マガジンのカバー画像

元発達相談員の育て直し日記 《小学校 遊び編》

62
これで本として完結しています。小学校で実行機能の発達を促すのは、遊びだけです。その理論と実際に休み時間や授業の隙間、体育で使える遊びを精選して50個紹介しています。  是非、購入… もっと読む
このマガジンは、これで1冊の本とし完成しています。
¥1,800
運営しているクリエイター

記事一覧

今後は、『小学校で遊ぶと、発達が伸びる話』を書きます。その後、発達に効果的な『遊び』を紹介していきます

 0歳6歳までに、「想像」「共感」「覚えて」「すみません」の4つの方法を使って「やりとり」育てる方法と「小学校生活に必要な30のスキル」を育てる話を書いてきました。(4つの方法については下記の記事参照)  では、まだそれらが獲得できずに、小学校に進学して来たらどうなるのか?つまり、発達の弱さ《発達の凸凹》を克服できずに、または、発達が未熟なまま小学校に進学して来たらどうなるのか?  小学校で過ごす時間が圧倒的に長くなるので、先生が保護者に代わって「発達促す活動」をすることに

小学校に『遊び』を取り入れよう はじめに 問題行動は『実行機能』の凸凹か未熟が原因

 私は教育委員会で教育相談係を、14年間ほどやってきました。先生が困っている子どもに対して相談にのってきたのですが、裏を返して言えば、学校の集団生活に困っている子どもたちに支援してきたことになります。次のような困っている子どもがいました。    ・授業中に、騒いだり寝転んだりする子ども  ・ブランコに乗りたくて、教室から飛び出す子ども  ・クラスメイトとトラブルばかり起こす子ども  ・何故か、いじめてしまう子ど  ・いじめられて不登校になる子ども  ・学校ではおとなしいのに、

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編 第1章 《遊び》が実行機能(見る・聞く・注意集中の使い方)を育てる1️⃣実行機能とは何か?

1️⃣ まず、実行機能とは何かを説明しておきます  ダンカンやバージェスによると、実行機能とは「高次の認知的制御 及び行動制御に必要とされる能力であり、目標志向的行動や注意制御、行動の組織化などに関わる 多次元的な概念である。」とされています。ちょっと難しいです。それに、まだ確立された概念ではなく様々なモデルが提唱されています。  そこで、ここでは学校で使うことを想定して「目的を達成するために、注意集中や認知をコントロールし意識的に行動を制御する能力」というモデルを採用しま

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第1章 《遊び》が実行機能(見る・聞く・注意集中の使い方)を育てる2️⃣  実行機能が育たないと、なぜうまく学校生活が送れないか?

2️⃣ 実行機能が育たないと、なぜうまく学校生活が送れないか?  まず、実行機能の発達と社会的行動の関係について、説明します。  実行機能の発達について、特にその中の『抑制機能』の発達と社会的行動との関係については、心理学の実験などを通しておおよその次のようなことが分かってきています。  「実行機能がうまく育つと、自分の認知や思考や行動をコントロールし、   外界から刺激や情報に応じた認知や思考や行動を柔軟に取ることができ   る。」  つまり、自分のことは取り敢えず

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第1章 《遊び》が実行機能(見る・聞く・注意集中の使い方)を育てる  3️⃣実行機能をどうやって育てるか?

3️⃣ 実行機能をどうやって育てるか?  私がかつて所属していた教育委員会では巡回参観という制度があり、新一年生全員を観察に回っていました。  その時の結果で言うと、7歳で小学校に進学してくるうち、学校生活(集団生活)がうまく送れない状態で上がってくる子どもが、約20%程いました。だいたい毎年の平均は、①脳機能の凸凹が原因の子どもが10% ②愛着の未形成が原因の子どもが10%くらいでした。(2️⃣の記事参照)  その子たちは、まるで自分一人で学校生活しているかのように行動

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第2章 《遊び》は学校に役立つ   1️⃣《遊び》で育つ発達の力は、学校生活のどんな役に立つのか?

 《遊び》そのものが、『学校で、どんな役立につのか』という観点から《遊び》を分析し直しておきます。つまり、学校側から《遊び》を見直すということです。 1️⃣ 《遊び》で育つ発達の力は、学校生活のどんな役に立つのか?①抑制と思考の柔軟性が育つ   ・自分のやりたいことや嫌なことを少し我慢して、周りの世界から学ぼ    うとする。   ・その際には自分の思いや考え(こだわり)を緩めて、相手に合わせて    柔軟に行動しようとする。    実際には、次の場面で役立ちます。

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第2章 《遊び》は学校に役立つ   2️⃣遊びは、発達以外に子どもたちにどんな役に立つのか

2️⃣ 発達が伸びる以外に、遊びは子どもたちにどんな役に立つのか 遊びは、子どもたちに発達以外にどんな力を育てるのか。そしてそれは、「子どもたちのどんな影響を与えていくのか」という観点で、まとめておきます。  ①体を使って、やりたいことをやりたいだけする熱中体験を通して、達成感  を学ぶ。    最近の子どもたちは、実際に《自分の体》を使って、時間やするべきことを全部忘れて熱中するという体験をあまりしていません。遊びは、この《自分の体を使った熱中体験》をさせてくれます。

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第2章 《遊び》は学校に役立つ   3️⃣遊びは、発達以外に先生にどんな役に立つのか

3️⃣ 遊びは、発達以外に先生にどんな役に立つのか  最後に「遊び」を学校に取れ入れることによって、「先生の方にどんな効果が期待できるか」という観点を見ておきます。 ①「内容を短い指示で伝えるスキル」が向上する  遊びは、始めるにあたってルールの等の説明をする必要があります。しかし、ダラダラと長く話してはいけません。子どもたちのやりたい気持ちと興味は、すぐに消えてしまうからです。「~遊びするよ」と宣言したら、1分以内に遊びが始まらないと子どもたちは白けてしまいます。  

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第3章 学校での《遊び》の遊び方を説明します 1️⃣ 遊び方のポイント 《おちた・おちた》の例で

 遊び方には、ポイントがあります。導入のときのポイントや盛り上げて熱中させるためのポイント、子どもたちを育てるためのポイントなどです。  それを《おちた・おちた》を例にして説明します。その後、クラスで作っている班体制を利用したイベントのやり方を紹介します。 1️⃣ 遊び方のポイント 《おちた・おちた》の例で  遊び方のポイントを『落ちた落ちた』という遊びを例にして説明します。子ども集団をどのように動かしてどのような声かけをしたら「子どもを遊びに熱中させることができるか」です

小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第3章 学校での《遊び》の遊び方を説明します 2️⃣《班対抗戦》でのやり方

2️⃣ 班体制を利用したイベント《班対抗戦》のやり方   学級運営をして行く上で、班を組みます。その班をうま活用していくためには、班をミニ集団として育てていく必要があります。実際には、学級経営や授業の中で班を活用することで班を育てるのですが、なかなか難しいです。先生の方に、スキルや知識が必要だからです。  しかし、班対抗の集団遊び(班対抗戦)を楽しくたくさんやっていくと、遊びを通して班が楽しく自然に育っていきます。  そこで、隙間遊びではなく、イベントなどで1時間を使って班

小学校に『遊び』を取り入れよう   第4章 発達に効果のある《遊び》の紹介

 いよいよ、次回から発達に効果のある《遊び》を紹介していきます。遊び方だけではなく、次のことも書いてあります。    ・準備     ・遊びとルール    ・先生のするべき指導の方法と子どもの「モチベーション」の上げ方      ・発達を促す評価の方法のポイント    ・その遊びの発展と応用  その他、それぞれの遊びの名前の横に、小学校のどの時間帯の遊びとして使うと最適か分かるように、下記の記号をつけました。          長休…業間の長い休み時間・昼休み      

小学校に『遊び』を取り入れよう   第4章 発達に効果のある《遊び》の紹介 その1  ひょうたん鬼

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

小学校に『遊び』を取り入れよう   第4章 発達に効果のある《遊び》の紹介 その2 エイリアン鬼

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

小学校に『遊び』を取り入れよう   第4章 発達に効果のある《遊び》の紹介 その3  しっぽとり対抗戦

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます