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在日日本人
2016年8月23日 07:22
13: 「五番街のマリー」「私の名前は只野マリー、勿論、本名じゃないけど、もう本名なんて忘れちゃったわ。」 微苦笑を口元に浮かべながらマリーと名乗った女が、俺の肩から上腕にかけてを包帯で手際よく巻いていく。 マリーの身体からは、サーファーの女の子達が良く付けているボディコロンの匂いがした。 俺はその手元を眺めながら、自分の事をアクション映画の中の傷ついた主人公のようだと間抜けた事を考えて
2016年8月24日 07:44
14: 「気絶するほど悩ましい」 ミッキーとの会見以外、主だった収穫もないまま過ぎ去った二日目の夜中、俺のスマホが震えた。 蛇喰に持って行けと、指示されたスマホだった。 平成十龍城の中では電波ごと盗聴されているような気がしたが、蛇喰の呼び出しに応じないわけには行かなかった。 俺は素早くマリーの気配を彼女の寝室に探ってから、部屋を抜け出て、夜間は半分照明を落としてある住民用エントランスに出
2016年8月25日 07:19
15: 天使のお菓子 マリービスケット 三日目、俺は各階のエレベーター前にあるエントランスフロアを巡り歩いて、マンウォッチングに励んだ。 それは、煙猿の姿を探す為でもあったし、蛇喰のいう白目十蔵の手がかりを掴むためでもあった。 それで判ったのは、平成十龍城の住人達は、下のショッピングゾーンの関係者以外は、ほとんど自分の部屋から出てこないという事実だった。 エントランスフロアに置かれてある
2016年8月26日 07:15
16: 「『いちご白書』をもう一度」 マリーに教えられた展望フロアーに向かう非常階段を探している間に、俺はこの階で小さな映画館を発見した。 平成十龍城が今の姿になるまでは、ビル自体のインテリジェントぶりが売りだったのだから、この映画館の前身は、公共用に設置されたオシャレな視聴覚施設だったのだろう。 何気なく「受付」にあたるブースの壁に貼ってある上映プログラムを見て、俺は思わず腰を抜かしそう
2016年8月28日 07:23
17:「遠くで汽笛を聞きながら」「昔、俺が助けた、。それであんた、今は白目十蔵と呼ばれているのか?」 記憶の底に、繁華街の裏路地に連れ込まれ、宋の履くヤクザ靴の尖った靴先で脇腹を蹴りまくられ、のたうち回っている若いチンピラの姿が微かに浮かんでくる。 だが俺には、そのチンピラを「助けた」という記憶はない。 たまたま宋が、自分のそんな姿を堅気の友人である俺に見られるのが嫌で、蹴り込むのを程々
2016年8月28日 15:15
18:「ガンダーラ」 猪豚の次は河童、、そして額にワッカのある煙猿。 これじゃ、まるで西遊記だ。 ・・じゃぁこの僕は三蔵法師なのか。 三蔵法師はテレビの世界じゃ、ずーっとノーブルな顔立ちをした女優が演じるものと決まっている。 そしてハゲヅラが似合う女優は数少ない。 僕は男子で、一度、女子に化けて、もう一度、男子になるわけだから、三蔵役の女優が男装をしてる状態との関係は、、えーい、もう
2016年8月29日 07:29
19: 「12時過ぎのシンデレラ」 初めて同性の男とキスをした。 なんとも言えず不思議な感じがしたし、正直に告白すると、恐ろしく興奮した。 それでも俺とマリーは、結ばれなかった。 肌を合わす前に、自ら身を引いたのはマリーの方だった。 蛇喰への自分の想いを思いだし、それを大切にしようとしたのだろうか、それは判らない。 とにかくその翌日、俺はマリーに教えて貰ったパスワードと、非常通路
2016年8月30日 07:24
20: 「禿山の一夜 魔女たちの集合。そのおしゃべりとうわさ話」 その巨大倉庫は夢殿三区の外れの寂れた工場地帯にあった。 つまり酔象川の川原に近い。 倉庫前の広場には数台の車が止めてある。 いずれも場所柄に似合わない高級車だ。 倉庫の入り口には数人の物騒そうな男達がたむろしていて、僕たちが近づいていくと、中で一番頭の良さそうな男が出迎え役をかって出てきた。 ピアノの白の鍵盤見たいな歯
2016年8月31日 07:13
21: 「禿山の一夜 サタンの行列」「お二人ともチェルノボグは初めて?」 妙にテカテカした素材で出来た、竜の模様のある白いチャイナドレスの女が近づいて来た。 背が高くて筋肉質な身体に、白い生地がぬめるようにまとわりついている。 でもその生地はラバーでもない、PVCでもない、、一体何で出来ているんだろう、、、それにしてもこの女、腰は見事にくびれているけれど、肩幅が立派過ぎる。 その女もゴ