイントを稼ぐつもりもありません。そういう下品なことは嫌いです。)
むしろ、この見直しをすることで、それぞれの声を出していくことで、先生たちや生徒たちとの関係も深まっていく可能性もあると思っています。
人には、それぞれの考え方があります。それらを否定せずに、どうしたらいいのかをじっくり丁寧に考えていくのが、大事だと考えています。(難しいですけど)
■大事にしたいこと③
生徒の意見が出発点にはなりますが、「生徒の主張をそのまま通す」ということでもありません。
先生たちも意見を言っていいんです。
学校は様々な構成員で成り立っています。
生徒をはじめ、教員、管理職、事務員、保護者、学校評議員、関連する業者、さらに地域の人々など、立場も様々です。生徒の意見だから通さなければいけないということではありません。生徒には子どもの権利がありますが、教員たちにも大人としての権利があります。教員の反対や保護者からの懸念などがあれば、生徒の提案は通らないことだってあり得ます。
「通さなければ、生徒たちから反発が出てくるので、こちらの立場が悪くなる」という意見もあるかもしれません。しかし、反対となったら、これをきっかけに生徒たちは提案を見直したり、関係者に話を聞いたりと、次の行動にも移ることができます。大人も考え直す機会になるかもしれません。そのステップアップこそが、合意形成をいかに作っていくのかという、生徒たちにとって真の課題になっていきます。校則はあくまで材料に過ぎません。
また生徒が周りのことを考えずに自分本位の提案をした場合、対話を通じて、考え方が変わっていくこともあり得ます。対話をしなければ、自分本位の意見のままかもしれませんが、対話をすることで見方・考え方が変化する可能性もあります。つまり成長のチャンスです。対話で落とし所を探すというチャレンジもできます。
■大事にしたいこと④
トライ&エラーで良いんです。
ダメだったらやり直せば良いし、実験的でも良いんです。
「一度決めたら、元には戻らないのではないか?」という意見もあると思います。しかし、トライ&エラーでいいと思います。試行期間を設けたり、再度見直しをしたりしながら、対話を続けていくことにこそ本当の価値があると思います。その対話が、きっかけであり文化を作る一歩になると思います。
私たち教員たちは生徒たちに対して、「失敗しても良いから、チャレンジしてみよう」と言うことがあると思います。それですよ。それ。
【5】:今後について
このアンバサダーのシステムは、2023年度から始まり、1期のメンバーが9名、2期メンバーが私も含めて10名です。
埼玉県のアンバサダーとしては初のようなので、やはり勤務地である埼玉県を中心に何かできればと思っています。関東勢も現在4名(栃木・茨城・神奈川・埼玉)なので、関東でも何かできたらいいなと。埼玉県もルールメイキングと呼称しているわけではありませんが、様々な見直しなどを進めてきています。教育委員会にも現場の学校にも、素晴らしい人たちがいます。
ぜひ埼玉近辺で、校種を問わず生徒指導や生徒会などで校則見直し等をしている人がいたら、ぜひ繋いで頂けませんか〜?
ご紹介とかして頂けるとめっちゃ喜びます。(ルールメイキングの実施の有無や、規模は問いません。個人的にやっているとかもOKです。)
探究の活動の一環としてやっている生徒や先生も含めると、潜在的には結構いるのではないか?と思ってます。
あと、やってないけど、ちょっとどんな活動か覗いてみたいとか、どんな状況なのか知りたい!などがあれば、ぜひルールメイキングパートナーに登録してみませんか?(最後に載せておきますね!)
ぜひ一緒に勉強させてもらえると嬉しいです。
とても長くなりましたが、お読み頂き有難うございました。
最後にこちらに声をかけてくれた、事務局の皆様に感謝をして、終えたいと思います。(まだ就任しただけですが、もうすでにめっちゃ嬉しいんですよね。)
何はともあれ、できる範囲で、できることを、自分らしく頑張っていければと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
【6】:参考資料
1:パートナー登録はこちらです!
2:就任に関する記事
新アンバサダー
初代アンバサダー
3:2022年度の取り組みを話題提供させてもらいました。あざっした。
(レポート記事)
4:カタリバとの関わりについては以前に書かせてもらいました。
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