61歳FIRE生活 #3:56歳役職定年後に挑む、転職市場の実態と成功の秘訣
わりと良い会社であったと思う。
新卒で入社し、30数年を過ごす中で、国内外の転勤や部署異動で様々な経験を積むことができた。
給料や福利厚生はもちろんのこと、働く仲間も、今にして思えば良い人が多かった。
シニア転職の理由
役職定年とプライド
60歳定年後を考えるはずが、早期退職への気持ちが日に日に高まっていく。
大きなトリガーが、役職定年であったことは間違いない。
曲がりなりにも組織の長として、張り切って(虚勢を張って?)過ごしてきたのだ。
これ以上の昇進は望めないとわかっていながらも、自らを鼓舞し、一縷の望みを託していたのかもしれない。
これが、役職定年制度の名のもとに、バッサリと切り捨てられる。
血も涙もないとは、正にこのことだ。
何とかならないか? いつの間にか、組織や地位にしがみつこうとする、ちっぽけな人間になっている自分に気づき、嫌な気分になる。
アラ還だからこそのチャレンジ
さすがに起業するほどの実力はないが、未練たらたらで組織に残るよりも、転職での新天地で、もう一度自分を試したいと思った。
加えて、この人生、たった1社の勤務経験だけで終わるには、あまりにも残念だ。
もう少し違う世界を見るのも良いではないか。
うちは子供のいない夫婦二人。失敗しても大勢に影響はないはずだし。
そして、正直な気持ちを妻に打ち明けた。
「いいと思うよ」「もうずいぶん頑張ったし」すんなり応援する言葉をもらった。
ホッとするやら、恥ずかしいやら、情けないやら。
何だろうか、混ぜこぜのこの感情は。
シニア転職活動の実態
職務経歴書
50代以降の転職は、余程の実績や資格がないと相当に厳しいと聞いていた。まずは、冷静に過去を振り返り、職務経歴書を何度も何度も書き直すことから始めた。
しかし何を書けばよいのやら。最初は担当職務以外にほとんど何も思い浮かばない。自分にはアピールできるものは何も無いように思えた。
「得意な仕事は管理職です」という、笑えない冗談が頭をよぎる。
冗談じゃない。何かあるはずだ。
大むかしの手帳や月報を引っ張り出し、過去のプロジェクト資料や提案書を読み返す内に、仕事において拘ってきたこと(=強み)や、小さいながらも成し遂げたきたこと(=実績)、ありたい組織や自分の姿(=提供価値)が少しづつ浮き彫りになってきた。
因みに、転職云々はともかくとして、時々において自分を見つめ直すために、職務経歴書を書くことはとても意義あることだと学んだ。
顧客、取引先の経営者人脈を活かす
そして、この転職活動。結論から言うと、意外にあっさりと、とある企業からそれなりの待遇で迎え入れられた。
法人営業の部門責任者であった僕は、顧客企業の経営層に面会することが多かった。僅かなきっかけを掴み、積極的に会食もこなしていた。
気苦労やプレッシャーでストレスは大きかったが、顧客との距離感を縮め、自社を印象付けることで、それなりのビジネス成果もあった。
その取り組みが、この転職活動で活かされることになったのには驚いた。
いつの間にか僕自身を顧客企業に売り込めていたようだ。
法人営業という職にも役得があったのだ。
ある時、親しく付き合っていた企業経営者に早期退職の考えを漏らすと、意外なほどあっさりと、うちに来ないかと誘いを受けた。
人事部も採用面接も関係ない世界。
最初はよくある社交辞令じゃないかと疑ったが、その後、別の顧客企業からも同じような話をいただいた。
経営者との転職交渉
ここで一つ忠告がある。経営者との直接の話では、細かな労働条件の話にはなりにくいし、話しにくい。会食しながらでは、なおさらだ。
人は本能的に自分を良く見せようと話すし、自分に都合よく話を聞く。
しかも、話がうまく進んでも、実際の転職は数カ月先になる。
後でそんなはずではなかった、と言うことが起こり得る。
担当職務やポジション(肩書)、そして給与に関しては、決してぼかした会話をしてはいけない。面会後のお礼メールなどで、諸条件はしっかりテキストとして残すべきだ。
中堅、中小企業の課題
今となっては、はっきりと言える。
中堅中小企業は、皆一様に組織の舵取りができる人材獲得に苦労している。
だからと言って、どこの馬の骨かもわからない者に、それなりの給与を払い、マネージメントを担わせるにはリスクが大き過ぎる。
過去に何らかの付き合いがあり、人柄や仕事ぶりがわかっている人材に白羽の矢が立つのだ。
シニア転職の秘訣
転職エージェントは使えない
それなりの待遇での転職。それは「誰々を知っている」、という「コネ」に他ならないということを知った。
当時の僕は、テレビCMに頻繁に流れる複数のメジャーな転職エージェントを通じての転職活動も行っていた。
全くと言っていい程、成果はなかった。
転職市場から相手にされていない感さえあった。
もちろん、大幅な給料ダウンや肉体と時間を切り売りするような仕事のオファーは沢山あったが。
おそらく、シニア人材は余程の実績や資格でもない限り、転職エージェント経由での納得いく転職は難しいだろう。
僅かなきっかけでも経営者人脈を辿れ
法人営業職はもとより、サラリーマンであれば、多少の社外関係者との付き合いはあると思う。その付き合いは、大事にした方がいい。
「コネ」「人脈」「誰かを知っている」と言うことの重みを、まざまざと感じさせられた転職活動だった。
第4話に続く
[61歳FIRE生活]
#1:役職定年後の生き方を考える…惑う56歳
https://note.com/yuruyuru360/n/n429a0e9dbc87
#2:56歳で選んだシニア転職と老後の対策…今やるしかない
https://note.com/yuruyuru360/n/n570a020157f5
#3:56歳役職定年後に挑む、転職市場の実態と成功の秘訣
https://note.com/yuruyuru360/n/n141c24bdf24b
#4:56歳の投資初心者をFIRE生活に導いた2冊の本と成果
https://note.com/yuruyuru360/n/n1ddb8309b2be
#5 :57歳シニア転職先での現実と学び...燃え尽きた
https://note.com/yuruyuru360/n/naed117f418e9
#6 :引退&専業主夫を決意させた「DIE WITH ZERO」で自由に生きる
https://note.com/yuruyuru360/n/nd71ac54682f1
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