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彼女の人生に足りないのは刺激だった!!|『マイ・ライフ』(3)

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テーマ発表!!



 第1回第2回に引き続き、映画「マイ・ライフ」をベースに新しい物語を妄想します。

※「マイ・ライフ」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「マイ・ライフ」は、有能なビジネスマンが末期ガンに冒されたことをきっかけに、それまでの人生で軽視していたものと向き合い、人間的な成長を遂げる物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『マイ・ライフ』 ~『優秀なJK』編」、「『マイ・ライフ』 ~『有能なヤクザの親分』編」の2案でした。


案③


嘉村 それでは「案③」にまいりましょう!

三葉 はい。「案③」は、「『マイ・ライフ』 ~『家庭的な主婦(1)』編」です。


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嘉村 家庭的な主婦!

三葉 詳細をご説明する前に、「マイ・ライフ」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そしてもう1つ、以下もご覧ください。


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嘉村 なるほど。

三葉 さて……以上を踏まえて「案③」!「マイ・ライフ」と比較すると以下のようになります。


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嘉村 「案③」と「マイ・ライフ」では、主人公が重視/軽視してきたものが真逆なんですね。

三葉 ええ、その通りです。すなわち……「案③」の主人公は家庭的な主婦です。何よりも大切なのは、夫と小学生の娘。自分のことは二の次です。家族の笑顔こそが彼女の生きがいなのです。専業主婦はまさに彼女の天職だと言えるでしょう。

嘉村 ふむ。

三葉 また、人一倍気づかいのできる人間でもある。

嘉村 なるほど。

三葉 そんな彼女が……ある日、末期ガンと診断された。当然、強いショックを受ける。第一に想ったのは家族のことです。私が死んだら夫は、そして愛するわが子はどうなるのか……。しかし、末期ガンは末期ガン。如何ともしがたい。医師は目を伏せる。彼女と夫は八方手を尽くす。ダメで元々である。怪しげなナントカ水だって飲んでみる。そしてそんな中……奇妙な祈祷師と出会った。祈祷師は彼女の体に手をかざすだけで、病状やら病歴やらをズバズバ言い当てる。そして続けて曰く、「心の声に耳を澄ますのです。あなた自身の本当の欲望に早く気づくのです」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 「本当の欲望」とは一体何なのか?さっぱりである。しかし気になる。自問してみる「私は一体何をしたいのだろう?もしも寿命が100年伸びるとして……もしも目の前に100億円あるとして……で、私は何をするだろう?」。そして気がつく「私、働いてみたい!」。

嘉村 ほぉ。

三葉 思えば……主人公の父は早世している。母はバリバリ働きながら主人公を育ててくれた。母はいつも忙しそうだった。主人公は幼いながら、少しでも母の役に立ちたいと思った。かくして家事を担当するようになり、それをきっかけとして家庭的な女性に成長するのですが……「私、お母さんに憧れていたんだわ!私もお母さんみたいに働きたい!」。

嘉村 なるほど。

三葉 残された時間は多くありません。彼女は間もなく、とある中小企業で働き始める。初めは単なる雑用係でしたが、鬼気迫る前のめりの姿勢が評価され、すぐに営業部に異動になる。そして営業部でも、穏やかな物腰とシビアな駆け引きを武器にして、あっという間に頭角を現す。笑顔でゴリ押すのが得意技です。上司がぼやく「絶対に敵に回したくないタイプだよ」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 とまぁそんな具合に、彼女は「過去、自分のルーツ」を踏まえて、それまでの半生とは打って変わって「論理的、合理的」「仕事、経済的成功」的な生活を送ります。そして、やがて死が迫る。彼女は幼い子どもに語りかけます「やり残したことはたくさんあるわ。あなたと一緒にお買い物に行ったり、お揃いのコーディネートに挑戦したり、あなたの恋人にも会ってみたかった。でも……後悔はないわ。できる限りのことはした。あなたにも、できればそんな人生を送ってほしい」。そして彼女は永眠したのでした……で、おしまいです。


案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は、「『マイ・ライフ』 ~『家庭的な主婦(2)』編」です。


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嘉村 またもや家庭的な主婦!

三葉 「マイ・ライフ」と比較すると、以下のようになります。


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三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は家庭的な主婦です。穏やかな性格をした貞女。大和撫子タイプの美しい女性です。敢えて悪く言うなら、クソ真面目で、少し堅苦しすぎるところがある。

嘉村 ふむ。

三葉 そんな彼女が末期ガンになった。そして「案③」同様、怪しげな祈祷師と出会い、「心の声に耳を傾けよ。自分の本当の欲望に忠実であれ」と助言される。はて、「心の声」とは何か?「本当の欲望」とは一体?彼女にはピンとこない。しかし……やがて気がつく!「私、もっと自由に生きたい!」。

嘉村 「自由」ですか。

三葉 ええ。と言うのも……彼女は地方の名家に生まれ、幼い頃から厳しいしつけを受けてきました。「女の幸せは家庭に尽くすことである」「女たるもの、身持ちは堅くなければならぬ」と教わった。そして、彼女は貞女に育った。なるほど、いまの生活は幸せだ。これまでの半生に後悔があるわけではない。でも……「もっと自由に生きてみたい!」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 彼女は、精一杯派手な格好をして街に繰り出してみる。しかし……途方に暮れる。一体何をすればいいのかわからぬ。そんな時、学生時代のクラスメイト(以下、Aさん)と偶然再会を果たします。Aさんは、名門女子校にあっては珍しいギャルタイプの女の子でした。竹を割ったような男勝りの性格が、クラスメイトから愛されていた。

嘉村 ほぉ。

三葉 主人公は手を打つ「渡りに船だわ」。Aさんが小首をかしげる「船がどうしたって?」。主人公は状況を説明します。Aさんが笑う「きみは変なヤツだな……オーケー。喜んで協力するよ。きみの人生が刺激的なものになるように全力を尽くそう」。そして主人公はAさんに導かれ、それまでとはまったく異なる世界に足を踏み入れます。すなわち……ホストクラブに行く。扇情的な下着を身に着ける。男娼を買ってみる。逆に、自分が買われてみる。ギャンブルにも手を出す。夫や、彼女の両親は呆れ果てる。しかし、末期ガンが免罪符となります。彼らは苦虫を潰したような顔をしつつも、「お前の好きなようにしなさい」と言ってくれる。彼女は感謝し、今日もAさんと夜遊びに出かける。

嘉村 ふむふむ。

三葉 そして、やがてその時がやってきます。主人公は、すっかり生気を失った顔で微笑む「残念だわ。もっと遊びたかった」。Aさんは無理に笑顔を作ってみせ、「そろそろ休もう。休息も大切さ」「そうね。少し休んだら……また私と遊んでくれる?」「もちろんだよ」「ありがとう。じゃあ、おやすみなさい」「ああ、おやすみ」。主人公は目をつむり、間もなく息を引き取ったのでした。……で、おしまいです。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『マイ・ライフ』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 「マイ・ライフ」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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