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置き去り猫を助けたい!⑩

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全頭捕獲作戦、始動

ビワ一家とピーちゃんの捕獲は、言うなれば前哨戦。人慣れしているタビマメ親子は別として、カモエビ戦はものすごく苦戦しそうな予感。まったく人慣れしてないのでお隣さんにも頼れません。

ピーちゃんの預かりさんに借りた捕獲器がありますが、なるべく怖い思いをさせずに捕まえたいのと、仲間が捕まっている場面を見た猫は警戒すると聞いたので最後の手段にとっておきたいところです。なので、ハウスを使った誘い込み作戦でいくことにしました。

実は子猫たちを保護した後くらいから餌場の近くにハウスを置き、その中にごはんを置いておくというのを試していました。物怖じしないマメちゃんやピーちゃん、お隣さんの外飼いユキちゃんが次々にハウスに入ってごはんを食べているところを見て、設置から1週間もするとエビちゃんもスイスイ入るようになり、カモちゃんもお尻まですっぽりと入るようになりました。これはいけるんじゃないか...。

これまではひたすらニコニコ無害な存在を演じてきましたが、10月28日の手術日に全員連れて行くべく、手術日の4日前、ついに捕獲作戦を開始することにしたのです。

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初戦惨敗...

まずは一番難しそうなカモちゃんからいければ後の捕獲が楽になると思い、カモちゃんがハウスにお尻まで入るタイミングをじっと待ちました。

警戒しながらも意外とスッと入るカモちゃん、そこにジリジリ忍び寄る私。緊張で手が震えます。いよいよハウスに手が届く範囲まで近寄り、ついにドアを閉めようというその瞬間、カモちゃんが「ハッ!」とこちらに気づき勢いよく体当たりしてきたのです。

私はその迫力にビビってあろうことかドアから手を離してしまい、カモちゃんは「バーン!!!」とすごい音を立てながら彼方に走り去って行きました。音に驚いた他の猫たちも蜘蛛の子を散らすように1匹残らずいなくなり、作戦は大失敗に終わったのです...。

その後もどうにか挽回しようとちゅーるを置いてみたり捕獲器を試してみたり色々やりましたが、カモちゃんは逃げ回り木に登って降りてこなくなってしまったので諦めるしかありませんでした。

2週間以上コツコツ積み上げてきた関係を壊してしまったのではないか、猫たちは怖がってもう来てくれないのではないか、カモちゃんは手術日に間に合わないかもしれない...と不安が波のように押し寄せました。

しかもこの日はちょうどピーちゃんがエイズ陽性という連絡を受けた日で、ダブルでズドンと落ち込んだ日でした。

毒気が抜けたらチャンス到来

大失敗の翌日、もう来ないかと心配していた猫たちは何事もなかったかのようにごはんを食べに来てくれました。その中にはカモちゃんの姿も!
でもこの時、カモちゃんは来月の手術日にまわそうかなと考えていました。1ヶ月先になってしまうけど、余裕もできるし気楽にいこうと。

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そんなフッと自分の中の毒気というか必死さみたいなものが抜けた時、カモちゃんがスススッとハウスに入ってごはんを食べ始めたのです。しかも昨日捕まりそうになったハウスにまたお尻まですっぽり入っています。意外とうっかりさんなのか。

捕獲はもう延期してしまうおうと思っていたのでどうしようか迷いましたが、試しにハウスの近くまで行ってもまだ食べていたので、そのまま足でドアをバタンと閉めて押さえつつ(昨日は手を引っかかれるのが怖くてドアを締めきれなかった)、用意していた手袋をつけてハウスの鍵を閉めました。

カモちゃん、なんと、捕獲成功...!!

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カモちゃんは両目を見開いて「しまった...!」という顔をしていました。3回目でも全然慣れない罪悪感。
恐怖で固まるカモちゃんに謝りつつ、急いで猫部屋に改装した縁側へ。ハウスからケージに入れる時にやはり大暴れしてパニック状態だったので、ビワちゃんの時と同じように毛布でそっと包んで落ち着かせました。

初めて触った毛布越しのカモちゃんの体が速い呼吸で上下していて、守ってあげたい...という思いが湧き上がりました。カモちゃんからしてみればただの誘拐犯なんですが。

⑪につづく

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