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うだ すいか
2023年8月13日 20:16
死に対する強烈な恐怖とあこがれ。生への執着は、其れほど無い。死にたくない。不本意に死にたくない。死ぬのは怖い。苦しむのが怖い。今後一生一切苦しまないならば死ねばいい。死ねば。それが最適解だと思った。生きることは酷く難しい。生きることは酷く苦しい。ささやかな、小さな、慎ましやかに積み上げてきたよろこびや嬉しさや幸せの類いを、一瞬でいっさいぐちゃぐちゃにするのが苦しみだ。苦しみを知らずに生きてい
2020年7月4日 17:08
梅雨の真っ只中だ。1週間の殆どを、青の傘マークが占める。蒸し蒸しと不快な外気、どこにも行かないなんて無理な話で、適当にシャツをひっかけて朝8時、外に出る。社員証、ぼろぼろのパンプス、ドンキホーテで適当に買った安物の香水。そんな週5日のルーティンワークを淡々とこなすことで、年齢を感じていた。地元を出て5年目の7月。湿気で畦る髪。夏草の匂いが鼻をつく。ああ。今年も夏が来る。夏はずっと苦手
2020年7月3日 07:04
ぱっと映える青色は鮮やかで、輝くくらいに眩しい。眩むくらいのそれだ。青色はうつくしい。それが、青春の色だ。特権的な若さの色だ。生涯でいちばん眩しくて、甘酸っぱくて、それでいてもう戻れない色だ。お酒を飲むようになりました。煙草を吸うようになりました。会社に所属して、ほんの僅かなお金を貰うようになりました。税金を納める側になりました。友達の友達が結婚していく様を見ました。私は大人になっ
2020年6月20日 02:18
足音さえ心做しか重たかった。日は翳り、月に叢雲。薔薇は棘を秘めている。奇麗なものは儚くて、陰を宿している。大人びた背筋がそう語っていた。そうだ、その陰に惹かれて、馬鹿みたいに焦がれて、それが全てだと思った。全てだった。美しくなど、無くとも良かったのだ。正しく無くとも。「2人分の道が無くっても。」「それはさぞ」頼もしいこった。低い声が震えた気がして、次には水音に融けた。夏草がひたひたと凪ぐ。青緑の匂