キミの手に触れたい。一度だけでいい。ボクの前に。広げてくれないだろうか。【棒立ち】
その手に、触れることは、叶わなかった。
初めて抱いた感情ではないだろうか。
こんなにも、誰かの手に触れたいと思うなんて。
いつも目の前にあって、せわしなく動く手。
テスト時間に鉛筆を転がす手。
眠そうな顔をしながら、あくびを受け止める手。
どこかごつごつしていて
どこか落ち着く手。
近くにありすぎて、今まで意識なんてしていなかった。
でも、いつのまにか、その手だけを見つめていた。
こんなにも、その手を欲していて
こんなにも、近くにあって
こんなにも、届かないなん