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生きてる限り、腹は減る

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どんなに嫌なことがあった日でもお腹はすく。 生きることは食べること。昨日何食べた、今日何食べよう、そんな食事にまつわる記録。
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#秋

黄金色の栗あんを、空に捧ぐ

秋のお彼岸。

お団子屋さんの袋を片手に、京都にいる祖父に会いに行った。

中には前日に買った、焼き栗餅が入っている。

前日。

季節限定のものはありますか。
おすすめはどれですか。
日持ちはいつまでですか。

珍しく明るいうちに帰れた仕事帰り、駅中の美味しいお団子屋さんで、店員のお姉さんを質問攻めにして選んだのが、焼き栗餅と月見団子だった。

若い店員のお姉さんは、焼き栗餅と月見団子を、ていね

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あんぱんは、欠けて、満ちて

あんぱんは、欠けて、満ちて

久しぶりにあんぱんを食べた。

それも横綱級のあんぱんだ。

まず仕事が終わって、職場近くの美味しくて安いパン屋さんに行こうと思っていたのだけど、風がとても強く吹いていたのと、空に広がった灰色の雲が今にも雨を降らせそうだったので、それをやめて、地元のパン屋さんに行くことにした。

地元のパン屋さんは、最寄駅を降りたらすぐ何軒かあって、たまたまふらりと入ったそのパン屋さんは、あんぱんがとても有名なお

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秋なのに、春みたいな旅立ちのマドレーヌ

秋なのに、春みたいな旅立ちのマドレーヌ

「お世話になりました」
と、若い男の子が菓子折りをもって挨拶に来た。彼は10月1日から別の支店に行くことが決まっている。彼とは1ヶ月程度だけど一緒に働いたことがあって、今は部署も違うし仕事上の関わりもないけれど、フロアが一緒のところで働いている。
「ありがとう」
とお菓子を受け取りながら、少し言葉を交わした。

異動になる部署は人数が足りておらず、体力的にもハードなところだという。
「体壊さないよ

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雲隠れの月夜

雲隠れの月夜

中秋の名月。穏やかな夜を過ごしている。月は雲隠れして、その姿は残念ながら見えない。けれど、雲と雲の間からぼおっとした虹のようなひかりが漏れているので、あそこに月がおるんやなあ、というのがすぐにわかる。

遅めの晩御飯を済ませたあと、うさぎの型が抜かれた、まあるい月見まんじゅうをひとつ、スーパーで買って食べた。78円。ポップにはお月見セール!!と書いていたので普段はもっと高いのだろうか、それともそう

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柿が熟すまで

久しぶりの秋空の日、祖母の家で柿を剥いだ。

仏壇にお供えしていた2つの柿は、まだ熟しておらず、かたい。祖母に「ひとつもってかえりなさい」と言われたけど、皮を剥いで切るのがとても面倒だったので、「ええ、いいよーおばあちゃん食べなよ」と言ったら、「ほなここで剥いでいったらええやん」とあっさり言われ、そうすることにした。

柿は前に、一度だけ剥いだことがある。なぜ柿を食べようと思ったのかは詳しく覚えて

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