一騎当千の不良軍団 v.s 織田信長!!|『ザ・リング』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「ザ・リング」をベースに新しい物語を妄想します。
※「ザ・リング」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「ザ・リング」は、見た者を1週間後に呪い殺す「呪いのビデオ」の謎に迫るホラー作品ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介したのは、「仕事一徹だった刑事が、妻にかかった呪いを解くために『妻のためなら何でもする夫』に成長する物語」、「ブラック企業の課長が、部下らにかかった呪いを解くために『お客様に喜んでいただく。部下も守る。両方やらなくちゃならないってのが上司の辛いところだな』と奮闘する物語」の2案でした。
案③
嘉村 「案③」にまいりましょう!
三葉 「案③」は、「不良高校の生徒たちが、番長にかかった呪いを解くために『番長を支える優秀な子分』に成長する物語」です。
嘉村 番長!?
三葉 はい。
嘉村 ははぁ……。
三葉 さて詳細をご説明する前に、ここで一度「ザ・リング」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 では「案③」に戻りまして……舞台は京都。
嘉村 ほぉ。京都!
三葉 喧嘩上等の強者ばかりが集まる超不良高校の話です。ここでは仮にA高校と呼びますが……「クローズ」「WORST」シリーズをご存知の方は、鈴蘭男子高校や鳳仙学園をイメージしてください。
嘉村 なるほど。
三葉 A高校はいまノリにノッている!元々手のつけられぬ不良の巣窟として恐れられていましたが、現在多くの武闘派が集まり、歴代最強の戦力になったと噂されています。
嘉村 ほぉ。
三葉 1年生から3年生まで一騎当千の猛者が揃い、周囲の高校や暴走族、チーマーらを次々平定。あっという間に京都を手中に収めた。しかし彼らの侵攻は止まらない!北は北海道から南は沖縄まで、そう遠くない内に全国制覇を成し遂げるのではないかと囁かれているのです。
嘉村 ふむふむ!
三葉 さて、そんなA高校の荒くれ者たちを束ねるのが……番長のBくん!身長183cm、体重104kg、腕の長さは193cmの超高校級!
嘉村 デカい!
三葉 小学1年生にして大の男が10人飛びかかっても取り押さえられなかったという腕力から「人類最強の男」、または「70億分の1の男」、あるいはその鋭い眼光から「氷の帝」とあだ名されています。
嘉村 うーむ。ヒョードルみたいな男ですね。
三葉 そんなある日、A高校の屋上に幹部らが集まり、九州侵攻作戦を練っていると……ふいにBくんがぶっ倒れる!
嘉村 おおっ!
三葉 慌てる一同。毒殺か!?はたまた、どこからか狙撃されたのではないかと大騒ぎになる。
嘉村 ふむふむ。
三葉 A高校が混乱する中、Bくんが倒れたというニュースは猛スピードで日本中を駆け巡ります。
嘉村 ほぉ!
三葉 「あのBが倒れたそうだ!」「まさか!!殺しても死にそうもない男だぞ!?」「いや、どうやら本当らしい!いまも意識が戻らないそうだ」「何かヤバい呪いを受けたらしいぞ」「呪い!?」「いずれにせよ、Bは当面戦線を離脱することになるだろう」「ふむ……つまり……」「ああ……時は来た!」……ということで、日本各地で反旗の狼煙が上がります。
嘉村 おおっ!
三葉 敵対勢力はもちろん、一度はA高校の軍下に降った不良たちも謀反を起こし、A高校の生徒が駅や夜道で襲われ、ボコボコにされる事件が相次ぎます。
嘉村 なるほど。一気にきな臭くなってきましたね。
三葉 A高校の生徒たち、すなわちBくんの部下たちは、「一刻も早く番長に復帰してもらわねばならぬ!彼にかかった呪いの謎を解くのだ!」と調査に乗り出します。
嘉村 ふむ。
三葉 さて、調査を進める内にいくつかのことが明らかになります。すなわち……Bくんは織田信長の怨霊に呪われている!
嘉村 信長!……あー、だから舞台が京都なのか!
三葉 ええ、そうです。
嘉村 ふむ!
三葉 そして子分たちは、信長の家臣の想いを知ります。「天下統一という大きな夢に向かって進む信長への忠誠」、そして「偉大なる信長の家臣たることの誇り」……。
嘉村 なるほど。
三葉 これを機に、Bくんの子分たちは変わります。それまでの「Bくんの威光にすがるばかりだった自分たち」、「Bくんがいるのを当たり前に思っていた自分たち」を反省し、「番長が日本一ってことは、オレたち子分も日本一ってことだろ?ヘヘッ、日本一か。悪くねぇなぁ!オレたちの手でよぉ、番長を日本一に担ぎ上げようぜ!」と決意を新たにする。
嘉村 ほぉ。
三葉 とまぁ、こうしてBくんの子分たちは一騎当千の働きで反乱分子を叩き潰し、同時にBくんにかかった呪いを解くために奮闘するわけですが……。
嘉村 なるほど。
三葉 以上のストーリーを、「ザ・リング」と比較する形で整理してみましょう。
嘉村 ふむふむ。「ザ・リング」が、「レイチェルが『呪いのビデオ』の真相に迫る中で → サマラの想いを知り → 自分の生き方を反省 → 『母親らしさ』を獲得する」物語であるのに対して……。
三葉 はい。「案③」は、「番長の子分たちが『番長にかかった呪い』の真相に迫る中で → 織田信長の家臣の想いを知り → 自分たちの生き方を反省 → 『番長を支える優秀な子分』に成長する」物語です。
嘉村 なるほど!
三葉 ちなみに……。
嘉村 ええ。
三葉 クライマックスは、子分たちが番長にかかった呪いを解くべく、本能寺に殴り込みをかけるシーンです。
嘉村 殴り込み……?
三葉 はい。そこには、信長やその家臣団の怨霊が待ち構えている。
嘉村 ほぉ。
三葉 そして信長が言う。「待っていたぞ、小僧」。
嘉村 信長っていうより、「北斗の拳」のサウザーみたいですね。
三葉 信長は続けて曰く、「見事わしを討ち取り、呪いを解いてみよ」。
嘉村 あー、なるほど。そういう展開なんですね。信長らに勝利すればBくんの呪いは解けると。
三葉 そうそう!すなわち、「一騎当千の不良軍団 v.s 信長とその家臣団」の頂上決戦!!最高に盛り上がるでしょ?
嘉村 ふーむ、確かに。
三葉 Bくんの子分たちは、「死ぬことなんて怖くねぇぜ。この命、番長のために使うって決めたんだからよぉ!」と突撃!対する信長の子分、例えば森蘭丸あたりも叫ぶ「敵ながらあっぱれ!」。
嘉村 あー、そうか!「親分のために命を懸ける子分」という点で、不良たちと信長家臣団は共通している。だから通じ合うものがあるってわけですね。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は「初めての彼女にぞっこんの男子高校生が、親友にかかった呪いを解くために『女よりも男の友情だぜ!!』と熱い男に成長する物語」です。
嘉村 ほぉ。初めての彼女にぞっこんの男子高校生……。
三葉 ほら、いるでしょ?彼女ができた途端、友情よりも彼女を優先するようになる男……。
嘉村 はいはい!
三葉 「案④」の主人公はそんな男子高校生ですね。
嘉村 なるほど。
三葉 無論彼女を大切にするのは悪いことではありません。浮かれるのもわかる。ただ、友だちからすると……ちょっとね。寂しいというか何というか。
嘉村 まぁ、そうですね。
三葉 さて、「案④」のストーリーの構造は「ザ・リング」や「案③」と共通です。くだくだしい説明は割愛して……早速「ザ・リング」と比較してみましょう。
三葉 すなわちこれは、「主人公が『親友にかかった呪い』の真相に迫る中で → 友情に殉じた男たちの想いを知り → 自分の生き方を反省 → 『女よりも男の友情を優先する熱い男』に成長する」物語です。
嘉村 「友情に殉じた男」ってのは?
三葉 例えばメロスとかセリヌンティウスとか、ああいう人ですね。主人公は親友の呪いを解くべく奮闘する中で、メロスタイプの人の想いに触れ、何よりも友情を大切にする男に成長するのです。
嘉村 なるほど。
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「ザ・リング」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)