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野村萬斎の悪役っぷりが見事だった。ドラマ「アンチヒーロー」最終回感想

やっぱ、こういうドラマは悪役がイヤな奴であるほど良いですね。


というわけで、「アンチヒーロー」最終回感想です。

明墨(長谷川博己)VS伊達原(野村萬斎)の法廷バトルに尺がたっぷり割かれていて、見応え抜群。

連続ドラマって、普通どうしても終盤尻すぼみになっちゃいがちです。
これって、実はある程度仕方ないことで。
伏線を引いていくところとか風呂敷が無限大に広げられるし、中盤の方が攻めたストーリーとか演出も突っ込みやすいんですよね。
最終回付近って決まった結末目掛けてストーリーを描いていかなきゃいけないので、予想を裏切ることも難しくなるんですよ。

実際、法廷でのやり取りなんかは中盤の回の方が面白かったかなーというのが正直なところ。
白木(大島優子)の裏切りが明墨の策略だったこと、緑川(木村佳乃)が味方だったこととか、結構予想通りでしたからね。

ただ、このドラマに関してはラスボスの伊達原を演じた野村萬斎と主人公の長谷川博己の演技力が抜群に高いので。
この二人がぶつかり合うだけで見応えと盛り上がりがちゃんと生まれる。
まあ、「半沢直樹」の堺雅人と香川照之みたいなもんですね。

野村萬斎の演技はその極悪ぶり、終盤の保身に走る小物っぷり、そしてラストの放心状態に至るまで完璧でした。
大袈裟過ぎて海外とかではウケないんでしょうけど、僕は純正の日本人なので大手を振って支持します。

保身に走って己だけを守ろうとした伊達原と、他人のために自分を犠牲にしてまで伊達原を道連れにした明墨。二人がうまく対比になった構図がお見事。

そして、最後は清廉潔白だった赤峰(北村匠海)がアンチヒーローの立ち位置に。
なんか「ダークナイト ライジング」のラストっぽくて、僕はすごく好きでした。

12年前の事件に最終的な結末が提示されていないのはあえてでしょうか。考察の余地を残したかったのかな。

面白かったですけど、個人的には続編は要らないかな。
伏線はほぼほぼ回収し切っているし、明墨も志水親子の救済と桃瀬(吹石一恵)の無念を晴らすという最大の目的は果たしていますからね。
紫ノ宮(堀田真由)と倉田(藤木直人)親子の雪解けも良かったですし、瀬古判事(神野美鈴)の落とし所もちょうど良かった。

久々に夢中になれた連ドラでした。
これぐらい力の入った作品が1クールに一本あると嬉しいんですけどね。

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