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受け入れの方法とスキル 第3段階  その6

 5時間目の手指活動で、みーちゃんが朝の会で選んだのは「紙吹雪」でした。この授業は、たかし君と創ちゃんも帰ってきて3人でやります。

先生「みんな、ちょっと聞いてください。9月から紙吹雪を楽しんできま
  したが、今日はちょっとやり方が違うよ。」

 みーちゃんは、少し嫌そうな顔をしています。好きな紙吹雪のやり方を、変えられたくないのです。

先生「今までは、紙テープをハサミで切って来たけど、今日は新聞紙をちぎ
  って作ります。見ててよ。まず、細く縦に手でちぎります(「覚え
  て」)。」

 伊藤先生は、見本を見せます。

先生「そして、それを今度は横にちぎっていきます。てきるだけ小さくちぎ     
  ってください。三角形になるようにちぎるといいんだけどね。それは無
  理しないでいいよ。できる子は、2,3枚重ねて千切っていってもいいよ。
  ほら、こんな具合だよ。」

 たかし君と創ちゃんは、さっさとやり始めました。ふたりとも3年生なので、手指の使い方が、上手になっているからです。
 しかし、みーちゃんはやろうとしません。大きな新聞紙を睨んでいます。どうも、困っているようです。

先生「あれ?みーちゃんは、始めないね(「共感」)。もしかしたら、大き
  な新聞紙を縦てにちぎるのができない、と思っているのかな(「想 
  像」)。それなら、伊藤先生が、千切ってあげるから頼んでくださ
  い。なんといいえばいい?」

みー「切って下さい」

先生「そうだね。縦にちぎって下さいだね。伊藤先生が縦にちぎって上げる  
  から、そこからはみーちゃんやってよ。いい?」

みー「いい。」

 みーちゃんは、やっとちぎり始めました。みいちゃんは、頑張ってちぎっています。大きいくなったり、小さくなったりしていますが、それは構いません。できた、紙ふぶきは、45リットルのごみ袋に溜めていきます。

先生「かなり、溜まったね。ナイロン袋がいくつになった?みーちゃん。」

みー「さん」

先生「そうだね。3袋だね(「共感」)。じゃ、遊びを始めましょか?」

 3人は、期待で目が輝き始めました。いつもする「あれ」が始まるからです。伊藤先生は脚立の上に載って、準備始めます。

先生「3人は、そこに座っててね…いくわよ。」    

紙吹雪

 子どもたちは、用意してあった青いビニールシートの上に座りました。伊藤先生は、脚立の上から新聞紙の紙吹雪をまき始めます。
 初めは、花坂爺さんの真似をして「枯れ木に花を咲かせましょう」など言いながらまいていましたが、最後は、「いくよ」と叫んで残っている紙吹雪を、頭の上に全部ぶちまけました。子どもたちは、歓喜の声を上げました。

先生「面白かったね。最後は、びっくりしたでしょう」

創 「ううん。知ってた。」

先生「そうか。いつもするものね。じゃ、今度は自分たちでやるよ。できる
  だけたくさん、紙ふぶきを持ってください。」

 みーちゃんは、顔に紙がくっつくのが嫌なはずですが、顎も使って紙吹雪を抱えています。そして、伊藤先生の「せーの」の掛け声で、先生も含めた4人が紙吹雪を天井に向かって投げました。
 創君は、手刀で紙吹雪を切りまくっています。みーちゃんは、全身で紙ふぶきを受けています。たかし君は、うずくまって紙吹雪を避けています。

 みんなでやる紙吹雪は、あと3回やりました。そして、ナイロン袋にみんなで片付けした後、最後に、また伊藤先生が脚立に上りました。

先生「最後に、先生が用意した特別の紙吹雪をしますよ。また、そこに座っ
  てください。」

 3人は、こんなことは初めてなので、期待半分、不安半分です。

先生「さぁ、いくわよ。」

 伊藤先生がひっくり返したごみ袋からは、新聞紙で作ったボールが50個ほど降ってきました。こどもたちは、びっくりして伊藤先生を見上げました。

先生「創君、今度はびっくりしたでしょう。紙吹雪じゃなくて、紙のボール
  でした。痛かった?そうでもなかった?」

みー「いたい。」 
創「痛くない」 
たかし「・・・」

先生「そうなの?痛かったの?それは、悪ったね(「共感」)。でもね、来
  週は、紙吹雪じゃなくて、この紙のボールを作って遊びます。お楽しみ
  にね。」

 伊藤先生は、紙吹雪の次は、紙をまるめてボールを作って遊ぶ予定をしています。それで、今日の最後に導入を兼ねて子どもたちを脅かしたのでした。そのあとは、そのボールを使って雪合戦をすることも計画しています。

新聞紙のボール


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