トーマス泊瀬

自称小説家。自堕落な物書き。腐男子。井原西鶴の「男色大鑑」を研究する「若衆文化研究会」…

トーマス泊瀬

自称小説家。自堕落な物書き。腐男子。井原西鶴の「男色大鑑」を研究する「若衆文化研究会」所属。「梁塵秘抄」を愛読する。人からは古典主義者と見えるかも知れないが日本語は同じと考へる。古きも新しきも使うべし。川端・三島・太宰の文学至上主義に憧れている。

記事一覧

アウトローへの挽歌 Eagles歌詞和訳

The Eagles ... the legend of the Rock band , in terms of their creation of great sounds and songs, and also comercializm success. Among their many works, there …

トーマス泊瀬
11か月前
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ボブ・ディラン「ジョン・ウエズリー・ハーディング」ライナーノーツの翻訳

ボブ・ディランの8番目のスタジオ録音アルバム「ジョン・ウエズリー・ハーディング」のライナーノーツ(と呼べるものかは不明)に記されたディラン一流の寓話を訳してみま…

トーマス泊瀬
11か月前
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BLブームに乗った近代文学に見える同性愛の側面

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川端康成「少年」の文庫化の節目に考える~川端康成の虚無について

『これだけの本があるのに #川端康成  の「少年」と「16歳の日記」はないのだ。「少年」と「伊豆の踊り子」はふたつでひとつの作品ということを発見した。「伊豆の踊子…

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中公文庫「給仕の室」など近代文学の同性愛サブカルチャーの定位問題

~文庫『給仕の室』の解説を読んで思う 令和4年の8月23日に刊行された「給仕の室」(中公文庫)、4月に刊行された川端康成「少年」(新潮社)と、このところ、いわゆるBL…

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古今和歌集「まつ虫」の歌を英語にしてみる

Waka "Matsumusi" and inspired English poems 能「松虫」とそれをモチーフにした井原西鶴「男色大鑑」の一話「嬲り殺する袖の雪」の日本芸能・文学の深奥を讃えて  秋…

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男色大鑑「夢路の月代」の固唾の命論

男色大鑑 巻二の三『夢路の月代』の固唾の命論 小説風 一、はじめに  この一題においては、なかなか面白い議論が若衆文化研究会およびその世話人である染谷教授による…

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アウトローへの挽歌 Eagles歌詞和訳

The Eagles ... the legend of the Rock band , in terms of their creation of great sounds and songs, and also comercializm success.
Among their many works, there is one album which sings for a wild bunc

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ボブ・ディラン「ジョン・ウエズリー・ハーディング」ライナーノーツの翻訳

ボブ・ディランの8番目のスタジオ録音アルバム「ジョン・ウエズリー・ハーディング」のライナーノーツ(と呼べるものかは不明)に記されたディラン一流の寓話を訳してみました。はっきり言って私も含めてですが、大多数の人には意味が分からないと思います。原文も抽象的な語句や下世話的な表現が混在し、まさに「ディランの夢」とでも言うべき表現です。説明もない「It」や「The」がない語句を出来るだけ日本語にしようとし

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川端康成「少年」の文庫化の節目に考える~川端康成の虚無について

『これだけの本があるのに #川端康成  の「少年」と「16歳の日記」はないのだ。「少年」と「伊豆の踊り子」はふたつでひとつの作品ということを発見した。「伊豆の踊子」は表向きの文章だけを読んではいけない。裏には「虚無」がある。』

とは2019年に私がツイッターにて嘆いた一文である。このスレッドに掲載した写真はある大手書店で撮影した、文庫本の書架に並ぶ数多のそれらの背が映っている。

そういうわけで私

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中公文庫「給仕の室」など近代文学の同性愛サブカルチャーの定位問題

~文庫『給仕の室』の解説を読んで思う

令和4年の8月23日に刊行された「給仕の室」(中公文庫)、4月に刊行された川端康成「少年」(新潮社)と、このところ、いわゆるBL(ボーイズラブ)ブームに乗っての近代文学者の同性愛を含む文学作品が歴史の裏通りから次々と再認識されていることはまことに喜ばしいことと思う。図書館や文学館に行かなければ読めなかった作品がある普遍性を持っていれば、文庫本で一般読者にも読

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古今和歌集「まつ虫」の歌を英語にしてみる

Waka "Matsumusi" and inspired English poems

能「松虫」とそれをモチーフにした井原西鶴「男色大鑑」の一話「嬲り殺する袖の雪」の日本芸能・文学の深奥を讃えて

 秋の野に人まつ虫のこゑすなり 我かといきていざとぶらはん

「古今和歌集」佐伯梅友校注 岩波文庫 秋歌上 題しらず よみびとしらず

 正岡子規には散々に言われた古今和歌集だが、近代とそれまでの文

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男色大鑑「夢路の月代」の固唾の命論

男色大鑑 巻二の三『夢路の月代』の固唾の命論 小説風

一、はじめに

 この一題においては、なかなか面白い議論が若衆文化研究会およびその世話人である染谷教授による青山学院大学での特別講義の中であった。主な受講者はもちろん、学生である。

 その議論の対象とは、作中冒頭で剣術使いの丸尾勘右衛門が、美しい若衆、多村(たのむら)三之丞が小川に吐いた唾を下流ですくい上げ飲み干したという行為に関してである

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