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<初稿>定休日のお客
夕方の理容室。
ドアガラスには定休日の札。
仏頂面の少女の髪をきりそろえる床屋の店主。
まっすぐに切り揃えられた前髪。
少しうつむき加減の少女の顎先で揺れる毛先。
「はい、できた。」
そっとクロスを外す店主。少女の髪を直そうとして、思い直したように手をおろす。
立ち上がり、カバンを拾い上げる少女。
ドアの前で振り向く。
「ありがとう、お父さん。」
「おう。気をつけて。またな。」
ほんの
<初稿>髪を結ってもらうということ
鏡台の前
浴衣を着た少女が座っている。緊張気味で笑顔はない。
後ろに立つ女性は優しく微笑んでいる。
「お母さんの浴衣よ。あなたくらいの時に着てたの。」
「やっぱり似合わないです…」
「そんなことないわ。待って、髪を結うわね」
「はい」
クシで細く長い髪を梳く。
「細くて綺麗な髪ね〜」
「・・・。」
髪を柔らかく編み込んでいく。
鏡に映る少女の顔。
隣に女性が頬を寄せて覗き込み、少女の耳元に花を