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雪道 (詩)

フロントガラスに降りしきる雪が激しさを増す
私は目を凝らす
ハンドルを握る手に力がこもる
前方を見据え、慎重に運転する

今日中に彼の元へ
明日、彼はこの地を発つ
遠方に転勤になる彼
だから、その前に会いたい

先刻より、ますます激しく降りしきる雪
白き魔物が私に襲いかかる
彼の元に辿り着けるのか
不安が濃くなる

まだ、彼にちゃんと伝えていないことがある
愛してる、って
だから、早く……

次第に雪が小降りになった
少しホッとした

やがて一時、雪が止んだのを機に
私はアクセルを踏んだ




Xの2時間作詩のお題は、雪道でした。
少し加筆しました。



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