マガジンのカバー画像

OLIVE DELLA YUKI

75
OLIVE DELLA YUKI が綴る、オリーブオイルづくりに纏わるストーリー
運営しているクリエイター

#私の仕事

なかなか厳しい現実

なかなか厳しい現実

オリーブ畑に向かう途中、
ラジオから流れてきたニュースは、なかなか厳しいものだった。

「今年のトスカーナのオリーブオイルやワインは、高騰化が見込まれます。」

いつもの年に比べると、雨が多く、寒い初夏を迎え、
かと思えば、7月には40°以上を記録し、
8月には、トスカーナの北部で、雹が降った。

花が咲く頃に冷え込んだり、
実が成長していく段階で雨が降り続いたりで、
それでも、順調に成長している

もっとみる
終わらぬ工事

終わらぬ工事

8月も終わりに近づいている。
このオリーブ畑を担うようになってから、3年目に入った。

オリーブ畑には、大きな家があって、
3階建ての2階部分と3階部分は
それぞれ、独立したアパートになっている。
数百年経つのだというこの家の壁は厚く、
後付けで配管が縦横無尽に走っていたから
そのリフォームには、まるまる2年という月日がかかった。

日本のような契約形態ではないから、
一度工事を始めたら運のつき、

もっとみる
収穫量のこと

収穫量のこと

8月も、軽く10日が過ぎた。
ここのところの、時の流れの早さに圧倒されている。

ニュースによると、
7月は記録的な暑さだったらしいイタリアだけれど、
8月の1週目は、グンと冷え込み、
来週あたりは、また暑くなると予報されている。

この頃になると、育ちつつあるオリーブの実は
ほぼほぼ安定した量を保ってはいるけれど
天候だけは読めないから
ただただ、このまま順調に熟してくれる事を望むだけである。

もっとみる
今年の天候とオリーブ

今年の天候とオリーブ

7月になって、暑い日が続き、
ようやく少し、落ち着いてきた。

この7月は、類い稀なる猛暑だったという話だけれど、
昨年の8月は、一度暑くなると、もっと長く、暑い日が続いたような気がする。
要は、毎年、天候は違うのだ。当たり前だけど。

オリーブにとって、
暑いのも水不足が心配だし、
寒いのも成長の妨げになるから、
何が一番良いのかはわからないけれど、
とりわけ、
この時期は、雹が一番怖い。

もっとみる
次から次へと…

次から次へと…

7月も前半が過ぎ去ろうとしている。

オリーブ畑は、すっかり夏の気配で
あちらからも、こちらからも
蝉の鳴き声が、けたたましく聞こえてくる。

6月には、小さな実だったオリーブも
ひと回り以上大きくなっている。
昨年に比べたら、割についているんじゃないかと思う。

アパートの改装で、立ち寄った世話役フランコも
「今年はいいんじゃない?」と
太鼓判を押してくれた。

「ただ…」

え?ただ…何?

もっとみる
6月のオリーブ畑

6月のオリーブ畑

5月の中頃に咲いた花が
その翌々週には、チリチリとした茶色に変わっていた。

一瞬、焦る。

今年は思っていたより雨が多く、
そのおかげで、いろんな花が咲き、
雑草もグングン背を伸ばし、
凄い勢いだなぁ…と圧倒されるのとは裏腹、
オリーブの花が茶色く枯れたような姿になっているのを見たら、
枯れてしまったのかと思い、
その原因を探ろうとも、わからず
なんとも解せない気持ちになる。

よく見ると、

もっとみる
いろいろある、決まりごと

いろいろある、決まりごと

5月の中頃に咲き始めたなぁ…と思った花は、
小さな小さな実を膨らませ始めている。
オリーブの、花の命は短い。
咲き始めて4〜5日くらいで、散ってしまうのだそうだ。

先々週の話になるけれど、
会計と経営コンサルタントを委託している組合から、呼び出されていた。

「いろいろまた、規定が変わったのでね…」

イタリアの規定は、ころころ変わるんだそうだ。
そういえば、オリーブオイルのラベルを作った時にも

もっとみる
自然は本当によく出来ている。

自然は本当によく出来ている。

5月の半ば。
例年通り、オリーブは花を咲かせた。

いつもの年に比べると、とても寒い春。
日中こそ20度を超えるものの、朝晩はグッと冷え込み
10度以下になる事もしばしば。
雨もよく降っている。
ちょっと前まで、イタリアのニュースでは、水不足と謳っていたけれど、
それは多分、違う地方のことだ。

雨が降るのは良いけれど、
この冷え込みが、オリーブに影響を与えるんでは…と
ちょっと心配している。

もっとみる
終わらない仕事

終わらない仕事

オリーブ畑には2軒のアパートがある。

いつかこれを
ツーリスト向けに貸そうと、工事を始めたのは、今はもはや、2年前。
そうしたら、組んだローンの返済も出来る…と考えてのことである。

当初、必要な書類さえ整えば、
政府からの補助金が出ることで
あちらでも、こちらでも
改修工事を始めたところは、少なくはなかったかと思う。

時は、コロナ禍。
滞る資材の調達、その上、増加した改修工事。
工期は大幅に

もっとみる
さあ、いざ!という時になって…

さあ、いざ!という時になって…

4月の割に寒い日が続き、
週末には雨が降るのが続いていて、
最近、ようやく春らしくなってきた。

雨が少ない…と言われているイタリアだけど、
わがオリーブ畑の雑草の成長具合は激しく、
なんなら
頑張って、トラクターでも運転してしてみようか…と
思い立ったが吉日で、
ご近所さんにお願い申し、
運転の仕方を教えてもらおうと
トラクターのある納屋を
その日、久しぶりに、のぞいてみたのであった。

オリー

もっとみる
春の作業

春の作業

すっかり春。

日本のように、暖かくなった…と思えば、
急激に冷え込んだりして…を繰り返す中で、
気がつけば、新芽が吹き出し、
何にもないようなフリをして、
でも、確実に成長していく、オリーブたち。

根本から、勢いよく上に伸びる新しい茎は
土からの栄養を奪ってしまうから、
早々に切り取る作業をしている。

「人間と同じなのよ…」

近くの園芸センターのおばちゃんが
そんな事を言っていたなぁ…と思

もっとみる
有機栽培と自然栽培

有機栽培と自然栽培

3月も終わり。

昨年、大掛かりな剪定をしたから、今年はやるつもりもないのだけど
一本一本、様子を見ていく。

よくよく見ると、
枯れたように思える枝にも、ちゃんと葉っぱがついていて
枝分かれした先の
栄養素がとどいているか否かが、分かってくる。
栄養素がとどかなくなった枝は、
次第に枯れてくるから
そういう部分だけを切り落としていく。

オリーブの木をもう少し増やそうかな…と思っていたのだけれど

もっとみる
品質保証をつけないわけ

品質保証をつけないわけ

実は昨年、IGPを取得した。

IGPとは、
Indicazione Geografica Protetta(保護指定地域表示)のこと。
ひとつの品質保証。

これを取ることによって初めて、「トスカーナ産」とラベルに表記することが出来る。
ただし、その表記をするためには、
詰めるボトルも審査を受け、認められたものの本数も申告して
本数分のIGPのラベルを購入して、、、と
お金もかかるし、手間もかか

もっとみる
収穫量について、考える。

収穫量について、考える。

2月も下旬に差し掛かる。

比較的、暖かいと言われている今年の冬だけど
2月の最初のあたりは、寒気に襲われていた。
フィレンツェあたりで0℃以下、
トスカーナの中では比較的暖かいオリーブ畑のある地方も
夜には0℃くらいまで下がったようだった。

それまでが、あまりにも暖かかったからか
剪定をしているところもチラホラとあったけれど、
いきなり冷え込んできたら
オリーブにとっては厳しくないかな…と心配

もっとみる