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置き去り猫を助けたい!①

のんびりした暮らしを求めて引っ越してきた千葉県は房総半島の家で、引っ越しで置き去りにされた猫たちに出会いました。人生で初めて猫を保護し、色々な人の協力を得て猫たちの幸せ探しに奮闘した、その記録です。

目次
①②猫たちとの出会い〜保護を考え始めるまで
③〜⑥置き去り猫メンバー紹介 
⑦⑧子猫捕獲と保護のプレッシャー
⑨エイズ発覚
⑩⑪全頭捕獲大作戦
⑫不妊手術とピーちゃんの急変
⑬お世話で大変だったこと
⑭⑮みんなのお見合い話
⑯あたたかいご支援と前住人との話し合い
⑰⑱新たな猫の出現、そしてカモちゃんの脱走
迷い猫ノンちゃんとエビの受難
⑳㉑カモちゃんとの日々と猫ハウス構想
㉒〜㉔カモちゃん捕獲〜これからの道
最終回 みんなのその後

置き去りにされた猫がいると聞いて

東京の家の更新が迫り、次は緑豊かな田舎で暮らしてみようかと物件を探していた時、知り合いから房総半島に貸出中の家があるという話をもらいました。外房のその町はちょっとした縁がある場所だったので、見るだけ見てみようと軽い気持ちで内見へ。

6月も終わろうとしてた内見の日、物件について色々と話を聞いていると知り合いから信じ難い言葉を聞くことになります。

「引っ越しで置き去りにされた猫がいる」と...。

どうやら前の住人が飼っていた猫を放置したまま引っ越したようで、猫は今もそこで暮らしているというのです。前住人の引っ越しからすでに数週間経っていたので、まずその猫が無事なのか、無事だとしても一体何を食べて生き延びているのか...。あまりにも無責任な話に信じられない思いでした。

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のどかな田舎道を車で走り、当の物件に着くなり猫を探す自分。もう内見のワクワクなんかよりも猫が気になって仕方なくなっていました。

「あっ、ほらいる!」

知り合いが指をさす方を見ると、話通り1匹のキジトラ猫がポツンと家のテラスに佇んでじっとこちらを見ていました。近寄ろうとすると藪の中に姿を消してしまい、その日はそのまま現れることはありませんでしたが、気のせいか寂しげに見えた瞳が印象的で頭から離れなくなりました。とりあえず生きていて良かった。

猫のことが気になりながらも内見した家は、ボロくはあるけれどかなり好みの雰囲気。庭はボーボー、床はベコベコ、うすーく廃墟感が漂う家でしたが(最低限のリフォームは入るという話だった)、広さや間取り、佇まいなどが気に入りそのまま申し込むことになりました。

家が気に入ったのは事実ですが、キジトラ猫の姿を見ていなかったらもう少し迷っていたかもしれません。私がここに引っ越して来なかったらあの猫はどうなるんだろう...。そう考え始めてしまった時点で、キジトラ猫との縁はもう繋がっていたのだと思います。

入居、一旦流れる

すでに入居を申し込み引っ越す気満々のところに、大家さんの秘書という人から驚きの連絡が入りました。「あの物件はそもそも賃貸する気はない」と。いや、大家さんと直接やりとりしたのですが...と言っても何やら話が通じず、一悶着あったあと悔しいことに契約が流れてしまいました。

あの家に住めないなんて絶対嫌だし、あの猫はどうなるの...?

内見の時にもしもあのキジトラ猫を見ていなければ、そのまま引き下がっていたかもしれません。でもどうしても諦められませんでした。やっぱりあの家に住みたいし、あの猫が気になる。

自分では珍しいくらいに交渉を重ねて粘りに粘った結果、何がきっかけかわかりませんが相手の態度が軟化し始め、東京の家の更新日ギリギリアウトで(この家が決まらなければ更新すると返事を待ってもらっていた)無事に引っ越すことができたのでした。

日に日に増える猫...

引っ越しから数日間は猫の姿を見かけることもなく、廃墟のような家の掃除に追われていたこともあり積極的に探しに行けずにいました。ですが、やはりとても気になっていたので外をチラチラ覗きながら過ごすこと数日、あのキジトラ猫を見つけました。

声をかけるとまたサッと逃げてしまいましたが、無事を確認できてとりあえず一安心。...したのも束の間、翌日びっくりする光景を目にします。

キジトラが、もう1匹いる!?

なんと、置き去りにされた猫は1匹ではなかったのです。その日から、見るたびに増える猫。数日かけて調べてみると、キジトラ2匹、キジ白1匹、白黒2匹、黒1匹。全部で6匹もいることが判明しました。

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でも私は始め、最初に見たキジトラ以外はお隣さんの飼い猫だと思い込んでいました。というのも、ほとんどの猫がお隣さんの芝生の庭で暮らしていたから。あのキジトラも一緒に面倒を見てもらっているんだな〜良かった!なんて楽観的に考えていたのです。

迷惑がられる猫たち

ある日お隣さんと話す機会があったので、猫たくさん飼ってるんですね!と言ったところ、思いもよらぬ言葉が返ってきました。

「うちの猫じゃないよ。みんな引っ越しで置いていかれたの」

続けてお隣さんは、こう言いました。
「猫がうちに居着いてすごく迷惑してる。前の住人と大家さんに猫をどうにかしてくれと頼んだけど何もしてくれない。保健所に言えばいいのかな...」

それを聞いて慌てた私は、保健所に頼んだ場合は収容期間が過ぎたら殺処分(地域によります)されてしまうかもしれませんよと言ったところ、それでもしょうがない、と。

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正直ショックを受けましたが、猫に対しては人それぞれ色々な考えがあるのもわかっています。特に田舎では餌だけやってあとは放置というような外飼い文化が根強く残っていたりするので、都会とは意識や考え方が違うのが現状です。ここ数年で認識されてきている「保護猫」という存在も、この地域には浸透していないように思えました。

私はこの話を聞いたあと、自分はどうしたいのか、何ができるのかすぐに答えを出すことができませんでした。猫たちが保健所に連れて行かれるのは嫌だ。でも6匹もの猫をどうすればいいのか...

②につづく

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