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小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第2章 《遊び》は学校に役立つ   2️⃣遊びは、発達以外に子どもたちにどんな役に立つのか

2️⃣  発達が伸びる以外に、遊びは子どもたちにどんな役に立つのか

 遊びは、子どもたちに発達以外にどんな力を育てるのか。そしてそれは、「子どもたちのどんな影響を与えていくのか」という観点で、まとめておきます。 

①体を使って、やりたいことをやりたいだけする熱中体験を通して、達成感
 を学ぶ

 
 最近の子どもたちは、実際に《自分の体》を使って、時間やするべきことを全部忘れて熱中するという体験をあまりしていません。遊びは、この《自分の体を使った熱中体験》をさせてくれます。

 これにより「達成感とは何か」ということを楽しく学ぶことができます。これは、勉強に対するモチベーションにつながってきます。
 その他、学校に来るモチベーションも上がります。学校に《遊び》という魅力が増えるからです。つまり、不登校の予防になるということです。

②遊びの中でトラブルを人工的に経験できるので、実生活でのトラブルの軽 
 減につながる。

 遊びの中でも、実生活と同じようなトラブルは発生します。しかし、遊びを最後までやり遂げるためには、なんとか自分たちで解決していかなければなりません。遊びが楽しいがゆえに、譲り合いや励まし合いや話し合いが自動的に行われて、トラブルを回避したり解決したりしていきます。
 遊びでトラブルを経験することによって、その経験は実生活のトラブルでも活かせるようになっていきます。

 仮に、遊びでトラブルの解決に失敗したとしても、心の傷や恨みとして後を引くことはありません。「遊びは、楽しかったね」として終わるので、遊びが終わった時点でトラブルも消えてしまうからです。

③ごっこ的要素のある遊びをすると「眼の前にないものに成り切る」ので、 
 学力のもとになる抽象的思考が育っていく。


 例えば、「バットとモス」という鬼ごっこでコウモリになりきったり、消防署ごっこでダンボール箱を消防車に見立てたりすることがそれらに当たります。
 自分がコウモリになったり、ダンボールが消防車に見えてくるのは抽象思考の始まりなのです。これが、後々国語で目に見えない「すがすがしい」気持ちが分かったり、算数で、世の中にほとんどあり得ない「11分の7」が理解できたりする地下になっていくのです。

④遊びは様々な体の使い方を要求するので、体のよい使い方を覚えることが
 できる。

 スポーツと違って、遊びは手や足や体をまんべんなく使います。Sけんやケンパは、足にケンケンを要求します。ドッジボールや六虫は、手にボールを投げることを求めてきます。鬼から逃げるために、走ったり、止まったり、しゃがんだり、跳びはねたりと、様々な体の使い方が要求されます。
 これらの体の使い方は、後々のスポーツをするときの基礎になります。また、学校生活での大きなケガ防ぐことにつながったりします。

⑤遊びは、感情的に互いを結びつけて仲間意識を育てる。

 遊びのときに同じグループになって培った仲間意識は、遊びが終わっても続きます。それらが積み重なって、クラスに対する帰属意識をもたせることにつながります。
 クラス作りのときに「私たちのクラス」という意識が作り出しやすく、安心で安全なクラスの基礎になっていきます。

⑥遊びを最後まで遊び切るためには、誰かが中心になって遊びを組織してい
 く必要があります。だから、遊びの中で「指示を出したり、弱い子を助け
   た、盛り上げたりする子ども」が出てくる。

 遊びの中で「指示を出したり、弱い子を助けたり、盛り上げたりする子ども」は、リーダー意識が育つことになり、高学年になったときにその力を発揮します。クラス集団のリーダーとなって、自立活動の中心を担ってくれます。
 様々な遊びでいろいろなリーダー生まれてくるので、どの子も何らかのリーダーになる可能性があります。

 低学年の先生は、遊びのときにリーダー性のある子どもを見極め、中高学年の先生に引き継いていくといいでしょう。



 こんなにいいことがいっぱいあるのに、小学校で遊ばない手はないでしょう。そう思いませんか?


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