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Destructive Impulsion
不意に湧き上がった怒りに
僕は囚われた
季節外れの暑さだった あの日
心の隙間に悪魔が するりと滑り込むように
瞬きする間すら無かった 一瞬の罠
唐突に
僕を取り囲むビルも木々も
傍らを駆け抜ける子供達も
ぬるい風も木漏れ日も川の潺も
そして 僕 自身 も
みんな 消え去れ と
あの感覚
紙一重 の バランス
あの時 あの場所で
僕がもしも 一人でいたなら
「それ」は 遂行された
ぼくのしらないところで
ぼくのしらないところで
だれかがいきている
ぼくのしらないところで
だれかがしんでいく
ぼくの すんでいるところを
しらないひとは たくさんいる
ぼく というにんげんが
いきていることを
しらないひとは もっとたくさんいる
たとえば たったいま
ぼくが しんだとしても
だれも そんなことなどしらずに
いきていく
でも このせかいで
たった ひとりでも
ぼくがしんだら
来たれ同朋、約束の地へ:SideB
「また、物好きなもんだな」
数ヶ月ぶりに取材依頼の電話を受けた。 しかも3泊するらしい。
取材ならせいぜい1泊、酷い時には日帰りだって珍しくない……ま、後から連泊キャンセルされるくらいは覚悟しておくか。
「おとまりのおきゃくさんがくるの?」
「そうだ」
「ふーん」
相変わらず、杏(あんず)の反応は薄い。それでも嫌がるような事は無くなったから、今はそれで良しとする。
「
来たれ同朋、約束の地へ:SideA
私の記憶にある あの場所は
灰色に霞んで薄暗く沈殿している
父の仕事の関係で2年だけ住んだ街
とりたてて楽しい思い出も無く
通った小学校でも友達らしい友達はいなかった
ただ 一人
夕方の 学校近くの公園で
必ず遊んでいた男の子
その子の事は たびたび思い出す
一緒に遊んだわけでもない
むしろその逆
一度だけ『遊ぼう』と声をかけた時
その子は怯えと怒りの混じったよう