トラブルと決断の《甲州街道日記》 その４
Ⅳ. 12月27日（火）－２
最初は道路に沿った町の中を歩くもで車が多く歩きにくかったですが、1,2キロほど進むと道が二股になりそれを左に進んだら、やや田舎道に入って歩きやすくなりました。最近降った雪が所々の残っていて、水たまりを作っていました。裸足にポーツサンダルという装備で歩いているので、足が冷たくて千切れそうです。足はそうなのですが、上着は冬なので厚着をしていたので、すぐ汗ばんできました。だから、カシミアのセータを一枚脱ぎました（無印良品のカシミア保温力抜群ですが、歩くときには逆効果の備品です）。
更に5キロほど歩いて、茅野駅に近づいたときに今日３発目のトラブルです。よくあることなのですが、旅に出ると下痢ピーになるのです。それも、急に催して来るのです。（こんな時のオナラは、厳禁です。中身が噴出して酷い目に会います）今回も、いきなり限界の感じです。オナラは、我慢我慢。
ラッキーなことに、300メートルほど先に小さなガソリンスタンドを見つけました。ややお尻を閉める格好で、小走りで駆け込みました。ガラス張りの店だったので、やや怖そうなおばさん（おばあさんだったかな？）私を見て出てきてくれました。早速、トイレの借用を申し出ると…
「そこに、書いてあるやろ。うちは、ガソリンを買わない人のトイレお断
りや。」
ドアを閉めかけるおばさんに慌て「ガソリン、買いますから」と答えたが鼻を鳴らしてドアを締めたれてしまった。車もないのにガソリンを買うという大阪人の社交術は、長野県では通じませんでした。（「決して、長野県人は不親切だと思い込んではいけない。これは、このガソリンスタンドのおばさんだけだ。それも、トイレを今までは親切に貸してあげていたのに、トイレを汚された経験が積み重なってああなったんだ。トイレを汚す旅人の方が悪いんだ」と２回唱えて落ち着きました）。
なんとかしなくては。覚悟を決めると、便意が落ち着いてきました。そこで地図を詳しく見ました。やや街道から外れますが、茅野駅を目指すことを決断しました。そこには、トイレがあるはずだという名推理（それほどでもないか）です。あと、７００メートル程あります。これは、時間とお尻の筋肉との勝負になりそうです。
やや走り気味に茅野駅へ。昨日の駐車場のときもそうでしたが、線路みたいな大きなものを探しているのに、線路がなかなか見えてこない。線路があったら、それ沿いに行くと駅に着くはずなのに…。建物ばかりで、線路に近づけない。もうだめか、尻の筋肉の負けか。ズボンとパンツを、どこかで買うしかないのか。でもその間、垂れ流しで歩くわけにはいかない。全部脱ぎ捨ててしまい、リュックの中の明日用のパンツを履いて歩くか。いろいろなＢ案を考えながら走っていました。
やっと、なんか駅前のビルが見えてきました。看板を見ると「バス観光センター」という字が書いてあります。ここは仕方ない、バス乗客のふりをしてトレイを借りようと自動ドアを抜けたら、なんと「ベルビア」という名前のショッピングもモール（というには小さくて旧式だったのですが、他に呼び方が思いつきません）でした。
すぐさまトレイを探し出し（長年の下痢ピーのせいで、トイレを発見する嗅覚は優れています。臭いで探すのではなく案内版で探すのですが…臭覚です）なんとか、今日３発目のトラブルは回避しました。あと15秒差といとこでしょうか。
時計を見ると、もうお昼が近いことにきがつきました。せっかくなのでこのモールで昼御飯を食べることに決定。さっと見て回ると「そば処茶屋」という直接的な名前のそば屋さんがあった。街道旅といえば「そば」（誰がそんなこと決めたと、一人で突っ込みながら）入店。すでに結構な客がいました。メニューを見て「天丼の付いたそばセット」を頼みました。
周りを見渡してみると、家族連れや友達通しが食事をしているのですが、結構の割合で昼からお酒も飲んでいるようです。どうやら、ここは夜は居酒屋になるようで、お酒のメニューが充実していて昼飲みがしやすいのでしょう。
そこで、今日は車の運転かないことをいいことに昼飲みを決断しました。つまり、追加でこのあたりの地酒「ダイヤ菊」の冷（ひや）と馬刺しを注文して、天丼と蕎麦とともにぐいっと。やっぱり、昼飲みして大正解。歩きの疲れも、トイレのパニックもどこかにすっ飛んでいきました（もしくは、そういった気になりました）。「ダイヤ菊」はスッキリ（昔風に言うと辛口かな？）していて飲みやすかったです。
食べながら、今後歩くところを地図で確認しました。「街道に戻るには、まっすぐ線路沿いに歩いて右折し、それから橋を渡ればいいので簡単だ。道に迷うことはないな」そう思っていました。しかし、道は簡単ではなかったのです。ほろ酔いが油断を招いたのでしょう。これが、今日のトラブル４つ目の始まりでした。
本好きです。本を買います。余暇のための本ではなく、勉強のための本を買います。よろしくお願いします。